2022年からTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptのステアリングを握り、ここまで車両開発を行ってきた井口卓人と山内英輝のふたりも、このレースに達成感があるようだ。
「多少のトラブルは抱えながらでしたけど、長い(ピット)滞在時間はなかったですし、良いペースで24時間を走り続けることができたので、ここまでみんなで作り上げてきたBRZの集大成として、すごく良いレースだったと思います」と語るのは井口。
「僕たちは、スバルの若手エンジニアみんなのアイデアで車両をどんどんと作り上げてきました。トライ・アンド・エラーも結構多かったですけど、みんなでいろいろと話し合い、最終的に富士24時間でこういった結果を得ることができたのは、やっぱりみんなの努力の賜物だと思います」
「今後の車両開発という意味では、もっとタイヤや力を受け止めてくれる足回りやジオメトリーを投入してきています。すごく良いペースで24時間を走り切ることができたので、良いデータを採ることができたのではないでしょうか」
また井口は、本井代表が言っていた“人間性”の部分で「最初の1年目はみんな不安な表情をしていましたけど、今は本当に自信を持ってレースの世界で戦えているので、ものすごく良い経験ができていると思います」とチームを評した。
同じく山内も「今までのレースのなかで、いちばんしっかりとレースを戦えることができました。耐久性という意味でも、決勝で手を抜くことなく、最後の最後までプッシュすることができましたし、マシンもしっかりと持ってくれました。『こうしたい』という改善点はありますけど、まずは現在の状況でベストなレースが展開ができたので、非常に良かったです」とレースを振り返る。
ここまでの挑戦を「クルマの進化もそうですけど、それぞれの分野で担当している“人間の成長”をすごく感じます。それがより良いクルマづくりに繋がると思うので、新型車両がどういった進化をしていくかがすごく楽しみです」と山内。
そして井口は、新型車両のHIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPTは「まだ全然開発などが進んでいないので『苦労するだろうな』という思いもありますけど、GT4車両あたりを狙っていきたい」という展望を述べた。
「いろいろなことがあるかもしれないですけど、やっぱり走らないと次に繋がりません。走ってのトラブルも出るかもしれないですけど、そのなかで次に繋がる開発ができればいいなと思っています。また、スバルといえば四輪駆動のイメージがものすごく強いので、その技術をまた鍛えることができると思うと、ものすごく嬉しいチャレンジですね」
次戦となる第3戦オートポリスからは、HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPTで新たなチャレンジを行うTeam SDA Engineering。スバルといえば“ターボ”と“四輪駆動”のイメージを次の世代にも継承するための挑戦と開発が続けられる。
