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投稿日: 2023.10.26 18:56
更新日: 2023.10.26 18:57

apr 2023スーパー耐久第6戦岡山 レースレポート


国内レース他 | apr 2023スーパー耐久第6戦岡山 レースレポート

ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIGESTONE
第6戦:岡山国際サーキット(3hレース)
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km
10月21日(予選)天候:くもり
コースコンディション:セミウエット~ドライ 観客数:2800人
10月22日(決勝)天候:くもり
コースコンディション:ドライ 観客数:3800人

狙えた表彰台、惜しまれるペナルティ。RC Fが不得手な岡山では4位に……

 2023年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。4シーズン目となる『DENSO LEXUS RC F GT3』をドライブするのは、新たに加わった永井宏明選手、そして小高一斗選手と嵯峨宏紀選手だ。

 岡山国際サーキットが舞台のシリーズ第6戦は、第3戦以来となる2グループ開催で、3時間レースとして競われる。2本のストレートを中低速のコーナーでつないだレイアウトは、走りにリズムを要することで知られ、ひとつのコーナーでのミスが、次のコーナーでのオーバーテイクを招きかねない難しさをもつ。

 モビリティリゾートもてぎでの前回のレースは、今季2回目のポールポジションを獲得し、決勝でそのまま逃げることはできなかったが、中盤にはトップを奪い返し、そのまま逃げ切りに成功。aprが『DENSO LEXUS RC F GT3』を走らせて3年半、RC F GT3がスーパー耐久にデビューして以来、実に6年半にして待望の初優勝を飾っている。

 ランキングでも3位に浮上し、トップとの差は14ポイントとなって、悲願の王座獲得もあながち夢ではなくなってきた。ウエイトハンデが45kgとなったのが気になるところだが、何としても最終戦に希望をつなぎたいところだ。

公式予選 10月21日(土)14:05~

 今回も金曜日から練習を開始し、小高選手が中心となってセットアップを進めていく。セッション1のベストタイムは1分31秒654。セッション2は永井選手だけが走行し、かつ周回を最小限にとどめていたのは雨に見舞われたからだ。土曜日からの降水確率は極めて低く、再びウエットコンディションにはならないというのが大方の見立てだった。

 実際、土曜日午前のフリー走行はくもりながら、ドライコンディションが保たれ、永井選手が主に走行。1分33秒台をコンスタントに刻み、最後は小高選手が乗り込んで1分32秒158をマーク。本番に向けて、万全の構えとしていた。

 ところが、公式予選を前に予想外の事態が。直前になって通り雨に見舞われ、すぐにやんだとはいえ、路面が濡らされてしまう。ST-XクラスのAドライバー予選は、それでもダンプコンディション状態にまで回復していたため、永井選手は迷わずドライタイヤをチョイスし、金曜日にウエットコンディションを走ったことが活かされる格好ともなった。

 最初は慎重にウォームアップを行い、路面コンディションの回復を待った永井選手がアタックを開始したのは、実に計測6周目から。1分31秒866を記録した後、次の周には1分31秒596にまで短縮し、トップからコンマ4秒差にとどめて4番手につけた。

 今回は普段のレースと異なり、Bドライバー予選を最後とし、Cドライバー予選とDドライバー予選を間に挟んでいた。続いてBドライバー予選を走った嵯峨選手はユーズドタイヤながら、1分31秒790をベストタイムとし、このセッションのトップにつけた。

 そして、いよいよBドライバー予選に小高選手がいどむ。アタックは計測3周目からとし、まず1分30秒132を記録した後、1分30秒044にまで短縮し、トップからコンマ6秒遅れとなる5番手に。その結果、合算タイムでは4番手となり、『DENSO LEXUS RC F GT3』は決勝レースを、2列目アウト側のグリッドからスタートすることとなった。

永井宏明選手

「最初はより濡れていたので、最後の方までタイヤのウォームアップをしてからアタックしようと思っていましたが、ちょっとセクター1でフロントタイヤの温まりに差がありアンダーステアが出てしまって。うまくタイムをまとめ切れませんでしたが、あとは小高くんに任せます。しっかりピットで応援します」

小高一斗選手

「RC F的には、もう少し速く走れたと思いますが、僕の予選に向けたセットが高速コーナー寄りに振り過ぎていて、インフィールドのトラクションが減ってしまい、タイムアップの限界がそこで決まってしまった。決勝は3時間と短くすぐ終わってしまうので、セットを見直し、ミスなくみんなでやって、最低でも表彰台には上がりたいと思います。明日も頑張ります…」

嵯峨宏紀選手

「いつもと予選の順番が違って、ちょっと新鮮でした。永井選手からすぐ小高選手という順番だったのを、自分が間に入ることで小高選手にマシンのフィードバックをすることもできました。僕が走った時は、ライン外すとまだ濡れているところがありましたが、ライン上は完全にドライでした」

金曽裕人監督

「ここはRC Fにとっては不得意なサーキットですが、それでも元気に走れるポジションを探そうと、いろいろやっていましたが、結果的なことを言うと、4番手と予想通りでした。空力マシンで高速コーナーを得意とするので小回りの多い岡山では善戦したと思います」

「前後タイヤのサイズが同じ大径なので、フロントが温まるまではアンダーステア傾向となり永井選手もセクター1のロスだけで0.4秒と苦戦。ドライバーの実力からはトップも見えていました。明日は前後のタイヤが温まれば、コンスタントには走れるので、『あの手この手で表彰台登れたらいいね』ってレースをしようと思っています。3時間レースですから、作戦とドライバーのパフォーマンスにご期待ください」

2023スーパー耐久第6戦岡山 DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第6戦岡山 DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)

決勝レース 10月22日(日)13:30~

 今回は2グループ開催ということで、午前にグループ2の決勝が行われ、暫定表彰やピットウォークが行われたのち、午後からグループ1の決勝スタート進行が開始された。

 今回のドライバー交代を伴うピットストップ義務は2回、そしてAドライバーの最低乗車時間は60分とされている。

 今回もスタートを担当したのは永井選手。7台中5台はプロが担当するなか、2番手の車両がピットスタートを強いられる。そしてグリーンランプの点灯後、プロの容赦ない猛攻のなか、いったんは6番手に退いていた『DENSO LEXUS RC F GT3』ながら、2周目には同じジェントルマンドライバーをかわして5番手に浮上し、その後は後続を振り切り続けた。

 規定の1時間を走り切った永井選手は、39周目にピットイン。『DENSO LEXUS RC F GT3』を引き継いだ嵯峨選手はタイヤ無交換でコースに送り出され、まずは5番手を走行する。そこからじわりじわりと前の車両に近づき、47周目には4番手に浮上。

 その時点で30秒ほどあった3番手との差も詰め続ける。コース上での逆転は果たせずも、10秒を切るまでとした66周目に小高選手にバトンを渡し、ゴールまでの残り70分を任せることとなった。

 ところが、タイヤ交換作業でタイヤを転がしてしまう痛恨のミスが……。2番手の#23号車がピットアウトし4秒差の3番手につけ、相手は冷えたタイヤでもあり、小高選手のオーバーテークと期待したが、89周目に痛恨のドライビングスルーペナルティ。

 ひとつ順位を落とすことになる。その時点で小高選手は前後の差がともに10秒を切っていたため、追う立場にも、追われる立場にもなっていた。なんとしても3番手は欲しいところだったが……。

 それぞれミスなく周回を重ねたことで、順位変動はなく『DENSO LEXUS RC F GT3』は4位でゴール。そのため、総得点であればチャンピオンの可能性は残されたものの、有効得点であるため可能性は喪失してしまった。

 続いてのレースは、いよいよ最終戦。11月11~12日に富士スピードウェイを舞台とする、全クラス混走による4時間レースには、もはや大暴れの予感しかない。

永井宏明選手

「レースペースとセットアップを、もっと改善しなきゃダメだっていうレースでした。ピット作業ペナルティで、表彰台を逃してしまったのも、とても残念でした。次はRC Fのパフォーマンスが使える富士なので、最終戦は2勝目が飾れるように、チームみんなで頑張りたいと思います」

小高一斗選手

「ペース的には予選もそうでしたけど、ちょっとトラクションが薄いかな、というところがありました。岡山に合っていないという部分はありましたが、もうちょっとセットアップで良くできたのかな、とは思います。最終戦の富士は、最後良ければすべてよし!を目標に頑張ります」

嵯峨宏紀選手

「自分のスティントは、永井選手からタイヤ無交換で受け継いで、正直どのぐらいロングがもつか見えていない状況ではありましたが、ピットでのロスを減らすという作戦は良かったと思います。いかんせん後半、トラクションが厳しくて、あとコンマ5秒ぐらいアベレージ上げられたら、また展開は違ったかもしれません。ちょっと苦労はしていましたが、うまく小高選手に渡すことができました。最終戦で優勝して有終の美を飾れるように、チームと頑張っていきたいと思います」

金曽裕人監督

「岡山国際サーキットはレイアウト的にもRC Fには不利であり、その部分を作戦にて、2位か3位を狙いチャンピオンの権利を最終戦に残そう、あわよくば優勝までもと考えていました。1回目のピットストップで誰もトライしなかったタイヤ無交換をやってみて、ドラスティックな展開を試したのもその理由。3人のドライバーも完璧な走りで、あわよくば2番手、3番手は確実なレース展開でしたが、ごめんなさいピット作業ミスで全てを台無しに。勢いあまり、外したタイヤをピットレーンまで転がしてしまいました」

「作戦的には正解でしたが、やっぱりレースはいつも弱いところが炙り出されるので、全力で挑むドライバーの為にも、応援してくださる皆様のためにも、チームはもっとピット作業を練習し完璧でないといけません。これでチャンピオンシップは遠のいたので、最終戦は2勝目を狙い、記録より記憶を求めます。ご期待ください」

2023スーパー耐久第6戦岡山 DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第6戦岡山 DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)


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