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投稿日: 2021.06.04 08:00
更新日: 2021.06.04 08:21

RECARO RACING TEAM 戦いの流儀。苦悩のなか86/BRZレースの最後尾から見た景色


国内レース他 | RECARO RACING TEAM 戦いの流儀。苦悩のなか86/BRZレースの最後尾から見た景色

 佐々木はマシントラブルのためスペアの車両で初戦に出場しており、906号車では初めてのレースである。練習走行の合間に旋回性を高めるべくデフのセッティングを変更することになったが、荒木メカニックは佐々木から指示を受けると素早く作業を済ませた。

 しかし、これは結果につながらず、デフはもとに戻すことに。過去のデータが不足しているチーム事情がドライバーとメカを悩ませる。そうして効果的な打開策が見つからないまま迎えた翌日の公式予選において、佐々木のタイムは28番手相当の2分5秒856。さらにランオフエリア走行の判定が下され、最後尾スタートとなってしまった。

「クルマが曲がらない」と首をかしげる佐々木。4輪脱輪もそれが招いたものだが、彼は予選を終えるなりスタッフ全員を集め、自らの車載映像を何度も確認し意見を交わした。苦しい状況のなかでも、佐々木によってチーム内に化学反応が起き、そこに集う者に信頼関係が育まれている。

 そして翌日の決勝。佐々木は、30番手から順位を上げ13位でフィニッシュ。満足な結果でないことは誰もが承知しているが、佐々木がひとつ、またひとつと順位を上げるたびに悔しい思いをしていたのは、予選に向けて思うようなマシンのセットアップが叶わなかった荒木メカニックだろう。

 彼は決勝レースを終えるとすぐに、新たなセッティングを試すための機会を与えてほしいと自ら申し出た。そう、彼も変わり始めている。

「レカロが、前口氏が考えるレース活動の意味。それは年を追うごとに変化してきた。そして今年、チーム全員が同じ方向を目指している。86/BRZレース参戦3年目で、ようやくこのチームの戦いが始まったと言えるかもしれない」。

 結成当初からチームを支えてきた佐々木は、いまそう思っている。

auto sport No.1554
auto sport No.1554(PDF)

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 2005年にスーパーGT GT300クラスでシリーズチャンピオンを獲得するなど、長年にわたり幅広いカテゴリーで活躍してきた佐々木孝太。前口氏が彼をチームに招いたのは、2017年から3年間開催されたマツダ・ロードスターのワンメイクレース『グローバルMX-5カップ・ジャパン』の観戦がきっかけだった。

 自身のチームであるKOTAレーシングからシリーズに参戦していた佐々木は、激しい戦いに身を置きながらもチームのもう1台のマシンに乗る若手を気遣い、ときにはついてこいと言わんばかりにすぐ後ろを走らせ、またタイミングを見計らって前に誘うことも。

 チームメイトの成長を願ってきめ細かくアシストしつつ自身のレースの駆け引きにも隙を見せないクレバーな走りが強く印象に残った。佐々木はドライバーのコーチングに定評があり、86/BRZレースにおいてもレカロとともに戦うクラブマンシリーズのジェントルマンドライバーをサポートしている。

2005年にスーパーGT GT300クラスでシリーズチャンピオンを獲得するなど、長年にわたり幅広いカテゴリーで活躍してきた佐々木孝太
2005年にスーパーGT GT300クラスでシリーズチャンピオンを獲得するなど、長年にわたり幅広いカテゴリーで活躍してきた佐々木孝太
TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race第2戦
TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race第2戦

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