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投稿日: 2020.04.13 16:32

「地味だけど、地味じゃない」安心と安全と未来の結晶! 欧州スポーツセダンの最新モデル/ボルボS60 実践試乗インプレッション


クルマ | 「地味だけど、地味じゃない」安心と安全と未来の結晶! 欧州スポーツセダンの最新モデル/ボルボS60 実践試乗インプレッション

 このポールスターエンジニアードを含めたボルボのPHEVはFF車をベースとする。2リッター4気筒ダブル過給(ターボ&スーパーチャージャー)エンジンに8速ATとアシストモーターを組み合わせて前輪を駆動する。

 同時にリヤに後輪専用モーターを搭載して、必要に応じて駆動や回生を行なう。室内の立派なセンターコンソールには350V・34Ahのリチウムイオン電池が内蔵されており、外部充電(=プラグイン)も可能。

 エンジン停止時はリヤモーターのみの後輪駆動となる。ちなみに、冒頭のポールスター1もボルボのツインエンジンがベースだが、リヤモーターが左右1個ずつの2モーターとなっている。

 それはともかく、このクルマのパワートレインには、走行モードがいくつか用意されている。

 低燃費≒通常モードといえる“ハイブリッド”だと、低負荷時はモーターのみで走り、負荷がかかってエンジン始動するとモーターアシスト付きFFへと切り替わり、減速時は前後のモーターで回生(=運動エネルギーを電気として蓄える)といった具合に、エネルギーの流れを変えながら走る。

 逆に、もっともスポーティなモードの“ポールスターエンジニアード”を選ぶと、走行中はエンジンがずっと回り続けて、リヤモーターも常時稼働するフルタイム4WDになる。しかも、エンジン音も明らかに攻撃的になる。

最高出力318ps、最大トルク43.8kgmを発生する高性能ガソリンエンジンをフロントに搭載
最高出力318ps、最大トルク43.8kgmを発生する高性能ガソリンエンジンをフロントに搭載

 このクルマにも搭載されているエンジンは、もともとレスポンス良好なタイプだが、いくら高性能なエンジンでもアクセル操作から実際に反応する、ごくわずかな“間”は存在するのが宿命だ。

 しかし、そのわずかな間を前後ふたつの電動モーターがうまく埋めてくれる『ポールスターエンジニアード』のパワートレインは、純エンジン車では味わえない右足に操作の吸いつくような加減速レスポンスを生み出している。

 これは素直に気持ちいい。この価格帯の欧州スポーツモデルとなると、電子制御の連続可変ダンパーを備えるケースも多いが、このクルマはオーリンズ社製のマニュアル調整ダンパーを使う。

 よって乗り心地は、いかにも体育会系に引き締まったものとなるが、アシそのものの動きはスムーズ。

 加速側だけでなく減速側も鋭くレスポンスするパワートレインのおかげもあって、積極的なアクセル操作による荷重移動をからめたコーナリングを心がけると、とても活きいきと走る。

 パワートレインはシステム出力で420psに達するが、少なくとも乾いた舗装路では破綻する兆候すら見せない。シャシーの基本フィジカル性能の高さと4WDのトルク配分のうまさには素直に感心する。

 繰り返しになるが、このクルマはPHEVである。プラグインで満充電させると、純粋なEVとしての航続距離はWLTCモードで42.0kmという。昨今のPHEVとしてはEV航続距離は短めといわざるをえないが、欧州の排ガス/CO2排出規制では“プラグインである”ということが有利に働く建てつけになっている。

 だから、少なくとも今後しばらくは、欧州の高性能モデルはPHEVが常識になっていくと思われる。まあ、電動ならではのレスポンスを走りの面白さにうまくつなげてくれれば、それはそれで面白いクルマはできると思う。

インパネまわりは使いやすさを重視しながら、質感の高い加飾などでまとめられている
インパネまわりは使いやすさを重視しながら、質感の高い加飾などでまとめられている
ナッパレザー・コンビネーションスポーツシートを採用。シートベルトは専用のゴールドカラー
ナッパレザー・コンビネーションスポーツシートを採用。シートベルトは専用のゴールドカラー
トランクルームはスクエア形状で使いやすいつくり。容量もたっぷり
トランクルームはスクエア形状で使いやすいつくり。容量もたっぷり
専用デザイン19インチ鍛造アルミホイール、専用ブレンボ製ブレーキシステムを採用
専用デザイン19インチ鍛造アルミホイール、専用ブレンボ製ブレーキシステムを採用

■ボルボ S60 T8ポールスターエンジニアード 諸元

車体
全長×全幅×全高 4760mm×1850mm×1435mm
ホイールベース 2870mm
車両重量 2030kg
乗車定員 5名
駆動方式 AWD
トランスミッション 8速AT
タイヤサイズ 235/40R19
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ+スーパーチャージャー
エンジン総排気量 1968cc
エンジン最高出力 245kW(333ps)/6000rpm
エンジン最大トルク 430Nm(43.8kgm)/4500rpm
モーター型式/種類 T39(前)、AD2(後)/交流同期電動機
モーター最高出力 34kW/2500rpm(前)、65kW/7000rpm(後)
モーター最大トルク 160Nm/0ー2500rpm、240Nm/0ー3000rpm(後)
使用燃料/タンク容量 プレミアム/60L
車両本体価格 919万円(2020年モデルは販売終了)

■Profile 佐野弘宗 Hiromune Sano

1968年生まれ。モータージャーナリストとして多数の雑誌、Webに寄稿。国産の新型車の取材現場には必ず?見かける貪欲なレポーター。大のテレビ好きで、女性アイドルとお笑い番組がお気に入り


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