高級クーペにこそ必要だった人間主導のチューニング。レクサスLC500【ベース車両一刀両断‼︎】
Photo:TOYOTA
その原因は、ゆるすぎるコンプライアンス・ブッシュだ。20インチを超える大径タイヤからの入力を逃がす狙いなのだろうが、これが災いして信号などで停止したあとには、ロッキングチェアのように車体が前後に揺れるのだ。
これはLSでも共通したレクサス車の特徴である。震度4程度では何も感じないくらいの“強者”でなければ、かなり不快な乗り心地である。
おそらく、開発陣はとにかくハーシュネスを小さくしたかったのだろう。それを実現するためにテスターの数値にこだわってしまうと、コンプライアンス・ブッシュはとにかくゆるくするしかなくなる。
もっとテストドライバーの能力を信じ人の感覚に基づいてチューニングすれば、これほど酷いことにはならないはずだ。
また、ボディ剛性が不足しているようで、タイヤの接地感は薄い。エンジンルームを見るとストラットタワーの上部がアルミになっているのだが、アルミなのは頂点だけで剛性的には確実に不利な構造になっている。
おそらく、見た目が立体的なアルミのほうがカッコイイと思ったのだろう……。
プロモーションとしては「サーキットへ繋がる」というようなフレーズも出ているが、そのままサーキットで性能が発揮できるようなラグジュアリークーペに、何の価値があるのか?
「本質的に高性能で、快適性の高いクーペをベースにレーシングカーを作ったら素性が良かったので、速くてチャンピオンになれました」というのがスジではないのか。
セラミックのブレーキや快音のV8よりも、まずはマトモな乗り心地がLC500には必要なのだ。
取り回しや視界を含めて、普通に運転するにあたって不都合な点はない。だからこそ個人的には、タイヤをフロント19インチ、リヤ18インチくらいに落とし、足まわりをセッティングし直して、真のラグジュアリークーペに仕立て直したい素材だと思っている。
■レクサスLC500 主要諸元
車体 | |
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車名型式 | DBA-URZ100-ACUBH |
全長×全幅×全高 | 4770mm×1920mm×1345mm |
ホイールベース | 2870mm |
トレッド 前/後 | 1630mm/1635mm |
最低地上高 | 135mm |
車両重量 | 1940kg |
乗車定員 | 4名 |
駆動方式 | FR |
トランスミッション | 10速AT |
ステアリング | 電動パワーステアリング |
サスペンション前/後 | マルチリンク(スタビライザー付)/マルチリンク(スタビライザー付) |
ブレーキ 前/後 | ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク |
タイヤサイズ | 前:245/45RF20 後:275/40RF20 |
エンジン | |
型式 | 2UR-GSE |
形式 | V型8気筒 |
排気量 | 4968cc |
内径×行程 | 94.0mm×89.5mm |
最高出力 | 351kW(477ps)/7100rpm |
最大トルク | 540Nm(55.1kgm)/4800rpm |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
タンク容量 | 82L |
auto sport 2019年11月29日号 No.1519より転載