更新日: 2016.06.12 12:43
山下vsマーデンボロー。今季の全日本F3を象徴する第7戦のバトル
■直線が速いマーデンボロー。S字が速い山下
迎えた11日の第7戦では、山下は「スタートはあまりうまくいかなかった」とチームメイトの坪井翔(ZENT TOM’S F314)に並ばれるものの、アウト側から坪井に被せるかたちで首位をキープ。「そこからは後続との差を作ろうとがんばって、それなりに開くことはできました」と1周目から逃げ切りをはかる。
「そこからはタイヤマネージメントをして、ゴールまでいこうと思っていた」という山下だったが、背後には2周目に坪井をオーバーテイクしたマーデンボローが接近してくる。今季から全日本F3に参戦しているマーデンボローは、ニッサンGTアカデミー期待の星。ゲーム『グランツーリスモ』育ちの異色のキャリアをもつが、その速さは誰もが認めるところ。第6戦岡山でも雨中のレースで抜群のコントロール能力をみせ、全日本F3での初優勝を飾っている。
マーデンボローは少しずつ山下とのギャップを縮めはじめ、毎周のようにタイム差は減っていった。「マネージメントどころではなくなって、離せるところはS字しかなくてがんばったんですが、その貯金を全部セクター3で使ってしまう感じになった」という山下に対し、「セクター3は僕たちの方が強力だった。かなり接近していて、何度か山下をパスしようとしてチャレンジしたんだ」というマーデンボローは、コース後半を勝負どころとして、9周目の日立オートモティブシステムズシケインで、イン寄りのラインをとっていた山下の、さらにインに飛び込んだ。
しかし、マーデンボローはシケインの縁石で軽くマシンが跳ねてしまい、ステアリングを切り込むものの、山下に接触してしまう。マーデンボローの左フロントタイヤに山下の右リヤタイヤが乗り上げるかたちになってしまい、山下は接触で右リヤの足回りを壊してしまった。
これで山下は痛恨のリタイア。一方のマーデンボローは、フィニッシュまで走りきり優勝か……と思われたが、レース後全日本フォーミュラ3選手権統一規則 第15条1.1)(危険なドライブ行為)違反により、競技結果に40秒加算。10位となり、こちらも無得点となった。
第7戦を終えて、ランキング首位は45ポイントで山下が守っているものの、ここまで未勝利ながら着実に表彰台を積み重ねている坪井が41ポイントで迫ってきている。マーデンボローは37ポイントで3位だ。今季3勝の山下だが、リードはかなり少なくなってしまった。