RCシリーズは2018年のマイナーチェンジで大幅に改良された。プラットフォームまで手が入ったようで、決定的に不足していたフロア剛性が引き上げられている。
それでも充分とは言えないが、乗り心地もハンドリングもそれなりのレベルに仕上がった。
ステアリングやブレーキの感触は相変わらず悪く、「ハイペースで走って気持ちいい」というような状況にはならないものの、改良前のように不快感を覚える場面が減ったことは間違いない。
ハンドリングはフロントの重さを感じさせるもので、一般的な言い方をすればアンダーステアが強めだ。
ターンインしようとステアリングを切ると、前方から「よっこらしょ」という声が聞こえてきそうだ。
ボディがより大きく重いLCのほうが、ハンドリングの面でははるかに小さなクルマだと勘違いできるほどである。

この傾向はよりフロントが重いRC Fでは一層、顕著になる。だが、このあたりは低剛性な古いプラットフォームにワイドな大径タイヤを組み合わせているので仕方がない部分か。
いいバランスを求めるなら上級グレードの『Fスポーツ』よりも、18インチタイヤ+ノーマルサスの組み合わせのほうがベターで、RCの性格にはマッチしている。
とは言うものの、もっと軽量でコンパクトなIS350を選択したほうが“パーソナルクーペ”的な空気を味わえる。セダンとしてはタイトで、リヤシートの実用性が高くないのがポイントだ。
クーペをクーペたらしめるのは、2ドアであることではなく、“個人的な空間”であることだ。さらに言えば、作り手には「どのようなパーソナルスペースを提供するのか」が試される。
上質さや性能、機能の追求はセダンでやればいい。クーペとしてのアピール力は、RCだけでなく、LCも不足している。とどのつまり、それは「高級さを欠く」ということなのだが。

■レクサスRC350 主要諸元
車体 | |
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車名・型式 | DBA-GSC10-RCZLH |
全長×全幅×全高 | 4700×1840×1395mm |
ホイールベース | 2730mm |
トレッド 前/後 | 1580/1600mm |
最低地上高 | 125mm |
車両重量 | 1690kg |
乗車定員 | 4名 |
駆動方式 | FR |
トランスミッション | 8速AT |
ステアリング | 電動パワーステアリング |
サスペンション 前/後 | ダブルウイッシュボーン(スタビライザー付き)/マルチリンク(スタビライザー付き) |
ブレーキ 前/後 | ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク |
タイヤサイズ | 235/45R18 |
エンジン形式 | V型6気筒 |
総排気量 | 3456cc |
最高出力 | 234kW(318ps)/6600rpm |
最大トルク | 380Nm(38.7kgm)/4800rpm |
使用燃料/タンク容量 | プレミアムガソリン/66L |
車両本体価格 | 649万4000円 |
auto sport 2019年12月13日号 No.1520より転載