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投稿日: 2024.11.21 19:03
更新日: 2024.11.26 19:04

apr 2024スーパー耐久第7戦富士 レースレポート


国内レース他 | apr 2024スーパー耐久第7戦富士 レースレポート

ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第7戦スーパー耐久 富士4Hours Race

開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
11月16日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:1万1800人
11月17日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万400人

チャンピオン獲得の期待を抱いて臨んだ最終戦だったが、二度の長き赤旗中断で流れをつかめず、一時トップ走行も4位でシーズン終了

 2024年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。5シーズン目となるDENSO LEXUS RC F GT3をドライブするのは永井宏明選手、小高一斗選手、嵯峨宏紀選手、そして新たに加わった小山美姫選手。シリーズ最終戦の舞台は、富士スピードウェイだ。なお、小山選手はランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア参戦のため、今回のレースは欠場となる。

 第5戦・鈴鹿サーキットでの優勝を筆頭に、リタイアした第4戦・モビリティリゾートもてぎ以外の5戦で、DENSO LEXUS RC F GT3は表彰台に立ち続けている。その結果、チャンピオン獲得の希望が残されている。優勝することが大前提とはいえ、チャンスがある限りは全力を尽くす。

公式予選11月16日(土)13:55〜

 チャンピオン獲得の可能性があるとなしとでは、チームのムードは大違い。もちろん絶対に諦めないぞ、という強い意識を持ってドライバーのみならず、チームのスタッフ全員がサーキットに乗り込んでいた。昨年も富士最終戦を勝っているということが、その意識を倍増させてもいた。今回、積むウエイトハンデは25kg。最終戦ということで、規則によって搭載量が1/3減量されている。だが、そう影響を及ぼすことはあるまい。

 今回は木曜日から走行を開始し、ドライコンディションでのロングを中心に、セットが詰められていった。続いて予選セットを試すはずだった金曜日の専有走行は、午前の1回目が雨と霧に見舞われたため、小高選手が6周走るに留め、1分49秒827をマーク。しかし、午後の2回目は路面こそだいぶ乾いていたものの、濃霧で視界が確保できず、キャンセルとなってしまう。

 そのため、予選セットのチェックは土曜日早朝のウォームアップだけとなるも、35分をフル活用。小高選手が1分42秒445を記した後、代わった永井選手もセット変更を繰り返すことで、1分43秒298を記す。そして最後にもう一度、小高選手が乗り込んで1分41秒768にまで縮める、念の入れようだった。

 しかし、ユーズドタイヤでは好感触を得ていたが、いざ予選でニュータイヤを履くと状況は一変してしまう。Aドライバー予選に挑んだ永井選手は、計測3周目からアタックを開始し、まずは1分41秒977を出し、次の週には1分41秒477に短縮。1周クールダウンを入れて、最後にまた1分41秒437にまで縮めて、その推移だけ見れば良好ながら、トップは1分40秒台に乗せており、しかも2番手以下も僅差とあって、5番手に甘んじてしまったのだ。

 続くBドライバー予選でも小高選手は、計測3周目からのアタックと思われたが、実際にはそうでなかったようだ。結果的には計測4周のワンアタックとなり、1分40秒268を出して早々に走行を終えた。トップは1分38秒台にも入れており、小高選手も5番手に留まって合算タイムにおいてもDENSO LEXUS RC F GT3は5番手となった。

 続くCドライバー予選で嵯峨選手は、満タンでユーズドタイヤでの走行とし、決勝レース想定に。ノンストップで駆け抜け、1分43秒188を自己ベストとした。

永井宏明選手

「路面温度は低めで、それは問題なかったんですが、クルマがすごく扱いづらかったですね。アンダーステアが強く全然曲がらなかったです。昨日は雨で走れず、今日の朝にやっとドライで走れたのも影響していると思います。なかなかうまく噛み合わなかった予選でしたね。決勝で挽回できるよう、頑張ります」

小高一斗選手

「ウォームアップに時間かけたわけじゃなく、全然マシンのバランスが合わなくて、最初コカコーラコーナーで四脱したのでやめて。次はめちゃくちゃアンダーで。予選セットをやってなかったので、最後リヤタイヤが来たところでベストを出して、もう一発といきたかったんですが、最後はやめちゃった感じです。木曜日から走りましたが、ドライはまともに走れておらず、昨日は雨だったし、まともにテストできていません。決勝のペースは問題ないと思うし、明日はまわり次第ですが、そんなに負けていないと思います」

嵯峨宏紀選手

「燃料も積んで、40周以上走っているタイヤで、決勝を見据えて走りました。けっこう走っているタイヤではバランスは出ていました。チャンピオン獲るには絶対に勝たなきゃいけないという状況で、予選の順位は正直良くないものの、4時間もあるし、決勝に強いセットを目指してやってきているので、スタートして最初のうちはきついかもしれないけど、じっくりまわりと勝負していくしかないと思います」

金曽裕人監督

「練習は木曜日から始めていて、決勝セットと雨のセットはできていますが、ドライニュータイヤを使う予選セットをもっと探し切らなければいけなかったのを、金曜の雨でそこが見られていなかったのが非常に痛かったです。予選に対してのセットアップが、まったく合わせきれず、ドライバーの速さを出しきれるマシンではありませんでした。その代わり、決勝のペースやセットアップは、それまでにしっかり取ってあるので、それなりのペースで走れるはずです」

「4時間もあるレースですから、そこはあんまり気にしていなくて、むしろRC Fが得意とする最高速、ストレートスピードは持っているので、レースはそんなに難しいとは考えていません。けれども、予選のパフォーマンスを外してしまったのは事実。天候に左右され、昨日の午後にやらなければいけなかったことを、キャンセルで全部ぶっ飛んだ感じです。チャンピオンは時の運、やれることを全力でやるのみです」

決勝レース11月17日(日)12:30〜

 今回は第2戦・富士24時間以来の全クラス混走の4時間レース。Aドライバーの最低義務周回時間は60分で、ドライバー交代を伴うピットストップの義務づけは3回とされた。秋晴れの好天に恵まれたものの、逆に言えば恵まれすぎたか。スタート進行が始まった時点での気温は22度と、11月の半ばとしては高すぎるのだ。もっとも、昨年よりも2割増という観客にとっては、絶好の観戦日和となったかもしれないが……。

 今回もDENSO LEXUS RC F GT3のスタートドライバーは小高選手が務め、ST-Xクラスは全車プロであるBドライバーを充ててきた。それぞれ意地と意地のぶつかり合いとあって、スタートが切られてからもポジションはそのまま。小高選手は5番手ながら、タイヤを温存しTOPから大きく遅れることなくチャンス到来を待つ。

 ところが、スタートから20分ほど経過したところで、クラッシュが発生。13周目からFCY(フルコースイエロー)が提示され、5分も経たずにセーフティカー(SC)の先導に切り替えられる。300R脇に止まった車両のダメージは酷いものの、ドライバーの無事が確認できたのは何よりだった。SC中のドライバー交代は可能とあって、多くの車両がピットに戻ってくるなか、DENSO LEXUS RC F GT3はピットでの渋滞を避けるためにも、ステイし2周後の16周目に小高選手から永井選手に交代する。

 その1周後、なんと赤旗が。損傷したガードレールの修復に、時間を要するというのが理由だった。これがスタートから42分後。全車グリッドに留め置かれ、やがて『14時20分からレース再開』のアナウンスが。加えてAドライバーの義務周回時間は43分に短縮されるも、ピットストップ義務は3回のままとも。ゴール時間の変更はないから、残り2時間10分の戦いとなった。

 再開後はライバルにペナルティが相次いだ。さらにデブリ回収のため、約5分のFCYも。そんななか、永井選手のペースはライバルのAドライバーよりもハイペース、ついに40周目にトップに浮上! しかし、それから間もなく、ダンロップコーナーで再びクラッシュが発生し、またもやガードレールに損傷が。同じようにFCY〜SC〜赤旗という流れになってしまう。

 2度目の中断から約30分後に『16時からのレース再開』がアナウンスされ、さらにピットストップ義務は2回に改められ、Aドライバーの義務周回時間が免除される。ただし、1回乗車し、コントロールラインを2回以上通過することを条件として。これが果たして吉と出るか、凶と出るか?

 残り30分の戦いを小高選手に託すべく、再開直後の43周目にDENSO LEXUS RC F GT3はピットイン。2番手との間には数多くの他クラスの車両を挟んでいた。が、同じST-Xクラスの車両は2回目のドライバー交代をすでに終えてもいた。ロスは最小限にできたものの、小高選手は5番手に退く格好に。もはや、これまでか……、そう思われたものの、残り5分を切ったタイミングで2番手の車両がピットイン。Aドライバーの乗車をギリギリまで引っ張っていたためだ。

 これにより、DENSO LEXUS RC F GT3は4番手に浮上し、残り時間を小高選手は慎重に走って4位でチェッカーフラッグを受けていた。昨年は134周の走破が許されたレースだったが、今年は56周のみ。誰にも予想できなかった前代未聞の展開で、本領を発揮できたとは言い難いDENSO LEXUS RC F GT3ではあったが、来たるシーズンの継続参戦は決定。目指すのは、より強くなることだ。

永井宏明選手

「残念でしたけど、ちょっと流れがうち向きではなかったですね、他のところでした。ROOKIE Racingさん、チャンピオンおめでとうございます、素晴らしいです。23号車のDAISUKEさん、本当にチャンピオンにいちばん近いところにいたのに、ちょっと流れが僕たちと一緒で悪くて、残念だったと思います。僕たちも来シーズンに向けて準備して、また頑張りたいと思います」

小高一斗選手

「序盤からペースも想定より遅かったので様子を見ながら、戦略で優勝できるかもって挑んだのに、赤旗にて規則が変則的になりなぜだか4位に……状況がいまいちわかってない(苦笑)。去年勝てたレースより倍ぐらい路面温度が高くて、去年速かった理由として、本当に寒かったからというだけで。夏だったり、暖かったりした時は厳しいレースを強いられたので、いいセットを見つけないといけないですね。ベストを尽くせたも何も、全然走っていないので、トータルで、4時間で56周でしょう? 通常1スティント45周なんで、みんな何もできずじまい。FCYやSCで何かラッキーあれば良かったんですがそれもなく、これからも頑張ります」

嵯峨宏紀選手

「今週、僕は予選しか走っていなくて、不可抗力というか、何もできずに終わっちゃったので、まぁ一瞬、いい夢見ましたけど。年間通しての結果でチャンピオンというものだから、今回のレースがこうだったから、チャンピオン獲れませんでしたということではないですし。1年間振り返ったら、取りこぼしもありましたから、そのひとつひとつの詰み取りが足りなかったんじゃないでしょうか」

金曽裕人監督

「今日は、参加された全チームが、運と展開だけで順位が決まった。みんな、実力は均衡していましたが、赤旗のタイミングとか変則的な規則が我々には、全部うまく噛み合わなかった。セットが決まりクルマのパフォーマンスが、もうちょっと速かったら良かったが、チャンピオン獲るには、そんな内容のレースではなかったですね。永井選手も速かったですし、最後のスティントの小高選手も爆速でしたし。ただ、1回目の小高選手のSC時に、入れるのを1周躊躇しちゃったのは失敗だったかもしれません」

「2回目の赤旗時は永井選手がトップであり、もしかして優勝? 年間チャンピオン? そんな夢を、一瞬だけ皆で見ました。前代未聞の最終戦でしたが、これもレース。スポンサーの皆様、応援下さる皆様と一緒に夢を現実に変えるために、来年も前進します。1年間ありがとうございました。皆様に心から感謝いたします」

DENSO LEXUS RC F GT3
2024スーパー耐久第7戦富士 DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)


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