更新日: 2020.08.12 16:47
「育成とトレーニングの舞台として提供する」とプロモーター代表【フォーミュラ・リージョナルの現在と未来】
そのSFLの年間活動費はトップチームともなると1億円を下らないと囁かれている。一方のFRJは年間活動費はどの程度になると算盤を弾いているのだろう?
「シャシーとエンジンの車両1台が1400万円弱。このほかに運営費用が必要で2、3000万円。つまり4、5000万円を想定しています」
これは富士スピードウェイのパドックでチームに聞いた内容とあまり変わらず、つまりSFLの半額でFRJに参戦可能というわけである。ほかにFRJの魅力としてスーパーライセンスポイントも挙げられる。SFLはシリーズチャンピオンの12点を筆頭にシリーズ上位8位までに配点、一方のFRJはシリーズチャンピオンの18点を筆頭にシリーズ上位9位までに配点される。
もちろん、これには最低大会数や最低参加台数の縛りがある。ただし、2020シーズンに関しては新型コロナ・ウイルスの蔓延で世界中どのシリーズも苦境に陥っており、FIAも縛りの軽減を考えているそうだ。そして国内の各プロモーターはスーパーライセンスポイント獲得条件の緩和を求め、日本自動車連盟(JAF)が取りまとめる形でFIAへ上申しているという。
今後、SFLあるいはFIA-F4と掛け持ち参戦するドライバーの参加についても「可能性はあると思います。もちろん、スーパーライセンスポイント取得のために、日本のドライバーはもちろん海外のドライバーの参加もあるでしょう」と桑山FRJプロモーター代表は言う。そして、最後にFRJの短期的、中長期的な展望をどのように描いているのかもうかがった。
「FIAの統一規定に則り、比較的費用の掛からないなかで楽しめるシングルシーター・レースに育てたいと考えています。上位カテゴリーを目指す若手ドライバーが育つ舞台として提供するとともに、スーパー耐久を含む“ハコ車”カテゴリーを戦うためのトレーニングの場にも活用していただけるよう、マスターズ・クラスも作りました」
「並行して、安全で公平そして質の高いシリーズ運営を実現するため、競技の運営面では株式会社日本レースプロモーション(JRP)とのコラボレーションにより、国内トップレベルの人材をこのシリーズのために集めました」
「世界的な新型コロナ・ウイルス蔓延の影響が落ち着けば国内外ドライバーの興味も引き、いっそうの参加者増加を見込めます。いずれにせよ、国内のシングルカー・シリーズをほかのプロモーターさまとともに盛り上げていきたいと考えています」
ちなみに富士スピードウェイのパドックで集めた情報によれば「関係各所の要請や支援を受けて開幕大会に参戦した。第2大会以降は決まっていない」と答えたチームはひとつだけではない。また、「開幕大会だけで今後の予定は決まっていない」というドライバーもひとりやふたりだけではなかった点が今後気がかりである。
8月22~23日にスポーツランドSUGOで開催されるFRJ第2大会は、同週末に鈴鹿サーキットで開催されるスーパーGT第3戦と日程が重複しており、スーパーGTを優先するドライバー/チームが出てくるのは容易に想像できる。このため、FRJ第2大会の参加台数は10台を割ると予想する声もある。
もっとも、久しぶりに国内で新設されたシングルシーター・シリーズではあるし、長い目でFRJを見守り最終的は国内自動車レース全体の発展に寄与してくれるよう筆者は願っている。