ENDLESS GRヤリス 2024スーパー耐久第7戦富士 レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE
第7戦 3号車 スーパー耐久レース in FSW
#13 ENDLESS GR YARIS
参戦クラス:ST-2クラス
Aドライバー:花里祐弥
Bドライバー:石坂瑞基
Cドライバー:伊東黎明
Dドライバー:岡田整
監督:中村稔弘
第6戦岡山を4位で終えた#13 ENDLESS GR ヤリス。ST-2クラスのシリーズランキングでは#225 KTMS GR YARISがトップの115.00ポイントに対し、105.50点で9.50ポイント差の2位となっている。2シーズン連続でクラス2位に留まってしまっているだけに、喉から手が出るほど欲しいシリーズチャンピオンのタイトルをこの最終戦で掴み取りたい。
今回のウエイトハンデは40kg。前戦に比べて30kgの減量になったが、それでもクラス最大の重さだ。ライバルの#225 KTMSも同じく40kg。#72 OHLINS CIVIC NATSは30kgとなっている。
決勝ではAドライバー花里がプロ認定されているため、最初のピットイン時にプラス20秒の静止が義務付けられた。一方#225 KTMSは1回のドライブスルーハンディキャップが課されている。
予選
A 花里祐弥 1’52.540 クラス7番手
B 石坂瑞基 1’52.328 クラス6番手
C 伊東黎明 1’53.352 クラス3番手
D 岡田整 1’54.098 クラス3番手
→予選結果:6位/8台中
11月16日(土)予選。富士スピードウェイは練習走行の行われた木曜日から雨が断続的に降り続いた。金曜日午後の占有走行は霧によってキャンセルになるなど、悪天候が続き思うように走れない2日間となった。前戦で起きていたストレートスピードが伸びないという車両側のトラブルは解消。万全の準備をして予選に臨んだ。
しかしながら、Aドライバー花里はクラス7番手タイム。アンダーステアが強くイマイチタイムが伸びない。Bドライバー石坂もクラス6番手タイム。決勝は6位からのスタートとなった。Cドライバー伊東とDドライバー岡田はアンダーステア解消のためにセッティング走行と、満タン状態でのハンドリングを確認。完全なアンダーステアの解消には至らなかったが、ある程度の改善とドライビングでの対処により、ロングランのペースを上げて上位を狙う。
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決勝
決勝結果:4位
予選の行われた土曜日はドライだったが、夜のうちに再び雨が降った富士スピードウェイ。それでも朝には天候が回復し、決勝スタートの12時頃にはドライ路面となった。スタートドライバーは岡田。その後花里、石坂、伊東と繋ぐ作戦だ。
#13 ENDLESSのチャンピオン獲得のためには、#13 ENDLESS優勝時に#225 KTMSが3位以下に、2位以下の際には5位以下と自らの好成績が必須となる。
12時29分、4時間の耐久レースがスタート。岡田は順調に周回していく。4周目、#225がドライブスルーのハンディキャップを消化し順位をアップ。このままライバルの前でゴールしたい。
11周目、300Rからダンロップコーナーに掛けての箇所で大きなクラッシュが発生。FCY(フルコースイエロー)が導入され、そのまま車両回収のためにSC(セーフティカー)が導入された。
本来はピット時間短縮のためこのタイミングでピットインを行いタイヤ交換やドライバーチェンジを行うことがスタンダードで、他チームも多くはこのタイミングでピットインを行った。
しかしながら、Aドライバー規定に伴う初回ピットイン時のピットストップ20秒のハンディキャップはSC導入中に消化できないと規定されている。そのため#13 ENDLESSはこのままコース上に留まることとなった。
SC導入による周回が続いていたが、レーススタートから43分経過した16週目、クラッシュによるガードレール補修のため赤旗が掲示されレースは一旦中断となった。
14時23分レースが再開。残りレース時間は約2時間。レース時間短縮に合わせてのルールが発表され、Aドライバーの最低乗車時間は43分。最低ピット回数は3回と規定された。
レース再開1周目に岡田がピットインして花里に交代。給油のみのクイックピットで時間を短縮する。ここから43分以上乗車し、そのあとは石坂、伊東と繋ぐプランだ。花里は7位でコースに復帰し、トップは#225 KTMS。その#225 KTMSが31周目にピットインし6位に浮上する。
35周目に導入されたFCYはすぐに解除するが、直後ダンロップコーナーでクラッシュが発生し、再びFCY(3回目)導入。するとそのままセーフティカーランを挟み、残り時間1時間22分で再び赤旗掲示によってレースは中断となってしまった。
残り時間29分でレース再開。2回目の赤旗中断により最低ピット回数は3回から2回に変更となった。しかしながらここまで1回のみのピットストップ消化となっていた#13 ENDLESSは残り1回のピットインが必要な状況だ。
一方で#225 KTMSは6位と下位に沈んでおり、上位チームもまだピットインを残している状況。ここから順位が大きく変動する可能性もあるため、諦めずに残りの“スプリントレース”へマシンを送り出す。
セーフティカー解除の周にピットインしてドライバーをチェンジ。残り約23分を石坂に託す。コース上へは4番手のポジションで復帰となった。
石坂は順位を上げるべくプッシュするが、残り時間約10分でトラブル車両の回収のためFCYが導入。4分ほどで解除されるが、貴重な追い上げの時間が削られてしまう。再開後僅かな残り時間の中でプッシュするが、そのまま4位でチェッカー。#225 KTMSは下位の6位となったが、ポイント差により#13 ENDLESS GR ヤリスはシリーズランキング2位となった。
今シーズンは序盤の富士24時間レースで優勝を飾るも、なかなか他のレースでの優勝が遠く大きな得点の上積みができないシーズンであった。特に参戦台数の増えたシビックタイプR(FL5)は速さに加え信頼性もあり、強力なライバルとなった。
チームとしては3年連続のシリーズ2位となってしまい、悔しいシーズンが続いてしまっている。来年こそはチャンピオン獲得が出来るよう、チャレンジを続ける。
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ドライバー・監督コメント
Aドライバー 花里祐弥
「昨年も取れなかったシリーズチャンピオンを今年こそ奪取しようと誓ったシーズンでしたが、残念ながらチャンピオンを獲得することはできませんでした。2位は悔しい結果ですが、製品開発のためのレース参戦でもあり、数多くのテストをすることができたシーズンでもありました。最終戦でもまず試作のブレーキパッドのテストから練習走行が始まりました。中重量車をターゲットにした初期レスポンスの良さを狙ったパッドでGRヤリスではすごく有効でした。このフィードバックは製品開発に生かせると思います」
「また、MBRの新型もテストしました。こちらはストローク量の短いサーキット向け車両にマッチしたもので、内側形状の見直しで短いストロークの中でも有効にMBRの作用を得ることができました。レースやタイムアタック車両など、とくにストロークの短い車種にはぴったりかと思います。そういったさまざまなパーツのテストをすることができ、より良い物をお客様に届けられるかと思います。シリーズ2位は悔しい結果でしたが、良いもの作りに活きてよかったです。そして、来年もチャンスがあれば同じ体勢でチャンピオンを取りに行きたいと思います」
Bドライバー 石坂瑞基
「逆転チャンピオンを目指して臨んだ最終戦でしたが、力及ばず残念な結果となりました。練習走行ではなかなか機会の無いウェットでテストする事ができ、ブレーキ、MBR共に良い感触を得る事が出来たのは収穫でした。大きなミス無く1年間戦わせて頂いたチームには本当に感謝しています。また、来シーズン強くなって戻って来られるよう引き続きチームの皆さんと頑張ります。ありがとうございました」
Cドライバー伊東黎明
「今回はセッティングに苦しんだレースとなりましたが、それでも予選では路面温度の低い状況でタイヤを痛めずに上手く曲がれるセットにできたことは今後につながる大きな収穫となりました。決勝にも期待ができるセットでコンスタントに良いペースで走れると思いましたが、荒れた展開となり自分の出番はありませんでした。惜しくも4位でチェッカーとなり、シリーズランキングは2位でした。チャンスがあれば来年こそ『4度目の正直』でチャンピオンを取りたいと思います。1年間ありがとうございました」
Dドライバー 岡田整
「前戦の岡山からのトラブルは改善され、逆転チャンピオンに向けて、チーム一丸となり挑んだ富士。もちろんトラブルがないわけではなかったので、それでもドライバー、メカニック含めたチーム全員で最後まで諦めないで、1%でも可能性がある限り、やり切れたレースウィークでした。今回とスタートドライバーを任せて頂き、スタート開始してまもなく、セーフティカー導入から赤旗となりましたが出来る力は出せました。結果は4位フィニッシュでシリーズはまたも2位。ですが、今年もこのチームとこのメンバーで走れて学ばせて頂いた事に感謝です。今シーズンも沢山の応援ありがとうございました」
監督 中村稔弘
「富士スピードウェイでのレースは24時間耐久に続いて今年2回目となります。そこで24時間のときに使った実績あるセッティングデータで臨みましたが、路面温度などの違いもありバッチリとは行きませんでした。ドライ路面での走行も少なかったですが、逆に新しくなったウエットタイヤのパフォーマンスが良く、その性能を確認できたという収穫もありました。アンダーステアが強く、解消に向けて対策を施しましたが、クルマ自体にストレスが溜まってきているのかなと思える部分もあり、予選でもアンダーステアはかなり強い状況でした。それでも決勝では悪くないペースで走れる確認ができていて期待していました。ですが、最初のピットインがハンディキャップ消化の関係でFCY中のコース上にステイすることになり、そこでの恩恵を受けることができませんでした。そういった荒れた展開に翻弄されてしまいました」
「マシン自体は、岡山でのパワーダウンのトラブルも解消できました。シリーズチャンピオンは取れなかったとはいえ、ライバルである#225 KTMSよりは上位でフィニッシュもできました。また、MBRなどさまざまなパーツ開発が大きく進んだ実感もあります。そういった商品テストや結果をフィードバックできたことは本当に良かったと思います。チーム一丸となって戦えたことも大きな収穫です。今シーズン応援ありがとうございました」
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