更新日: 2023.07.21 12:23
強力なハイブリッドシステムが提供するスポーティな走りが魅力/プジョー408試乗
横置きレイアウトのパワートレーンは308と共有する。ガソリンとPHEV(プラグインハイブリッド車)の2種類だ。ガソリンは1.2リッター 直列3気筒ターボとアイシン製8速ATの組み合わせ。PHEVは1.6リッター 直列4気筒ターボとアイシン製ハイブリッドトランスアクスルの組み合わせだ。このトランスアクスルは1モーターと8速ATを内蔵する。グレード名でいうと、『408 Allure(アリュール)』と『408 GT』がガソリン、『408 GT HYBRID』がPHEVとなる。
試乗したのはPHEVの『GT HYBRID』だ。エンジンは132kW(180ps)/6000rpmの最高出力と250Nm/1750rpmの最大トルクを発生。加速時にエンジンをアシストし、減速時には回生(発電)するモーターの最高出力は81kW(110ps)/2500rpm、最大トルクは320Nm/500〜2500rpmである。エンジンとモーターを合わせたシステム最高出力は165kW(225ps)、システム最大トルクは360Nmだ。
リヤアクスルの後方に12.4kWhの電力量を持つリチウムイオンバッテリーを搭載するため、66kmの一充電あたりEV走行が可能(WLTCモード)。近距離の移動なら電気自動車(BEV)と同じ使い勝手となる。この点が『GT HYBRID』の魅力なのは間違いないが、強力なハイブリッドシステムが提供するスポーティな走りも魅力だ。
試乗時はバッテリー残量がほとんど空で、エンジンの動力を主体とするハイブリッド走行に終始した。『GT HYBRID』の車重は1730kgあり、ガソリンモデルより310kgも重いが、エンジン主体の走りでも充分にスポーティな走りが楽しめる。センターの10インチタッチスクリーンにエネルギーフローを表示させて観察していると、アクセルペダルを踏み増した際に間髪入れずモーターのアシストが介入するのがわかる。
表示で確認せずとも、背中をグッと押す感覚でモーターアシストの頼もしさが感じられる。アクセルペダルをオフにして減速フェーズに入ると、モーターの発電機能が働いて運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、バッテリーに蓄える。これはハイブリッドシステム搭載車として当然の機能。エネルギーフローを観察していると、定常走行時(低回転低負荷)でもときおりモーターで発電しているのがわかった。
F1のパワーユニットでも取り入れている制御で、エンジンで走りながら、モーターを連れ回し発電しているのである。モータースポーツで適用する場合はラップタイム短縮が狙いだが、量産車の場合はモーターを連れ回してエンジンに負荷を与えることで、エンジンにとって効率のいい(燃費率のいい)ゾーンで運転する狙いがひとつ。
もうひとつの狙いは、そうして隙を見て発電することで、不足しがちな電気エネルギーを蓄えておき、次にドライバーが強い加速を求めた際に応えられるようにすることだ。
こうした緻密な制御のおかげもあり、『GT HYBRID』はモーターの力強いアシストを要所で発揮して、ドライバーを爽快な気分にさせる。アクセルペダルを深く踏み込んだときの力強さは圧巻。獲物に飛びかからんばかりの鋭いダッシュ力を見せつける。