現行のスイフトスポーツは、軽量化されたボディと1.4リッターターボが話題となった。5ナンバーの通常型スイフトに対し、スイフトスポーツは3ナンバーだが、世界標準のボディはこの3ナンバーサイズだ。
エンジンはいわゆるダウンサイジングターボで、極低回転から実用的なトルクを発生する。そのためレッドゾーン手前の5500rpmで明確に頭打ちとなるが、そもそも旧型の1.6リッターのNAも高回転は苦手だったので、退化はしていない。
ダウンサイジングターボは、MTで乗っても面白みが少ない。2速でも5速でも普通に走れてしまうため、ギヤを選ぶ意味がないからだ。実際、1100rpmくらいから実用できる。
そういう意味ではATのほうがスポーティに走りやすいと言える。そしてスイフトスポーツの6速ATは期待を裏切らない。シフトショックはあるものの、変速動作が速いため、スポーツ志向でも不満は少ないだろう。
気になるのはATの耐久性だが、同じ趣向であるフォルクスワーゲンのTSIより優れていることは間違いない。
ストロークがやや長いシフトレバー、すこしだけ高めのヒップポイントなど、スポーツモデルとしての詰めが甘い感じもする。現行型ではレカロシートの設定がなくなったが、正直なところいまのシートのほうがずっと上出来である。
もっとも大きな不満は違和感の残るステアリングフィール。電動パワーステアリングのセッティングが不十分なのだ。スイフトに次いで発表されたクロスビー以降では改善されているだけに、かなり残念である。
スイフトスポーツのもっとも強力な武器は価格である。なにしろ、6速MTが170万円(税抜)という超バーゲンプライスなのだ。乗り心地も硬さを感じさせるシーンはなく、使いやすい。スポーツモデルとしてだけでなく、パワフルなスモールカーとしても、お勧めできる希有なモデルなのである。
■スズキ・スイフトスポーツ 主要諸元
車体 | |
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車名型式 | スズキ CBA-ZC33S |
全長×全幅×全高 | 3890mm×1735mm×1500mm |
ホイールベース | 2450mm |
トレッド 前/後 | 1510mm/1515mm |
最低地上高 | 120mm |
車両重量 | 970kg(6速MT)/ 990kg(6速AT) |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 6速MT/6速AT |
ステアリングギヤ形式 | ラック&ピニオン式 |
サスペンション前/後 | マクファーソンストラット/トーションビーム |
ブレーキ 前/後 | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤサイズ | 195/45R17 |
エンジン | |
型式 | K14C |
形式 | 水冷4サイクル直列4気筒直噴ターボDOHC 16バルブVVT |
排気量 | 1371cc |
内径×行程 | 73.0mm×81.9mm |
圧縮比 | 9.9 |
最高出力 | 103kW(140ps)/5500rpm |
最大トルク | 230Nm(23.4kgm)/2500〜3500rpm |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
タンク容量 | 37L |
auto sport 2019年8月23日号 No.1512より転載