日曜日の第14戦も前述のとおりポールは宮田が獲得し、そして笹原は澤田、大湯に続く4番手からのスタートとなった。宮田にしてみれば、もう順位は落とせないし、笹原にとっては、順位を上げないことには再逆転はかなわない。
それぞれにプレッシャーのかかるスタートにおいて……。「フォーメーションラップの最終コーナーでバーンアウトしてみた時に、これはもうダメだと。路面温度が低すぎました」とスタートの出遅れを予感していた宮田は、実際その通りの展開になって、澤田と大湯の先行を許してしまったのに対し、笹原のスタートダッシュは決して悪くなかった。
しかし、その直後、「スタート直後に、左リヤのトーがおかしくなっているのが分かりました。どうして、そうなったのかは分かりませんが」と笹原。そのため、コーナーでの踏ん張りが効かず、あっけなく3コーナーで角田に前に出られてしまう。
その後も「まっすぐ走らせるだけでも大変でしたし、ブレーキングでも止まらない」マシンを、笹原は必死になだめすかして、5番手のポジションだけは守り抜いていた。そんな笹原の悲壮な状態を知ってかしらずか、その前では澤田、大湯、宮田、そして角田の順で激しいトップ争いが繰り広げられていた。その状況は、まさに一瞬即発。だが、10周目の90度コーナーでの大湯のチャージをこらえようとして、澤田がブレーキをロックさせてしまう。
なんとかコース上には踏み留まった澤田ながら、その後のコーナー立ち上がりが少しずつ鈍っていたのを、大湯が見逃してくれようはずがなかった。そして11周目の3コーナーで逆転に成功。
「抜けそうで抜けなかったり、(背後に)ピッタリ着くとダウンフォースが抜けちゃったり。そんなことの繰り返しだったんですが、ワンチャンスを逃さずとらえられて、本当に良かったです」と大湯。同じ周の4コーナーでは角田が宮田にも迫るが、勢い余ってダートに足が出て、こちらは逆転を許されず。結局、大湯が逃げ切って今季3勝目をマーク、澤田に続いて3位でフィニッシュした宮田が、シリーズ2連覇を達成した。
「昨日勝てたことで、今日は笹原選手のことだけ意識して走っていました。守りに入っていた部分も正直あって、行きたい気分はありましたが、リタイアしたら元も子もないですから」と宮田。
「2年連続でチャンピオンが獲れて、本当に良かったです。応援してくれた方々や、支えてくれたチームには本当に感謝しています。これからは、僕自身がFIA-F4を戦うドライバーの目標になるような選手になりたいです」
シリーズ2連覇を達成した宮田にとって、次のレースは初挑戦となるマカオGP。この勢いがどう反映されるか、大いに注目されるところだ。
一方、5位でのフィニッシュにより、再逆転はならなかった笹原ながら、「レースに何があるか分からないので、最後まで気持ちを切らさずに走れたんですが、不完全燃焼感はさすがにあります。今年1年間、やってきたことに悔いはありませんが、あまりに悔しいので、来年のことは何も決まっていませんが、出るカテゴリーでは必ずチャンピオンを獲りに行きます」と、早くもリベンジを誓っていた。
