いったんは12番手にまで退いていたものの、逆に言えば、そこで踏み留まっていたから、挽回も早い。9周目には小高、小倉を相次いでかわし、10周目には角田をも抜いて3番手に浮上。11周目には川合も、そして12周目に名取からトップを奪い取ると、チェッカーまで実に20秒もの大差をつけた。

しかし、佐藤はレース終盤、イエローフラッグが出されていた区間でバックマーカーをオーバーテイクしたとしてタイム加算ペナルティで首位から陥落。10位フィニッシュに終わった。
佐藤は「タイヤ選択は自分の判断。3周ぐらいで(ドライタイヤの方が)来たのを感じ、狙いどおりになったと思いました、最後の最後まで(苦笑)。残念ですけど、自信になりました」と胸を張って言った。

繰り上がって優勝したは名取で、開幕戦以来の2勝目を挙げ、2位の川合は初優勝を飾った、一昨年の第6戦代替レース以来の表彰台へ。3位の角田に、小倉が続いて自身の最上位を得ることとなった。
「最初、トップに立った時は、前で回っているクルマのイン側に行ったのが良かったですね。角田選手より距離があったので、ちょっとだけ考える余裕があったというか。そのまま逃げたかったんですが、最終コーナーで黄旗が出て、なぜかしょっちゅう現れるバックマーカーをうまく抜けなくて、自分としてはうまく走れなかった。アクセル踏めないから後ろが近づいてきて、最後まで気の抜けないレースでした。ただ、(佐藤に抜かれて)普通に2位だと思っていたので、びっくりしました。今日はとにかく運が良かったです」と名取。
日曜日には秋晴れとなって、決勝レース第10戦はドライコンディションでの戦いとなった。予選はちょうど半ばで赤旗が出て、タイムを出していたことから、再開後に角田は走行せず、タイヤを温存していた効果が、早くも1周目のうちに表れた。スタートを決めて1コーナーで名取以下を従えると、そこから先はコーナーをひとつクリアするたび明らかな差がついて、グランドスタンド前に戻ってきた時には、もう2秒もの差をつけていたからだ。
一方、再び名取と激しいバトルを繰り広げるかと思われた川合だったが、「ある1か所のコーナーだけ違和感があって、自分の走りでアジャストできなかった」ため、徐々に引き離されていって中盤からは単独走行に。
その後方では澤田と小倉、小高による4番手争いが繰り広げられ、特に小高が激しく小倉に迫るも、ルーキーらしからぬ固いガードで逆転を許さず。結局、そのままの順位でフィニッシュとなった。

そして、角田はポール・トゥ・ウィンを達成。これで今季6勝目をマークした。「朝早くからのレースですから、応援してくれた皆さんの目が覚める走りができたかわかりませんが、そのぐらいの走りができたので、本当に良かったです。普通にレースができれば、離せる自信はありました。富士や昨日の分は、しっかり取り返せましたし、次のオートポリスではまた連勝したいので、しっかりと準備をしていきたいと思っています」と角田。
次戦FIA-F4、第11~12戦は10月20~21日、オートポリスで行われる。