更新日: 2022.10.31 18:47
新生『SL』はメルセデスAMGの独自開発に。専用設計シャシーにF1直系の“電動ターボ”を搭載
最高出力381PS、最大トルク480Nmを発生するこのエンジンには、厚さ約4cmで 排気側のタービンホイールと吸気側のコンプレッサーホイールの軸に直接一体化された、量産車としては世界初となるエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを採用。このターボはF1由来の技術となり、現在のメルセデスAMG・ペトロナスF1チームが長年採用して実績を重ねてきたシステムを直接のベースとしている。
この軸間モーターが電子制御でターボチャージャーの回転軸を直接駆動し、コンプレッサーホイールの回転数を制御。排気圧が上がらない領域でのサポートを担い、アイドリングスピードから全エンジン回転域にわたってレスポンスが大きく改善されると同時に、低回転域のトルクを高める効果をもたらされ、アジリティや発進加速性能の向上につながっている。
また、アクセルから足を離したりブレーキを踏んだりした場合でもブースト圧を維持することができるため、速やかなレスポンスが途切れることなく得られるという。
このターボチャージャーは車載の48V電気システムを電源とし、最大17万0000rpmまで動作することで極めて高い空気流量を供給。ターボチャージャーと 電気モーター、それに電子制御ユニットはエンジンの冷却システムに接続されており、つねに最適な温度管理が行われる。
同時にBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)も第2世代となり、48V電気システムの中ではマイルドハイブリッドとしても機能。短時間ながら出力を10kW(16PS)高めるブースト機能のほか、セーリングモードや回生ブレーキにより効率を最大限に高める。そのセーリングモードの切り替えやECOスタートストップ機能も48V電源が担い、移行や切り替えがほぼ体感できないほどのシームレスさで行われる。
その高出力を支える脚元には、きわめて軽量かつ可変ダンピングシステムを搭載した高性能なアルミニウム製ダンパーと軽量コイルスプリングを搭載した新開発のAMG RIDE CONTROLサスペンションを標準装備。フロントではメルセデスAMGの量産車として初めて、5本のリンクをホイールの内側にすべて収めたマルチリンク式を採用する。
さらに全リンク類とステアリングナックル、ハブキャリアなどを鍛造アルミニウム製としてバネ下重量を削減し、特殊な焼き戻しにより性能を損なうことなく軽量化したコイルスプリングには、シートを接着する方法も採用して1本あたり約0.2kgの軽量化も果たした。
また、減衰力特性を調整できるAMGの最新世代ダンパーは、プレッシャーリリーフバルブを各ダンパーに2個ずつ搭載し、伸び側と縮み側の減衰力特性を広範囲で相互に独立制御することも可能とした。
これらの方式や新機能の数々により、快適性を高めながらいちだんとスポーティなドライビングダイナミクスを実現することが可能となった新型『メルセデスAMG SL』は、左右双方のステアリング仕様が用意され、価格は1648万円(税込)となっている。
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