今回の決勝レースは全クラス混走で、5時間で競われる。その間に義務づけられたピットストップは3回だ。さて、土曜日までは酷暑の中での走行だったが、日曜日になると一転し、早朝まで降り続いていた雨が路面に残っていた。早朝に行われたウォームアップの頃には雨はやんでいて、時間の経過とともに路面から水しぶきが上がらなくなるが、代わりにサーキット全体が霧で覆われるようになる。決勝レースのスタート進行の始まりは小雨がパラついている状態であった。
今回もスタートを担当するのは金井。レースは定刻どおり開始され、スタート直後の1コーナーで3番手の車両に横に並ばれこそしたものの、「TRES☆TiR☆NATS ロードスター」はしっかりポジションをキープ。だが、序盤から無益な戦いを避けたこともあり、2周目には4番手に。その直後に視界不良を理由とする、セーフティーカー(SC)ランが行われることになる。これが7周目まで実施され、いざ再開となったはずが、たった1周でまたSCが導入される。より霧は濃くなっていたことから、結局スタートから42分経過後に赤旗が出されて、レースは中断される。
それでも1時間ほど経過すると、霧はきれいに晴れてSCの先導によって再開されることに。路面もほぼ乾いていたことから、「TRES☆TiR☆NATS ロードスター」はピットイン。ドライタイヤに交換し、ドライバーは金井のまま。この間に順位を落とすこととなるが、金井はオーバーテイクを重ねて23周目には4番手に復帰。その後、繰り広げられた激しい3番手争いは、抜けなかったとはいえ観客の視線を釘付けにしていた。
先行する車両の加速性能が高く抜くことが出来ない為2回目のピットストップを早める形で39周目に金井をコクピットに収めたまま、給油のみのピットインでコースに送り出すとポジションは4番手のまま復帰する。ピットタイミングの違いもあり、やがて金井は2番手に浮上し、トップは有視界ながら無理せず機の熟すのを待つ。
そして、ゴールまで残り1時間となって間もなく、前を行く車両がピットに入ったことから、「TRES☆TiR☆NATS ロードスター」は待望のトップに浮上! 3周後となる75周目に猪爪と交代し、タイヤはフロントのみ交換する。だが、この間に3番手に後退したばかりか、明らかに走りは苦しそう。なんとか表彰台には……との思いも空しく、残り2周となる95周目に抜かれ、結果4位でフィニッシュとなった。
優勝も視野に入っていただけに、悔しいリザルトとなってしまったが、うつむいてはいられない。次のレースは9月18〜19日に鈴鹿サーキットで行われる。そう、山野哲也を助っ人として迎える一戦だ。この大勝負にすべてをかけることとなる。
金井亮忠
「前半、ヘビーウェット方向に振ったのが裏目に出てしまいましたが、赤旗再開後はすぐドライタイヤに換えて作戦も立て直し、ロングスティントを担当することになりました。前車をなかなか抜くことができず厳しい場面もありましたが何とかトップでバトンを渡せたのは良かったと思います。交代直前ではリヤのグリップは余裕があり残りのレース時間も少なかったので、フロントタイヤのみ交換という勝負に出ましたが、リヤタイヤを換えていない分オーバーステアが強くなってしまったみたいです。次こそは優勝できるよう頑張ります」
猪爪杏奈
「1番を獲る戦略に勝負をかけて、チームみんなの期待を背負いコースに出ましたが、車の挙動を抑えきれず簡単に抜かれてしまい、最後までペースを上げられず不甲斐ない結果になりチームに申し訳ない気持ちです。気持ちを入れ替えて、次のレースも諦めず頑張ります」
岡原達也
「練習時はずっと自分はユーズドで走っていたのでそれなりのペースで走れると思っていたのですが、展開的にこうなったので自分の出番は無しでした」
猪爪俊之監督
「リヤタイヤは赤旗リスタート後にスリックに交換した後チェッカーまでだったから、最後ペースが上げられませんでした。1位が見えていたからギャンブルしたけど、ちょっと最後はジリ貧になってしまいました。次戦の鈴鹿は山野選手の力を借りて、初参戦の鈴鹿でいきなりチーム初優勝目指します」