海外では、2018年のドバイ24時間レースにおいてブレーキパッド無交換で走りきったというG55 GT4。富士24時間レースでもその車重の軽さを活かし、長時間のマシンに厳しいレースを有利に進められるのかと思いきや、そういうわけでもないようだ。
「富士スピードウェイを走るとホームストレートの途中でリミッターが当たってしまうと思います。鈴鹿サーキットで何度か走らせているのですけど、鈴鹿でもリミッターが当たってしまうのです。なので、正直これでは厳しいなと思っています。GT4はギヤ比まで固定されているので」
「ただ、まだ富士ではテストも行っていないので、走ってみなければ最後のところはわからないのですが、ロガーを見る限り厳しいのかなというのが自分の考えです」と市成監督はG55 GT4の意外な弱点を明かした。
だが、リミッターが当たるのはハイスピードコースの富士や鈴鹿であり、スポーツランドSUGOや、岡山国際サーキットなどのテクニカルコースであればリミッターも当たらない。市成監督は「はっきり言って勝てるチャンスはSUGOと岡山かなと思っています」と語った。なお、ジネッタが公開しているカタログ数値によると、最高速は241km/hとなる。
「セッティングもしやすいですし、コストの面でもメリットの大きいクルマだと思います」と市成監督が語るとおり、G55 GT4の大きなポイントとして価格の安さも忘れてはならない。GT3マシンに比べ、車両価格が安価なことがGT4カテゴリーの特徴ではあるが、G55 GT4はレートにより前後するものの基本価格は119000ポンド(約1800万円)という。なお、エンジンには60時間の保証がついており、ミッションも2万キロでオーバーホールとなることからランニングコストもライバル勢と同価格帯となる。そのためモノコレには毎年多くの問い合わせがあるとのことだ。
ドライビングに関して、2019年からG55 GT4のドライバーを務める田中優暉は「車重が軽いのでブレーキも結構奥までいけますし、コーナリングスピードも速いし、すごく乗りやすいクルマですね。自分の思ったとおりに乗ることができます。コーナリングスピードを大事にして立ち上がりを重視したらすぐタイムが出ます。攻めすぎるとクルマがよれてロスしてしまうので、パワーが少ない分、ロスがないように攻めないとタイムが出ないクルマではあると思います」と感触を語った。
そんなG55 GT4の日本での約1年ぶりの実戦となった2021年の第1戦もてぎではST-Zクラスに14台が出走するなか予選7番手を獲得。決勝は大雨の影響で2度のセーフティカーが導入され、残り1時間のところで赤旗中断のままレースが終了したなか、2つポジションを上げて5番手という結果となった。
「勝てるチャンスはSUGOと岡山」という市成監督の言葉のとおり、4月17〜18日に開催される第2戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』はG55 GT4にとって日本での初勝利を狙える重要な一戦となる。15台という最も多くの台数が参戦するスーパー耐久シリーズ随一の超激戦クラスとなったST-ZクラスでジネッタG55 GT4がどのような戦いを繰り広げるのか、その戦いぶりに注目したい。





