更新日: 2018.07.30 14:40
ENDLESS SPORTS 2018スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート
30ラップ過ぎにはトップよりラップタイムが3秒以上も落ちてしまう。スタートからまだ1時間が過ぎたばかりだ。ここでピットに入ってしまうと完全に4回のピットストップをしないといけないことになる。しかし、追い上げるにはピットストップの回数を抑えて我慢の走りでは難しい。
ピットストップの回数を増やしてでも追い上げるしかない。作戦を変更。35ラップ過ぎ、ライバル勢よりも早めとなってしまうがピットに入り、山内にスイッチする。
これで6番手までポジションを落とすが、ライバルチームよりも早くピット作業を終えたため、全車のピットストップが終わった時点では2番手に浮上、トップとのタイム差も20秒前後にまで迫っていた。我慢の走りから攻める走りに切り替えているだけに山内も元気ある走りで追い上げる。
66ラップ過ぎ、山内からTANIGUCHIにスイッチ。TANIGUCHIもコースに戻って数ラップはタイムが上がらなかったが、路面状況や全体の流れが見えてくると、ライバル勢とほとんど変わらないタイムでラップを重ねていく。
5番手から4番手、3番手とポジションを上げ、87ラップ過ぎ、2回目のピットストップを最後まで遅らせていたアウディがピットに入ると当チームは2番手。この時点でトップの24号車との差は約30秒。若干、引き離されたがチェッカーまで2時間弱あり、まだまだ逆転可能な範囲。
99ラップ過ぎ、ふたたび銘苅がステアリングを握る。5番手でレースに戻る。雲に日差しが遮られるなど、スタート直後に比べると路面温度は落ち出している。ただ、ラインのアウト側には多量のタイヤカスが飛び散っている。銘苅はグイグイと攻める。
見えないライバルを追いかけての走りだが、前を走る4台がピットに入ると、2番手にポジションを戻す。この時点でトップの24号車との差は約20秒。当チームはもう1回、ピットに入らないといけない。厳しい状況ではあるが、チャンスがないわけではない。
127ラップ過ぎ、銘苅から山内にスイッチ。この最後のピットストップの時にアクシデントが起きた。左フロントのホイールが外れない。ただ、ホイールが外れないというトラブルは、十分に起きることだし、対処策もSUGOラウンドの時に学んでいる。まだ、対策法を細かく明かすことはできないが、ドタバタすることなく、最小限のロスで山内に乗り替わったマシンをコースに送り出すことに成功した。
ただ、ここで違うミスをおかしてしまった。現在、スーパー耐久やスーパーGTなどのレースでは、マシンの順位やラップタイムなどを管理する認識機(トランスポンダー)が搭載されている。ドライバーが変わるときは、チームのメカニックがトランスポンダーを変更しないといけないことになっている。この切り替えをしないで送り出してしまったのだ。
これに対するペナルティが課せられてしまった。レース終了後、30秒の加算。つまり、30秒以上前でチェッカーを受けないと順位は下がってしまう。
ライバルチームはミスをしていないのだから言い訳になってしまうが、オートポリスはピットがコースに対してアウト側にあり、給油なども富士や鈴鹿とは逆になってしまう。ホイールが外れず、対処策で対応したために、メカニックの動きも通常とは違っていた。悔しい。
この時点で優勝はほぼ消えた。でも、2番手、3番手に生き残るチャンスはわずかだが残っている。ステアリングを握る山内は必死にアクセルを踏み続ける。結局、当チームのGT—Rは2番手でチェッカーを受けるが、3番手でチェッカーを受けた99号車とは17秒、4番手のアウディとは20秒、5番手のアウディとは21秒ほどのリードしか取れなかったため、最終的な結果は5位となってしまった。
これでランキングトップのGT—Rとのポイント差は61.5ポイント(残り2戦を当チームがポール・トゥ・ウインで得られるポイント数:54ポイント)にまで広がり、チャンピオンの夢は完全に絶たれてしまった。とはいえ、このままでシーズンを終えたくはない。
エンドレスらしい走りで表彰台、それももっとも高い位置で……。次戦も長丁場のもてぎ。地元ともいうべきサーキットだけに当チームを応援してくれるファンのためにも、元気のある走りを見せたい。