更新日: 2019.12.26 20:06
軽オープンスポーツのトヨタ・コペンGR SPORTはレジャーもこなせる日常の“相棒”になるか/市販車試乗レポート
さっそくコペンGR SPORTで鎌倉パブリックゴルフ場を目指す。今回試乗したのはCVT車で、7速スーパーアクティブシフトが備えられている。まず走り始めで驚いたのは力強いトルク感だ。
コペンGR SPORTのパワートレインは、ベースのコペンと同じ直列3気筒ターボエンジンで最高出力64ps、最大トルク92Nmと一般的な軽自動車とそこまで大きく変わらない。
しかし、アクセルを踏むと軽自動車とは思えない蹴りだしでグングンと加速していく。また、デュアルエキゾーストテールパイプから出るマフラー音は音を楽しむチューニングが施されており、低回転でもスポーツカーらしいサウンドが室内を包む。
コペンGR SPORTはパワー以外の部分で走りのポテンシャルを高められている。まずはボディ剛性。アンダーボディは補強材の追加、センターブレースの形状変更などにより、ボディのねじり剛性が大幅に向上されており、それに合わせてスプリングとショックアブソーバーの最適化も図られている。
足まわりは硬めのチューニングだが、街中の走行では路面の凹凸を拾ってもドンっとくる不快な突き上げはなく、しなやかに追従していくので、日常使いでも問題ないだろう。
もちろん小回りも効くので、狭い道路で自転車や歩行者とすれ違ったり、枠が狭い駐車場に停める時など、車体の大きいクルマでは不安を感じることもあるシーンもスムーズにクリアできる。
コペンGR SPORTはスポーツカーではあるものの、運転に自信のない初心者でも街中で扱いやすい。高速道路に入って速度を上げれば接地感は増し、路面にへばりついているかのような安定感を感じることができた。
今回の目的地であるゴルフ場に近づくにつれ峠のようにカーブが連続する道が現れ始める。こういった道でもクルマの挙動はつかみやすく、力強いトルクのおかげで上り坂も難なく登っていく。
コーナーでは前輪駆動であるにもかかわらず回頭性能が高いため、まるで後輪駆動車を操っているかのような感覚を味わえ、自分が思い描いたラインをトレースすることができた。
取材したのは12月上旬で寒さが身に染みる季節だったが、オープン走行も体感してみた。オープン走行では風の巻き込みが気になるものの、それ以上に開放感が勝って走りの楽しさが倍増する。
ちなみに運転席と助手席にはシートヒーターが備わっており、背中と座面を温めてくれる。シートヒーターとエアコンを組み合わせれば冬場でも快適にオープン走行を楽しるだろう。
コペンGR SPORTは、てのひらに収まる等身大のアクティブさとともに、ベースモデルよりもランクアップした質の高い走りで大人も楽しませてくれるスポーツカーに仕上がっていた。また、街乗り、買い物など普段使いにも対応可能で、9インチのゴルフバックも詰めることから、レジャーシーンもカバーできるだろう。
トランスミッションは5速MT(243万5000円)と7速アクティブシフト付きCVT(238万円)の2機種を用意。TOYOTA GAZOO Racingがチューニングした唯一無二の2シーターオープンスポーツカーが240万円前後で手に入るという、コストパフォーマンスの高さもうれしいポイントだ。
【撮影協力】鎌倉パブリックゴルフ場