■マツダ MX-30/スタイリングのみにあらず。居心地の良いキャビンも魅力
■価格帯:242万〜265万6500円

2019年の東京モーターショーで発表されたマツダSUVの最新モデルが、MX-30。
走り自慢のCX-30から発展したSUVだが、MX-30は“電動”にこだわっており、先行発売のマイルドハイブリッド車に加え、2021年にはBEV車も投入される予定だ。
ロングノーズ/ショートデッキのパッケージングはCX-30と同様だが、フロントフェイスの違いや、トップルーフからCピラーにかけて流れるようなボディラインなど、クーペライクなスタイリングを採用する。
左右ドアも4枚ドアではなく、観音開きのフリースタイルドアも特徴だ。
室内はフリースタイルドアにより後席にも一定の配慮をしているが、本質的にはふたり乗りを楽しむクルマ。十分なスペースに加え、コルクをあしらった内装加飾やデニムのシート地など、独特の空間が堪能できる。
パワートレインは2.0リッター直列4気筒エンジン+モーターのマイルドハイブリッドを採用する。モーターアシストはガンガン干渉する感じではなく、必要な瞬間にさりげなく効かせる制御となる。エンジンフィールも程よい速度域での加減速の妙を楽しむ味付けだ。
サスチューンもCX-30より穏やかで、他のマツダCXシリーズとは少し異なる、ゆったり走るのが楽しいタイプだ。



【購入ガイド】マツダMX-30のオススメは『e-SKYACTIV G 2.0』
標準仕様車をベースに好みのオプションを追加していくスタイル。標準仕様車は242万円(FF)と車格の割りにはリーズナブルだ。
利便機能が追加されるベーシックパッケージ(7万7000円)と安全運転支援機能が強化されるセーフティパッケージ(12万1000円)は是非装着したい。
自分好みで内外装のパッケージオプションを追加すると価格はもう少し高くなる。自分仕様を選べるのは楽しいが、ちょっと分かりにくいのも事実だ。
■スバル・スバルXV/場所を選ばないマルチプレイヤー。最新の改良ででSUVらしさを大幅強化
■価格帯:220万〜292万6000円

スバルXVは、インプレッサ スポーツをベースに開発されたコンパクトSUV。乗用車的なパッケージングだが、本格的な悪路走破機能を与えられたことで、ラフロードも難なくこなせる。
シャシー性能の高さも手伝って、走る場所を選ばないマルチプレイヤーということも人気の理由だろう。
パワートレインは1.6リッターと2.0リッターの水平対向4気筒だが、主力を担うのは2.0リッターエンジンに小型モーターを組み合わせるマイルドハイブリッドのe-BOXERモデルだ。
モーターアシストの制御が巧みで、1.6リッター車に比べると低中速域の盛り上がりやコントロール性が一枚上。重量が嵩む本格4WDシステムを搭載することもあって、ハイブリッド車の割りに燃費が伸びないという弱みはあるが、それを気にさせない走りの質感の高さは大きな武器といえるだろう。
装備機能も充実している。車載ナビはオプション装着だが、悪路で心強いX-MODEを備えるほか、目玉のアイサイトも高速道路でのステアリング制御まで対応するツーリングアシストが全グレードに標準装着されている。
コンパクトSUVの中では格上の存在だが、車両価格はなかなかお値ごろで、むしろ割安感を感じる。4WDが絶対条件というユーザーにとっては、スバルXVはかなり魅力的な1台だろう。



【購入ガイド】スバルXVのオススメは『2.0e-Lアイサイト』
パワートレインは1.6リッター車とe-BOXERの2.0リッター車を設定。1.6リッター車(220万円〜)はe-BOXER車(265万1000円〜)との価格差は約40万円。このクラスとしては、かなりの差がある。
グレードは5つ(1.6リッター車がふたつ、e-BOXER2.0リッター車が3つ)あるが、主な違いは内外装意匠や上級装備で、アイサイトやオーディオレスの仕様は全グレード共通だ。
価格と性能のバランスを考えると、e-BOXER2.0リッター車のエントリーグレード『2.0e-Lアイサイト』がベストバイだろう。
■トヨタ・ライズ ダイハツ・ロッキー/2020年のベストセラーSUV。最小クラスと侮れない実力を披露
■トヨタ・ライズ価格帯:167万9000〜228万2200円
■ダイハツ・ロッキー価格帯:170万5000〜236万7200円

今回登場させた5車の中で最もコンパクトなモデルが、トヨタ・ライズ/ダイハツ ・ロッキーだ。
トヨタ・ヤリスクロスと比べても、ライズ/ロッキーはひと回りコンパクトなサイズで、パワートレインも1.0リッターターボのみと少し下の設定になる。
ハードウェアは最新設計で、ダイハツDNGA技術由来の最新Aプラットフォームの採用に加えて、1.0リッターターボエンジン&D-CVTを搭載する。
1.0リッターターボエンジンは、回せば回すほどパワーが盛り上がる特性が強く、スペックからは想像できないほど軽快な走りを披露する。
高速ツーリング適性や省燃費性能はヤリスクロスに及ばないが、アクセル操作に俊敏に応えてくれる軽快さは選ぶ価値がある。
巧みなレイアウトもあってキャビン&荷室は余裕を感じる広さを持つが、装備機能は車格相応。安全&運転支援機能もひと通りは揃っているが、運転支援機能の上位機能が上級グレード限定やオプション設定になるのは残念なところだ。
車載ITもオーディオレスが標準で、DA(ディスプレイオーディオ)も選べるが純正オプションという設定。
自分の好きな社外ナビが選べるメリットはあるが、最廉価グレードを除けば全部入りという充実ぶりのヤリスクロスと比べると、少し見劣りしてしまう。



【購入ガイド】トヨタ・ライズは『Z』、ダイハツ・ロッキーは『G』がベストバイ
ライズとロッキーの違いは内外装の意匠程度。グレード体系もロッキーに最上級グレードのプレミアムが用意されるほかは、価格帯も含めてほとんど違いがない。
ただ売りのひとつである安全運転支援機能は安全系には全グレード標準だが、運転支援系は上位グレード限定という機能も多い。
ACCとレーンキープコントロールが装着されるロッキーなら『G』と『プレミアム』、ライズならば『Z』を選ぶのが無難な選択。下位グレードとの価格差は15万円ほどあるが、ここは出していい出費だ。