更新日: 2019.11.25 14:34
潔い最小コンパクトながら人馬一体の走りを味わえる、マツダ・デミオ【ベースマシン一刀両断!!】
Photo:Takashi Ogasawara
そんななか異彩を放っていたのが『15MB』。MBとは“モータースポーツベース”という意味で、各種パーツの交換を前提にした、割り切った装備のモデルである。エンジンは1.5リッターガソリンのハイオク仕様で、ロードスターと基本は同じである。この仕様がいい感触なのだ。
スカイアクティブGが苦手なピックアップが改善され、1500rpm以下でもしっかりとトルクが出てクルージングに使え、それでいてレッドゾーン近くまできっちりと回ってくれる。まるで「ホンダに改修設計を任せたのか?」と思うほどだ。
かといって走りに特化しているわけではない。サスペンションは1.3リッターモデルのもので、特段スポーティというわけではない。ブレーキはディーゼル用の大型のものを採用するが、専用品ではない。あくまで交換前提。ベースモデルとして割り切られている。
装備が簡略化されているので、軽量なのはいい。しかし、メーカーナビがあのマツダ・コネクト(マツコネ)とはいえ、つけられないのは残念だ。タコメーターが小さいのも、モータースポーツで使うにはいかがなものか。
さらに余計な装備もそのまま残ってしまっているのも目立つ。i‐STOPを封印すれば、はるかに軽いバッテリーで済んだはずだし、巨大で目立つラジオの空間には日常使いならナビが、モータースポーツなら追加メーターが欲しいからどちらにしても不要だ。
何はともあれ、スポーティな性能もフィーリングもないが、しっかり走るベーシックカー的な雰囲気が、デミオで唯一、『15MB』には存在するのだ。
2018年のマイナーチェンジで、ガソリン車は1.5リッターのみとなった。レギュラー仕様なので低回転のマナーは『15MB』に及ばないものの、ドライバビリティは大幅に改善。スカイアクティブGは大きめの排気量でなければ旨みはない。足まわりを含めてスポーティになり、6速MTと6速ATが選べる。さらにマツコネもつく。ただ、値段もズバッと上がってしまっているのは痛い。
デミオはやっと価値を認められる存在となった。もはや1.5リッターガソリン以外選択の余地はないが、6速MTで乗ると『15MB』のエンジンが際立つ。結局クルマの魅力やMTの心地良さは、エンジンのパワーフィールと直結していると再認識させられるのである。
■マツダ・デミオ 15MB 主要諸元
車体 | |
---|---|
車名型式 | マツダ・CBA-DJLFS |
全長×全幅×全高 | 4065× 1695 × 1500 mm |
ホイールベース | 2570 mm |
トレッド 前/後 | 1495 / 1480 mm |
最低地上高 | 145 mm |
車両重量 | 1020 kg |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | 2WD (FF) |
トランスミッション | 6速MT |
ステアリングギヤ形式 | ラック&ピニオン式 |
サスペンション前/後 | マクファーソンストラット式 /トーションビーム式 |
ブレーキ 前/後 | ベンチレーテッドディスク //リーディングトレーリング式ドラム |
タイヤサイズ | 185/65R15 |
エンジン | |
型式 | P5-VPS |
形式 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 1496 cc |
内径×行程 | 74.5 /85.8 mm |
圧縮比 | 14.0 |
最高出力 | 85kW(116ps)/ 6000rpm |
最大トルク | 148Nm(15.1kgfm)/ 4000rpm |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
タンク容量 | 44L |
auto sport 2019年7月5日号 No.1509より転載