今回の決勝は4時間での戦いで、日没後にチェッカーが振られる一昔前のインターナショナル鈴鹿1000kmを彷彿させるナイトチェッカーが用意された。
「暗くなると、路面が見にくくなるから、最後は若いドライバーに走らせる(笑)」といった、ベテランからの冗談とも本音ともとれる声がいくつか上がったものの、それ以上に悩みの種となったのが天候だった。

いったんはやんでいた雨がまたポツリポツリと来て、しかも雨雲がレーダーで見ると大接近。何台かは、ウエットタイヤを装着してのスタートとなった。
本格的に降り出したのは30分以上経過してからで、それまで待ち切れなかった車両はいったんドライタイヤに戻したことから、勝負権を早々に失うこととなった。
まだドライタイヤのままで走れた頃、ST-Xクラスで圧巻の走りを見せていたのが、スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの平峰だった。好スタートを切ってトップを守ると、後続にペースを合わせる余裕さえ見せていたほど。

だが、雨が強くなってくるとENDLESS ADVAN GT-Rの山内が、平峰のペースを上回るようになり、あと一歩のところで逆転も先にピットに入られてかなわず。ところが、GT-R以上に雨の中での速さをみせたのが、89号車Hub Auto Ferrari 488GT3を駆る坂本祐也だった。2スティント連続での走行で、トップを奪い取ることに成功。コーナリングスピードの高さを自慢とする488GT3ながら、ウエットコンディションでここまで際立たせるとは、いったい誰が思っただろうか?
残念ながらHub Auto Ferrari 488GT3は、坂本の後を受けたモーリス・チェンにピットレーンスイッチの操作ミスがあり、速度超過に対してドライビングスルーペナルティが科せられ後退。
ENDLESS ADVAN GT-Rの峰尾が再びトップに立って、最終スティントを再び山内に託すことに。だが、今度は5号車Mach MAKERS GTNET GT-Rの藤波清斗が迫ってくる。ラスト10周で逆転を果たし、そのままトップでチェッカーを受けるかと思われたMach MAKERS GTNET GT-R。それが98周目のバックストレートでなんとストップ!
「入っているはずのガソリンが入りきっていなかったようです。(星野)一樹の時はいけた周回に(藤波は)届かなかった」と、天を仰ぎつつ語ったのは尾本直史監督。
これでENDLESS ADVAN GT-Rがトップに返り咲き、ディフェンディングチャンピオンたちが今季初優勝を飾ることとなった。
「これまでつらい予選、つらいレースが続いていましたが、ようやくGT-Rのことを僕らドライバーだけでなく、チームも理解できるようになったから、この結果があるんだと思います。この流れを大事にしていきたいですね」と峰尾。
2位は坂本/チェン/吉本大樹組のHub Auto Ferrari 488GT3が獲得し、「今年ようやくレースがちゃんとできました。これも坂本さんがすごくいい走りをしてくれたおかげです」と吉本。

そして、「最後はタイヤ無交換だったのが裏目に出て、全然グリップしなかった」と藤井が語ったスリーボンド日産自動車大学校GT-Rが3位。24号車はランキングトップをキープしている。