更新日: 2024.12.10 14:57
ENDLESS GR86 2024スーパー耐久第7戦富士 レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE
第7戦 3号車 スーパー耐久レース in FSW
#3 ENDLESS GR86
参戦クラス:ST-4クラス
Aドライバー:坂裕之
Bドライバー:菅波冬悟
Cドライバー:小河諒
監督:中村稔弘
第6戦までを終えシリーズランキング2位で迎える最終戦。ランキングトップの#41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYは114.50ポイント。一方#3 ENDLESS GR86は111.50ポイントと3ポイント差と差は僅かだ。昨年はトラブル続きだった#3 ENDLESSも、今年は2勝を挙げてチャンピオン争いの一角に。もちろん狙うは逆転でのシリーズチャンピオンだ。
ウエイトハンデは前戦の60kgから減量されて40kg。#41 エアバスターも同じく40kgとなっており、同条件での直接対決となる。なおシリーズランキング3位の#884 シェイドレーシング GR86が30kg、前戦優勝の#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFが20kgとなっており、ウェイトの軽い他のマシンたちの動向もチャンピオン争いに関わってくる。
予選
A 坂裕之 1’57.758 クラス4番手
B 菅波冬悟 1’55.803 クラス2番手
C 小河諒 1’57.827 クラス4番手
→予選結果:4位/7台中
11月16日(土)予選。木曜から断続的に降り続いた雨がやっと止んだ予選日。木曜の練習走行は雨がちな1日となり、金曜午後の練習走行は雨と霧によって走行キャンセルになるなどドライ路面での走行がほとんど出来ずに土曜日を迎えた。13時20分の予選開始時のコース上はほとんど乾いていたが、ほんの一部濡れた場所が残っているなど、予断を許さない路面状況だ。
Aドライバー坂はドライビングにミスはなかったものの、雨上がりのコンディションにマシンのセッティングを合わせきれずクラス4番手。急遽ブレーキパッドやリアウイングの角度変更などセッティング変更を行い、Bドライバー予選に挑んだ。
セッティング変更を受けたBドライバー菅波はクラス2番手となるタイムをマーク。今シーズン一番の乗りやすさになったと好タイムを叩き出した。Cドライバー小河は決勝に向けて、サスペンションをソフトに再度セッティング。スプリングレートを落としてタイヤを労るセッティングにしたうえで、ガソリン満タンで決勝を見据えた走行を行い、タイムはクラス4番手。A、Bドライバーの合計タイムにより、予選結果はクラス4番手となった。
短い時間でのセッティングアジャストにも成功し、決勝でのコンスタントラップの良さが予想できる状況。上位からのスタートは叶わなかったものの逆転チャンピオンに向けて期待を持てる予選となった。
決勝
決勝結果:2位
予選後の夜に雨が降った富士スピードウェイ。徐々に天候は回復傾向で決勝レースが始まる頃には路面も乾き、気温も上がったなかでのレースとなった。
前日の予選では#41 エアバスターがポールポジションを獲得、2ポイントを加えて116.50ポイントとなった。#3 ENDLESSとの差は5.00ポイントと広がってしまったものの、優勝すれば無条件でチャンピオン獲得となる。一方#3 ENDLESSが2位の場合は#41 エアバスターが4位以下、同じく3位の場合は5位以下…となるように、チャンピオン獲得のためには自らの上位フィニッシュが不可欠だ。
スタートドライバーは坂。今回は坂、菅波、小河、菅波と繋ぐ作戦。快晴の中、12時29分レーススタート。4時間の耐久レースがスタートした。
坂は2周目に#60 全薬工業GR86を抜いて3位になる。トップにはポールスタートの#41 エアバスター、2位に#216 HMR スポーツカー専門店GR86が続く。再び#60 全薬工業に抜かれて4位になってしまうが、坂は安定したタイムを刻んで周回していく。
11周目、300Rでクラッシュが発生しFCY(フルコースイエロー)が導入。そのままSC(セーフティカー)導入となりスローペースでの周回が続く。ピットインするチームも多いが、Aドライバー坂選手の最低乗車時間60分を消化中のため、ピットインせずコース内にステイする。
クラッシュによるコース損傷が激しく、レーススタートから43分経過した16周目に赤旗となり一旦レースは中断。
14時23分、レースが再開。残りレース時間は約2時間。赤旗中断に伴うレース時間短縮に合わせたルールが発表され、Aドライバーの最低乗車時間は43分、最低ピット回数は3回と規定された。
坂は中断前までに42分走行していたため、再開後の1周目にピットインして菅波に交代、コースへは3位で復帰。ペースの良い菅波は#41 エアバスターをパスして2位に浮上。トップの#66 odulaはまだピットインしておらず、事実上#3 ENDLESSがトップ。このまま行けばチャンピオン獲得だ。33周目#66 odulaを抜いたところで2回目となるFCYが導入。
そのFCYが解除された直後、ダンロップコーナーでクラッシュが発生し、再びFCY(3回目)導入。さらにSC導入を挟んだのち、残り時間1時間22分で再び赤旗掲示によってレースは中断された。
残り時間29分でレース再開。2度目の赤旗中断により、各車の最低ピット回数は3回から2回に変更になった。現在トップの#3 ENDLESSはSC解除の周にピットインして菅波から小河に交代。これによりピット義務は全て消化し、2位のポジションで残り30分弱のスプリントレースへと臨んだ。
しかしレース再開後、小河の背後には同じタイミングでピットインを行った#41 エアバスターが迫る。小河も必死に対抗するが、激しいバトルの末に#41 エアバスターが前に出る。小河は負けじとその後も背後に付け、相手のタイヤが摩耗してきた辺りでのオーバーテイクを狙う。
ところが残り11分のタイミングで#41 エアバスターがマシントラブルによってコース外でストップ。思いも寄らない展開で2位へと返り咲いた。直後にFCYが導入され、残り時間約6分でレースは再開。#3 ENDLESSはそのまま2位でチェッカーフラッグを受けた。
これにより#3 ENDLESS GR86はシリーズポイントを134.00ポイントまで伸ばし、見事2024年ST-4クラスシリーズチャンピオンを獲得した。結果を見る限りではシーズン2勝、6レース全てで表彰台と上々の出来であったが、強力なライバルたちの存在により、決して順風満帆なシーズンでは無かった。しかしながらトラブル続きで速さを見せられなかった昨シーズンから改善を行い、シーズン通して速さと信頼性そして結果を得ることができたことは、チームとして大きな収穫となった。またST-4クラスでのチャンピオン獲得は2016年の#13 ENDLESS・ADVAN・86以来と、『ENDLESSの86』による久々のチャンピオン獲得となった。
ドライバー・監督コメント
Aドライバー 坂裕之
「今シーズンは開幕戦の優勝からスタートしましたが、個人的にはシーズン中盤くらいから求められるような走りができず迷走し、今回のレースではポールポジション必須の予選で下位に沈んでしまいました。落ち込む私をよそに、チームの皆さんは嫌な顔もせず最後まで勝利を信じ、私にスタートドライバーまで任せてくれました。2度の赤旗中断やライバルの失速などいろいろ重なって手放しで喜びづらい部分もありましたが、これまでみんなで積み重ねてきた実績が相まってシリーズチャンピオンを獲得する事ができました。30歳でカートレースを始めて、40歳過ぎてから車のレースにも出るようになって、とうとう53歳でスーパー耐久シリーズチャンピオンチームに在籍させてもらって、チェッカーの瞬間は何とも言えない不思議な感覚でしたが、微力ながらもその一端を担えた事にただただ感謝です。ご声援ありがとうございました!」
Bドライバー 菅波冬悟
「最終戦はチャンピオンのかかった非常にプレッシャーの大きいレースでしたが、チャンピオンを獲得できて本当にホッとしました。今年は開幕戦以降、ペースがあまり良くないレースが続いていましたので、今回のレースもそこが不安要素でしたが、チームの皆で改善してきたことが実り、富士24時間耐久レース時のペースよりも遥かによい状態でレースができました。レースは赤旗が2回も出てしまう荒れた展開となり、イレギュラーな展開が続きましたがチームがミスなく戦略を立ててくれました。チャンピオン争いをしていた41号車はトラブルによりリタイアという結末となり、完勝してのチャンピオンとはなりませんでしたが、運を味方につけられたのもチーム皆の努力の結果かと思います。一年間全力でサポートしてくれたチームと、応援してくれた皆様に感謝いたします」
Cドライバー 小河諒
「今大会はチャンピオン獲得のためいつもより1日早い水曜日から走行を開始しました。木曜日の午後から金曜日にかけて天候が安定しなかったこともあり、この水曜日から走行を開始したことが我々のペースを上げる大きな要因になったと思います。車のバランス、ブレーキに関しては今シーズンで1番良いフィーリングに仕上げる事が出来ましたが、その他の所でライバルに遅れをとる形になりレース序盤は苦しい展開となりました。しかし、2度の赤旗が導入される荒れた展開の中、誰1人ミスする事なく2位表彰台に登り、シリーズチャンピオンを獲得する事ができました。私個人としては、決勝の大事なバトルでライバルに先行を許してしまった事を非常に悔しく感じます。要因としては少ない走行時間で自信をマシンにアジャストすることができなかったこと、ライバルが我々よりも速いペースで走れるクルマだった事だと思います。とはいえ、シーズンを通してトラブルなく戦える強い車だった事やブレーキに厳しいもてぎでの優勝など激戦のST-4クラスで常に上位で戦う事ができた事により、エンドレス製品の性能を世に証明する事ができたと思います。ありがとうございました」
監督 中村稔弘
「最終戦は水曜日から走行し、様々なテストをすることができ、良い製品、クルマづくりに繋げることができました。金曜日午後の走行は霧でキャンセルになってしまったこともあり、よりドライ路面で多くのテストをすることができ、セットアップと製品開発に活かすことができました。予選ではまずまずの結果でクルマの速さはあると確信しましたが、翌日は路面温度が上がることを見越し小河諒選手の走行前にスプリングレートを下げての走行テストも行いました。またリアに新摩材のブレーキパッドを投入し、こちらも良いマッチングが確認できました。決勝では荒れたレースとなりました。セーフティカー導入時も損することなく、理想的な展開で走れたかと思います。スタートは坂選手からでしたが、良いペースで周回してくれました。そこからも上手くレースを歩むことができ、ラストスティントではライバルに小河選手が抜かれてしまいましたが、すぐ後ろでタイヤをセーブしながら走り、相手のペースが落ちたところで再び勝負する作戦を採り背後でチャンスを伺っていました。念願のシリーズチャンピオンを獲得することができて本当に良かったです。応援ありがとうございました」