そして第3の冷却回路はエンジンオイルを対象とするもので、右側ホイールアーチにある水冷式オイルクーラーにより、エンジンベイ外に配置するのに加えて専用のオイルサーモスタットによって制御される。オイル用の配管と冷却水用の配管にはスチール製ではなくアルミニウム製を採用することで軽量化も図られた。
また、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングする、おなじみNANOSLIDE摩擦低減加工や、走行モードの“Comfort”を選択中、エンジン回転数が1000~3250回転で低負荷の際に、2/3/5/8番の4気筒を休止する“AMGシリンダーマネジメント”も搭載されている。
こうした性能を支える駆動系では、初代以来70年近くにおよぶSLの歴史の中で初めて4輪駆動が採用され、AMGのパフォーマンス志向連続トルク可変配分式4輪駆動システムの“4MATIC+”を標準装備とした。
常時駆動されるリヤアクスルに、可変的にフロントアクスルを接続するのは電子制御機械式クラッチとなり、走行条件やドライバーの運転操作に応じて、トラクション重視の4輪駆動と純粋な後輪駆動の間を連続的に変化させながら走行することが可能となっている。
また、フロントにはメルセデスAMGの量産車としては初めて、5本のリンクをホイールの内側にすべて収めたマルチリンク式が採用されており、前後5リンクになるとともに、操舵システムに対する駆動力の影響を最小限に抑えている。
そのサスペンション自体にも新たに開発されたAMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンションが採用され、こちらもメルセデスAMGの量産モデルとしては初めての搭載に。従来の機械的なアンチロールバーに代えて能動的な油圧機構を採用したことにより、ロールを瞬時に補正することが可能に。
アダプティブダンパーにも2系統の油圧接続を備えて4本のサスペンションストラットを相互に接続するとともに、ポンプとスイッチングバルブに対して圧力調整を行うことで、伸び側と縮み側を制御する”コンフォートバルブ”と呼ばれる電子制御2/2ウェイバルブの効能を含めて、極めて広いロールレートの確保と同時にロール量の低減が可能となった。
リヤ側では電子制御リミテッド・スリップ・デフに加えて、こちらもSL史上初のリヤ・アクスルステアリングが標準装備に。速度に対し前後同位相から逆位相、最大後輪切れ角2.5度の範囲で制御するバイワイヤの機能により、前輪のステアリングギア比を12.8:1とよりダイレクトに変更(非装着車は14.2:1)したことで、限界域におけるコントロールが容易になり、ステアリング操作の負担が小さくなるなどのメリットが生まれている。
この『メルセデスAMG SL63 4MATIC+』登場に併せて、従来の2リッターの直列4気筒直噴ターボ+BSGを搭載する『SL43』にも一部改良が施され、ルートを車両に記憶させることで、車両が区間の移動および駐車するメモリーパーキングアシストを標準装備に。また新デザインのボンネットエンブレムや新ペイントのホイール、内装色も採用され、価格は『メルセデスAMG SL63 4MATIC+』が2890万円、同『メルセデスAMG SL43』が1700万円(いずれも税込)となっている。
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