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投稿日: 2020.05.26 15:09
更新日: 2020.05.26 19:02

世界中のモータースポーツが“コロナ中断”からの早期レース再開を願う訳【大谷達也のモータースポーツ時評】


コラム | 世界中のモータースポーツが“コロナ中断”からの早期レース再開を願う訳【大谷達也のモータースポーツ時評】

 一方で私は、自動車メーカーは困難な状況でのレース開催に慎重な姿勢を示すだろうと予想していました。なぜなら、世界中でビジネスを展開する自動車メーカーが背負う社会的な責任は極めて重く、自分たちが関わるレースシリーズで多くの感染者が出る事態を強く恐れると考えたからです。

 結果的に中止された今年のF1開幕戦オーストラリアGPにおいても、FIA、オーストラリアGP主催者、リバティメディアによる議論が紛糾するなか、最終的にはメルセデス・ベンツがFIAに中止を進言して議論が収束したといわれます。

 しかも自動車メーカーは企業規模が大きく、財政的にも盤石です。たとえ一時的に収入が途絶えても経営が傾くことはないだろうと予想していましたが、現状は想像以上に深刻で、そろそろ経済活動を平常時に近づけないと取り返しがつかなくなる企業が出てくるとの情報も聞こえ始めました。

 この辺も6~7月再開説を後押しするひとつの根拠となっています。

 いずれにせよ、1日も早いレース再開はすべてのモータースポーツファンの願いでしょう。ちなみに、インディカーとNASCARの再開がほかのシリーズよりも早いのは、アメリカでは9月ないし10月にアメリカン・フットボール、バスケットボール、アイスホッケーなど人気プロスポーツ・シリーズのシーズンが開幕してテレビ局の中継枠を取りにくくなるためと推測されます。

 ただし、新型コロナウイルスと人類の戦いがまだ終わったわけではありません。ワクチンや治療薬がなく世界中の人々の大多数が感染したことがない現状では、たとえ一時的に感染者数が減っても、第二波、第三波がやってくる可能性は絶えずあります。

 その意味では、関係者は経済活動と感染予防策のバランスを図る難しい判断を迫られることになりそうです。

いち早く2020年シーズンが再開されたNASCARでは場内の消毒作業も頻繁に行われた
場内では消毒作業も頻繁に行われた


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