C.S.I Racingは、GR Garage水戸インターに勤務するトヨタカローラ新茨城の社員メカニックとレースメカニックによる混成チームだが、311号車 FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4のチーフメカニックはGR Garage水戸インターの岡田友輔氏が務めている。
昨シーズンまでST-4クラスに参戦する310号車 GRGarage⽔⼾インター GR86のメカニックを務めていた岡田氏だが、2021年シーズンより2台体制となるにあたり、311号車のチーフメカニックを務めることとなった。レーシングカーのチーフメカニックを務めるのは初めてという岡田氏は、GRスープラGT4にどのような印象を抱いているのだろうか。
「ロードカーとはベースは同じで、エンジンも純正に近いですが、足回りなどは少し違うので、ふだん店舗で見ているGRスープラとの違いで少し戸惑うところはあります」
「GT4マシンということで、メンテナンス的にやることは少ないです。しかし、ミリ工具ではなく、インチ工具を使うので、メンテナンスのやりやすさという点ではST-4クラスの86の方がやりやすいなと感じます。あと、GRスープラGT4はセッティングをひとつ動かすと、急激に性格が変わったりします。そういった意味でも86の方が触っていてやりやすいなとは感じますね。ただ、どちらかというとGRスープラGT4の方がレーシングカーっぽいという印象です」
日本メーカーのマシンにもかかわらず、メンテナンスの際にインチ工具を使用するのは、ロードカーのGRスープラがトヨタとBMWの共同開発車両であり、また、オーストリアのマグナ・シュタイヤー社で生産されていることに由来するものだろう。
GRスープラGT4の車両販売価格は175,000ユーロ/約2300万円(消費税、関税、輸送費等別)となる。ロードカー(RZ)のメーカー希望小売価格は約732万円のため、ロードカーと比較すれば価格差は約3倍となるが、GT4マシンのなかでは標準的な価格だ。
車両価格もさることながら、気になるのはランニングコストを計算する上で重要なポイントとなるエンジンとミッションのマイレージだ。これまで“スーパー耐久マシンフォーカス”で紹介してきたGT4マシンはいずれもシーズン中にエンジン、ミッションをオーバーホールすることなく、富士24時間を含めた1シーズンを走り切ることができるマイレージの長さを誇っていた。
その点に関して岡田氏は、「ざっと聞いた感じですが」と前置きした上で、「エンジンとミッションは、オイル交換だけで1シーズンいけると聞いています」と話した。デビューから間もないマシンということもあり、正確なマイレージは1シーズンを通して見定めていきたいということだが、GRスープラGT4もGT4マシンの特徴であるランニングコストの安さを持ち合わせていると言えるだろう。
C.S.I Racingの311号車 FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4は第1戦もてぎで5位、第2戦SUGOも5位でチェッカーを受け、第2戦終了時点でポイントランキング4位となっている。5月21〜23日にはスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第3戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』が行われるが、残念ながら311号車は第3戦をスキップし、次の出走は第4戦『TKU スーパー耐久レース in オートポリス』の5時間レースとなる。C.S.I Racingは富士24時間でST-4クラスに参戦する310号車 GRGarage⽔⼾インター GR86の1台に注力するという。
ポイントランキングでGRスープラGT4勢トップを守っているだけに、311号車の富士24時間欠場は寂しいが、108号車 アスラーダ Ver. SUPRA、111号車 Access HIROSHIMA+ GR SUPRA GT4、885号車 林テレンプ SHADERACING GR SUPRA GT4といった3台のGRスープラGT4が富士24時間に参戦を予定している。
いまだST-Zクラスでの勝利がないGRスープラGT4は、富士24時間というシーズン一番の大舞台でどのような戦いを見せるのだろうか。大激戦が繰り広げられるST-Zクラスの戦いに引き続き、注目したい。









