更新日: 2024.10.11 17:11
免許取得後に本格参戦してタイトル獲得。WEC、フォーミュラEなど海外志向の21歳【ネクスト・スターVol.4/佐藤樹】
──次に、佐藤選手が思うFIA-F4シリーズの難しい部分、面白い部分を教えて下さい。
佐藤:FIA-F4はやはりワンメイクなので、みんな同じものを使用しているレースです。そのなかで、本当に“細かい誤差”みたいな部分がかなり大きなタイムギャップになるところがあります。その部分はすごく難しいです。そのことを踏まえて、ドライバーのスキル差がはっきりと出るので、そこが分かりやすくて面白いのではないかなと思います。
──では、佐藤選手のレーシングドライバーとしての長所と短所を教えて下さい。
佐藤:長所……難しいですね(苦笑)。今までは割と予選でタイムを出せることが僕の長所かなと思っていたのですけど、今年はそれがうまく出せていないんですよね。でも、やはり調子が悪くても予選でタイムを出せることが長所のはずです(笑)。逆に短所は安定感に欠けるところだと思っていて、少し調子が悪くなるとレースが崩れてしまう部分は短所ですね。
──佐藤選手は将来どのようなレーシングドライバーになりたいというビジョンはありますか?
佐藤:僕は小さい頃からF1を見ていたこともあるので、国内よりも海外で活躍できるようなドライバーになりたいです。そのためには、やはり今年の話にはなってしまいますが、予選でもっとタイムを出せるようにしたいです。そもそもの一発タイムを出す部分が足りないと思っているので、そこが大事になってくると思っています。
──海外レースで将来参戦してみたいシリーズはありますか?
佐藤:最近だとフォーミュラEやWEC(世界耐久選手権)などが面白そうだなと感じています。
──フォーミュラEに参戦してみたいと言う若手ドライバーはかなり珍しいかと思います。どのあたりに惹かれましたか?
佐藤:海外で活躍できることに加えて、いろいろな国でレースを開催しているカテゴリーは、おそらくそこまで多くはないと思います。そのなかでフォーミュラEはさまざまな国を転戦しながら、フォーミュラカーでレースが行われているので、その部分は魅力です。
──海外のレーシングドライバーで憧れている選手などはいますか?
佐藤:(シャルル)ルクレールですね。走りの部分もそうですけど、外見的なカッコよさに惹かれます。
──では最後に、今季のFIA-F4を今後どのように進めていきたいか、そしてレーシングドライバーとしての将来像を教えて下さい。
佐藤:FIA-F4は、ここ数戦は少し苦戦してしまっています。ですが、正直僕にとっては鈴鹿大会の延期が少し味方になり、延期期間中にテスト走行をすることができました。そこでの経験を活かし、まずは予選でしっかりとタイムを出して、上位で戦えるようにしたいです。
そして、まずはこのFIA-F4をしっかりとした成績で卒業してからは、やはりフォーミュラに乗りたいと思っています。将来的にはフォーミュラで経験を積み、海外レースに参戦できるようなドライバーになりたいです。
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本格的なレース参戦は18歳からという佐藤。そこからスーパーFJやJAF-F4でチャンピオンを獲得し、ホンダレーシングスクール鈴鹿では最終のスカラシップ選考会に残るなど、実力は十分にあるだけに、あとはリザルト次第か。インタビューでは物静かな冷静さも感じられ、少ない周回で一発で決める予選のタイム出しを克服できれば、落ち着いて上位を争う姿も見られそうだ。
■プロフィール 佐藤樹(さとう・いつき)
2002年12月3日神奈川県出身。3歳からカートを始め、2021年にもてぎ・菅生スーパーFJ地方選手権でチャンピオンを獲得。翌2022年はホンダレーシングスクール鈴鹿のフォーミュラクラスを受講してスカラシップ選考会に残ると、同年のJAF-F4でシリーズチャンピオンに輝く。FIA-F4には2023年からフル参戦を開始し、今季第2戦で初の3位表彰台を獲得。現在ランキング12位につけている。