KTMS
ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第2戦 NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース
2024年5月24日(金)〜5月26日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
入場者数:5月24日:5,000人/5月25日:26,400人/5月26日:23,300人
順調な追い上げをみせるもトラブルに泣く
シーズン最長の一戦は5位で終える
■PRACTICE STEL専有走行
5月23日(木)
天候:曇り 路面/ドライ
第1戦SUGOでは、スタッフ全員が一丸となって作り上げたKTMS GR YARISが嬉しい優勝を遂げ、喜びに沸いたKTMS。シーズンに向けた流れを掴みたい第2戦は、富士スピードウェイで開催されるNAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース。KTMSにとっては、最高の笑顔も悔しい涙も思い出す、シリーズ最長、最難関の一戦だ。
24時間レースだけに、他チームは多くが“助っ人”ドライバーを起用するが、KTMSは若き一條拳吾/奥本隼士/小林利徠斗/中村仁の4人という開幕戦と同じメンバーで臨んだ。長年チームを支える一條にとっては、まだ成し得ていない富士24時間での優勝が大きな目標にもなっていた。
そんな一戦に向け、ST-2クラスは1台のシビック・タイプRが増え、さらに激戦区となっていた。とはいえKTMS GR YARISにスピードがあることは第1戦で確認できている。KTMSは5月22日(水)のスポーツ走行は走らず、5月24日(木)の2回の走行から週末に向けた準備を進めた。
曇天のもと午前は小林と中村、午後は一條と奥本の周回を多めにとりラップを重ね、午前は5番手、午後は4番手とライバルが速い状況ではあったが、今回は何しろ長丁場。決してKTMS GR YARISに無理をさせない走りで午後7時から行われた夜間専有走行もこなし、KTMSは長いレースウイークの初日を締めくくることになった。
■QUALIFY 公式予選
5月24日(金)
天候:晴れ 路面/ドライ
富士SUPER TEC 24時間レースは土日が決勝ということもあり、5月24日(金)は午後0時から公式予選のみが行われた。
まずAドライバー予選に出走した一條は、1分53秒063を記録。ST-2クラスの3番手につける。続くBドライバー予選では、奥本が1分53秒299を記録するも、ここでは5番手。合算タイムでは5番手という結果となった。上位はランサー勢、シビック勢がつけており、彼らのスピードは気になるところではあったが、今回はクルマを大切にすることが最重要課題。その意味では、5番手は悪い位置ではないとも言えた。
Cドライバー予選では、小林が1分55秒201を記録し2番手に。Dドライバー予選では中村が1分54秒139を記録し首位につけ、KTMSはここまでトラブル等もなく、順調に予選日を終えた。
■RACE 決勝レース
5月25日(土)〜26日(日)
天候:曇り〜雨〜晴れ 路面/ドライ〜ウエット〜ドライ
これまでの富士SUPER TEC 24時間レースのなかでも最多のとなる観客数が訪れ、盛り上がりをみせた5月25日(土)からの決勝レース。午後3時、ついにその火ぶたが切って落とされた。
今回KTMS GR YARISのスタートドライバーを務めたのは奥本。ただ1周目、そのまま奥本はピットロードに入っていく。今回、KTMSのAドライバーハンディキャップは非常に大きく、なんと300秒のストップが課せられていた。混雑している序盤に、まずはそれをこなしてしまおうという作戦だ。
ここからKTMSは、24時間という長い時間を使っての追い上げをスタートさせた。決して無理をするわけではないが、コンスタントなペースで少しずつ順位を上げていく作戦だ。その狙いはしっかりと発揮され、奥本から中村、一條、小林と順調にバトンを繋ぎながらラップを重ねていった。今回のレースは各所でアクシデントやトラブル等はあるものの、セーフティカーが導入されることはなく、淡々とレースが進んでいった。
ふたたび奥本が乗り込む頃にはすっかりサーキットには夜のとばりが下りていたが、ライバルたちのトラブルもあり、KTMS GR YARISはしっかりとトップを見据える位置まで浮上していく。ただ首位の#13 GR YARISは順調に周回を重ねており、彼らを目指しさらにKTMSはレースを戦っていった。
そんななか、奥本から中村に交代する頃には、サーキットには雨が降りはじめた。次第に雨脚は強くなったが、そこまで急激に路面が濡れるわけでもない。中村から代わった一條は、雨のなかスリックで粘りの走りを披露。深夜には一度奥本のスティントを挟みながら、ふたたび一條がステアリングを握り、追撃を続けていった。
しかし、そろそろ朝日が見えようかという午前5時過ぎ、恐れていたトラブルが起きてしまった。原因はデフで、チームは1時間32分にわたる作業を強いられてしまった。
なんとかチームは修復を終え、小林がステアリングを握り再コースイン。少しずつ雨が止み、路面も乾くなか中村に代わり再度追い上げたものの、今度は車輪速センサーのトラブルでABSに不調を抱え、午前9時を前にまたも1時間ほどの作業を強いられた。
修復後は一條、小林、中村、さらに奥本とステアリングを繋ぎ、周回を重ねていったものの、終わってみればトップからは74周遅れの5位という結果となった。タラレバは禁物ではあるが、ふたつのトラブルさえなければ、優勝した#13 GR YARISとは面白い勝負ができていた可能性もあった。
とはいえ、悔やんでばかりもいられない。富士SUPER TEC 24時間レースは獲得ポイントも多い。メカニックたちが力を合わせ車両修復を行ったおかげで、しっかりとポイントを獲得することができた。
次戦は7月のオートポリス。チームは一丸となってトラブルの原因と対策を進め、次戦今シーズン2勝目を目指す。


DRIVER’S VOICE
一條 拳吾 KENGO ICHIJO
KTMSでの3回目の24時間で、三度目の正直と思っていましたが、このレースの過酷さを改めて痛感しました。今回は結果以上にトラブルなく走り切ることを目標に掲げていたので、それを達成できなかったところにいちばんの悔しさを感じます。とはいえ、これまで経験していなかったトラブルだったので経験になると思いますし、トラブルに対しみんなでひとつになって作業にかかれたので、成長に繋がると思っています。今回良かったことを次戦に活かしていきたいですね。
奥本 隼士 SHUNJI OKUMOTO
5位という結果ではありますが、何が起きても諦めないというみんなの思いが、最終的に完走という結果に繋がったのではないかと思っています。自分の走りとしても、雨などいろんなコンディションがありましたが、個人的にはしっかりとやり切ることができたと思います。もちろん優勝を目指していたので悔しい気持ちもありますが、みんなで一緒に頑張ることができたのは良かったので、次戦オートポリスではしっかりと良い結果に繋げられるよう、頑張っていきたいと思います。
小林 利徠斗 RIKUTO KOBAYASHI
率直に言ってしまうと楽しかったです。24時間耐久レースは有名なところではル・マン24時間などありますが、そういったレースに興味がありましたので。この富士もイベント全体として盛り上がっていました。クルマのトラブルが起きてしまったのは悔しいですが、これもひとつの経験として次に活かしていきたいですし、クルマを労りながら燃料もタイヤも気にして走ることは大変でしたが、気を配るほど良い走りができると思うので、その点ではもっと成長できるようにしたいです。
中村 仁 JIN NAKAMURA
長かったですね。天候や路面の変化も起きますし、僕たちはトラブルもあったので、新たな経験が積めたのではないかと思っています。第1戦ではレースでドライブできませんでしたが、みんなと同様クルマを労る走りができたと思っています。レースではクルマのことも勉強できたので、たくさん乗れたことは良かったですね。次戦のオートポリスもかなりクルマに負担が大きいコースだと思いますので、クルマを労りながら、次戦以降やれることを全部やって勝ちに行きたいと思います。
上田 昌宏 MASAHIRO UEDA 神戸トヨペットエンジニア
トラブルの原因としては最初はデフ、次は車輪速のスピードセンサーのトラブルでした。今までなかったものですね。ただそもそも、我々がノートラブルだったらトップに立てていたのかというと、今回は僕の力不足を感じました。ライバルの戦略が良く、それを後追いするしかなかったところがあります。今回のレースでは多くのチームがタイヤ無交換作戦を採っていたのですが、次戦オートポリスはそれが厳しくなるとも思います。また違った戦略になると思うので楽しみにしています。