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投稿日: 2024.09.12 15:37
更新日: 2024.09.12 15:38

apr 2024スーパー耐久第4戦もてぎ レースレポート


国内レース他 | apr 2024スーパー耐久第4戦もてぎ レースレポート

ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第4戦もてぎスーパー耐久5Hours Race

開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
9月7日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:5700人
9月7日(決勝)
天候:晴れ一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウエット

残り1時間を切って訪れた不運。あと一歩のところで4戦連続表彰台逃す

 2024年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。5シーズン目となる『DENSO LEXUS RC F GT3』をドライブするのは永井宏明選手、小高一斗選手、嵯峨宏紀選手、そして新たに加わった小山美姫選手だ。小山選手はCドライバーを担当する。

 シリーズ第4戦の舞台は、モビリティリゾートもてぎ。女性ドライバーの小山選手をST-Xクラスで初めて表彰台に立たせる、という目標は初戦ですでに果たされ、その後も逃していないものの、今となっては物足りなさも感じるほど。そんな思いに対し、もてぎは昨年、初優勝を飾ったサーキットでもあり、まさに打ってつけの舞台だ。

公式予選 9月7日(土)8:20〜

 今回の走行開始は木曜日からだが、そもそも予選と決勝を土曜日に併せて行うワンデーレースであるため、普段より時間に余裕がないのは事実だった。幸い、昨年は優勝を飾ったサーキットで、データも取れていることもあって、持ち込みのセットも決まっていたことで、木曜日最初のセッションでは小高選手が1分54秒946を記して、2番手ながらトップからコンマ3秒差に肉迫。金曜日午前の2セッションでは、永井選手メインで走行が重ねられ、決勝セットのさらなる詰めが行われた。

 午後からのセッションが、予選、決勝に向けて最後の走行となったため、序盤は小高によってセットの微調整を繰り返す中、1分56秒679をマーク。終盤は小山選手、嵯峨選手の順で走行し、それぞれコンスタントにタイムを刻み続けていた。

 金曜日までは高温下での走行だったが、土曜日は穏やかな天気に恵まれ、また予選は陽が真上に昇る前に行われたこともあって、コンディションは大幅に向上。普段はST-1クラスのみ混走だが、今回はST-ZクラスやST-TCRクラスも交えての走行のため、Aドライバー予選に臨んだ永井選手は、すぐコースインせず。しっかりクリアラップが取れるよう、セッション後半の勝負に賭けたのだ。

 ウォームアップはアウトラップともう1周を充て、計測2周目からアタックをかけた永井選手は、1分55秒264をマークして、その時点の2番手に。その後、2周にわたってアタックを続け、いずれも1分55秒台を記したものの、タイムアップには至らず。さらに一台がタイムを上回ってきたため、3番手となった。

 続いてBドライバー予選に臨んだ小高選手も後半勝負を選び、同様に計測2周目からアタックを開始。1分53秒095をマークした後、さらに1分53秒036にまで縮めたが、4番手に。それでもタイム合算では3番手につけることとなった。

 その後のC・Dドライバー予選では、前半を小山選手が走って1分57秒714を、後半を嵯峨選手が走って1分57秒612をマーク。それぞれユーズドタイヤを履いて、決勝に向けた準備、確認を済ませていた。

永井宏明選手

「クリアラップを取りやすいように、タイミングをずらして出ていったつもりが、ちょっと前にいましたけれど、そんなにめちゃくちゃ引っかかったわけではないです。コンディションも良かったんですけど、ここまででしたね、うまくまとめられませんでした。決勝はまた、いろんなクラスが混じって走るので、そのなかでもいいペースで走れるように頑張ります」

小高一斗選手

「僕的には、ミスもなくまとめたアタックだったと思います。今のところ、問題ありません。まぁ、ロングは今ひとつ今週は良くない感じなので、ミスなく。ミスなくやっても優勝は厳しいですけど、表彰台めざして全員で確実なレースができたらいいなと思っています」

小山美姫選手

「ブレーキパッドが新品だったので、『焼き入れして帰ってきて』と言われていたので、それをやって、次は100%で行けるかなと思っていたときに『ピットインして』って言われたので、3ラップしか走っていません。周回が少なかった分、『こうなるだろう』という予測も難しいですけど、頑張るしかないなと。何が起こるかわからないので、全力でベストを尽くして頑張ります」

嵯峨宏紀選手

「レースに向けてのセットアップ重視だったので、とりあえず淡々と走る分には問題ないかな、という気がします。コンディションも昨日までより良くて、ラバーが乗っていたから、悪くなかったです」

金曽裕人監督

「今週のなかでは最善の状態で、ドライバーふたりとも去年よりタイムは上がっています。でも、他のクルマがいろんなBoPを含めて優遇されているので……。我々は去年よりもベストを尽くせている、去年よりもクルマは速いという状態に持って来られています。でも、前の2台はちょっと見えません、あのタイムは。でも、僕らのなかではやるべきことをやっているので、決勝は確実に背伸びせず淡々と行きます。5時間もありますから、確実に走っていけば結果は残せるはずです」

DENSO LEXUS RC F GT3
2024スーパー耐久第4戦もてぎ DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)

決勝レース 9月7日(土)12:30〜

 今回もグループ分けなく競われる5時間レースで、ドライバー交代を伴うピットストップの義務づけは3回。そして、Aドライバーの走行義務は75分以上も前回同様だ。しかし、大きく異なるのは予選を終えてから、わずか3時間足らずで、もう決勝レースを迎えること。ここまでトラブルなく来ているからいいが、何かトラブルでも起きていたら……。

 今回もDENSO LEXUS RC F GT3のスタート担当は永井選手。決勝レース開始と同時に、ひとりプロドライバーが乗り込んだトップが逃げていくが、1周目のつば迫り合いはなく、永井選手はポジションをキープ。そして、そのまま周回が重ねられていく、まさに淡々と。心配なのは他のクラスのアクシデントによって、セーフティカーが入ったり、FCY(フルコースイエロー)が提示されてしまったりすることだったが、こと第1スティントに関しては何事も起こらず。むしろ永井選手のコンスタントな周回によって、前とのギャップは想定内で、78分経過した39周目に小高選手にスイッチすることができていた。

 小高選手のスティントでは、デブリの処理やコース脇に止まった車両の回収で、2回もFCYが提示されたが、いずれも戦略的に活用できるタイミングではなかった。また交代からしばらくはアグレッシブな走りを見せていた小高選手だったが、抜き去るまでのパフォーマンスは十分ではないと判断されたことにより、やがてチームはポジションキープの指示を出すことになる。

 スタートから2時間35分経過した76周目に、小山選手に交代。ポジションは3番手のまま。しかしながら、コンスタントに周回を重ねるという前回の課題はクリアしたことから、当初の予定よりも長く走行し、113周目には嵯峨選手に残り1時間強を託すことになった。

 後続車両のペナルティによって、ほぼ1周の差がある。連続表彰台を目指す上では、もはや無理をする必要はない。ところが、嵯峨選手に代わってわずか4周後、DENSO LEXUS RC F GT3がストレートでストップ! コクピット内で一瞬小火が発生し、ダメージが拡大しないようにとの瞬時の判断によるものだった。

 リペアエリアに送り込まれ、幸いダメージはなく済んだものの、大事をとってリタイアすることをチームは選択。開幕戦から続いていた表彰台には上がれなかったものの、我慢のレースで得られた収穫は少なくない。次回のレースは3週間後、9月28〜29日に鈴鹿サーキットで第5戦が開催される。今回の悔しさは、間違いなく今後の糧になるはずだ。

永井宏明選手

「いやー、決勝ペースは厳しかったです。思いの外、最高速も出ず、セットもロングランが良くなくて中盤からは悪戦苦闘でした。そのなかでも、与えられた走りはできましたけど、もっとハイペースで走りたかったですね。予選セットと決勝セットの切り分けが、今後の課題なので鈴鹿に向けて改善していきたいです。リタイアは残念ですけど、すべてが無事だったので後半戦は前向きに全力で進めたいです」

小高一斗選手

「少し予選に振り過ぎたセットだったかもしれず、決勝のペースは結構しんどいものがありました。しかも昨年とBoPも違い、僕らが一番最高速も遅く、ポジションキープをさせることに集中しました。小火が出てリタイアになったのは残念ですが、マシンも無事なので次戦鈴鹿までにパフォーマンスアップして挑みます」

小山美姫選手

「決勝を長く乗れた反省点として、ちょっと出だしのペースはあんまり良くなかったかなと、その後のペースは悪くなかったですね。RC Fは気温や、ガソリンとか重量で、だいぶ(タイム)変動があるので『タイヤの良いときにしっかりいいタイム出して、悪いときに抑えられるように』というのが課題でしたので、それがやっと安定したのかなと思っています」

「もてぎでは最終コーナーで引っかかると、ライン1本しかないから抜けなくて今回は集団で出会うのが多すぎて、苦労しました。他の場所での混走にはだいぶ慣れてきて、課題の部分は改善できたと思います。そのハイペースを見て決勝中も周回数を伸ばしてもらえたので、その走りを今後も続けたいと思います」

嵯峨宏紀選手

「コクピットのなかで一瞬小火がでたので慌ててマシンを止めました。小高選手の途中からガソリン臭くなったらしいんですが、僕のときも少し臭くて、最終コーナー立ち上がったら、突然コクピットの右端で一瞬小火がでたので、消火器スイッチを押しました。火も一瞬で消え、何だったんだろうって感じでした。3位は確実だったし、そのまま走れた感じでしたが、予測不能だったので止めた判断は間違いではなかったと思います。マシンも僕も無傷なので、今日はそれで良しとします」

金曽裕人監督

「給油のときにオーバーフローした気化ガソリンがマフラーの熱で一瞬コクピットで引火したことから大事をとってリタイアさせました。レース後の車両を見たところ、そのまま走れるレベルでしたが、3位表彰台を諦め安全第一を優先しました。クルマのトラブルではありません、夏の灼熱耐久レースに起こり得る事象でした」

「けど、今週はライバルに対して相対的に速さが足りなかったですね。優勝するまでのパフォーマンスはなかったとはいえ、作戦とドライバーの頑張りで充実したレースではありました。とくに今回は小山選手が、安定して速いコンスタントラップを刻んでくれて素晴らしく、その結果が伴わず申し訳なく思います。ただ、嵯峨選手の的確な判断もだし、いいデータも取れたし、データどおりのレースもできたので、あまり卑下してはいません。クルマもドライバーも無傷なので、次の鈴鹿にご期待ください」

DENSO LEXUS RC F GT3
2024スーパー耐久第4戦もてぎ DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)


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