C.S.I Racing 2021スーパー耐久第5戦鈴鹿 レースレポート
今回の決勝レースもまた、全クラス混走による、5時間レースとして競われる。ここまで、もてぎとオートポリスで2回行われた5時間レースは、いずれも悪天候に見舞われて中断を強いられていたが、こと今回は天候に関しては心配なさそうだ。日曜日の鈴鹿には青空が広げっていたからである。午前に行われたウォームアップで、『FABULOUS GRMI GR SupraGT4』は2分16秒207を、そして『GR Garage 水戸インター GR86』は2分27秒193を記録して、いずれもトップ。予選からの好調ぶりを維持していただけに、決勝レースでも活躍が大いに期待された。
スタートを担当するのは、『FABULOUS GRMI GR SupraGT4』が佐藤、『GR Garage 水戸インター GR86』が坪井。ともにトップをしっかり守って、レースを開始した。しかし、坪井は徐々に2番手を引き離していったが、佐藤は5周目に1台、18周目にもう1台の先行を許していた。それでも前を行く2台は有視界のうち。離されなかったことによって、セカンドスティントを担当した塩津が見せ場を作った。
1時間18分経過した33周目に佐藤から塩津に代わり、やはり今回も給油にライバルよりも時間を要したため、ピットで1台に抜かれたが、わずか5周で抜き返し、トップの早い交代で2番手に復帰。57周目には1コーナーで、塩津が鮮やかなオーバーテイクを決めて、『FABULOUS GRMI GR SupraGT4』はトップ返り咲きに成功する。そして、折り返しを過ぎたばかりの2時間37分、66周目に久保と交代する。
一方、『GR Garage 水戸インター GR86』は、その間もちろん独走状態。1時間33分経過した37周目に細川が、69周目に再び坪井が乗り込んだ後でもトップを譲らず。余裕そのもののように感じられたが、実はモニターに映っていないところでハプニングが発生していたのだ。現状、原因は不明ながら、エンジンが突然パワーを失っていたからだ。すぐに自然と回復して事なきを得たとはいえ、いつまた再発しないとも限らない。その意味では、爆弾を抱えた状態ともなっていた。
誰より肝を冷やしたのは、その様子を走りながら見ていた久保ではなかったか。その久保は、やはりピットで順位を落とすも、タイミングの違いもあったためで、やがて2番手に順位を戻すも、トップのアストンマーティンにだけは届かない。残り1時間を間もなくというタイミングで、鈴木に『FABULOUS GRMI GR SupraGT4』を託したのが99周目。約20秒の差がどうなるか。
そして残り45分を切った100周目、『GR Garage 水戸インター GR86』のラストスティントは、再び細川がドライブ。すでに後続にペースを合わせられるほど、大量のリードが築かれていたが、113周目に決定打が。ピット作業違反によって、ドライビングスルーペナルティを課せられていたからである。あとはもう、大事にチェッカーまで運ぶだけとなっていた。
その一方で『FABULOUS GRMI GR SupraGT4』は、鈴木が激走を見せたが、それでもトップは逃げる一方。一時はトップも走行しただけに、悔しい2位でもあったが、それでも初めて上がった表彰台だけに、ドライバーの4人には嬉しさの方が優っていたようだ。
逆に『GR Garage 水戸インター GR86』は不安視していたエンジン不調に再び見舞われることなく圧勝となり、2連勝を達成!ランキングは2位のままながら、トップにも急接近を果たすこととなった。最終戦で大逆転なるストーリーの、お膳立ては完璧に整えられた。ちなみに、レース中、一度もセーフティカーどころかFCYすら出なかったため、過去3回の5時間レースで最も多い119周の走破に成功、2018年の記録を2周上回っていた。
11月13〜14日に岡山国際サーキットで開催される最終戦、『GR Garage 水戸インター GR86』には2連覇達成、そして『FABULOUS GRMI GR Supra GT4』には初優勝の期待がかかる。
ST-Zクラス「FABULOUSGRMIGRSUPRAGT4」
鈴木宏和
「前回のオートポリスで、あとちょっとのところでリタイアしてしまった、憂さは晴らせたんですけどね。スープラのいいところを、もっと見つけて、僕らには速さはあるので、一発の。あれを長い時間走れるような方向に振っていければ、はい。期待してやっていきます」
久保凜太郎
「激しかったねぇ。でも、うちとしてはずっと予定どおりの戦い方をしていたので、あれ以上はないでしょう、現状のポテンシャルで言うと。ピットでの差が激しいから、それで前に出られたし。勝ったD’stationは、織戸さんがめちゃくちゃ速かったから逃げられちゃって、前で有利な展開でレースされちゃった。しんどかったけど、3位のENDLESSとはギャップを作って帰ってこられたから、悪くなかったと思います。次の岡山は短いから、もうちょっと攻めた作戦を、何か採れればいいなと思っています」
「2台で表彰台上がれたのは、すごく嬉しいし、何より86が岡山に対してはすごく有利な展開、有利な状態で入れるので、それはすごくポジティブですよね。また、みんなで頑張ります」
塩津佑介
「タイヤが厳しい鈴鹿で、燃費も稼ぐレースだったんですけど、そういう点では今年やった中で、平均のタイムも上げて、いちばんいいレースができたと思います。相手はジェントルマンだったんですが、ENDLESSとD’stationの前に出られたのは、すごく気持ち良かったですし。でも、本当はそこでもう少しマージン作りたかったんですけど、まだ自分の力が足りなかったな、っていうのもありました。本当にチームの皆さんのおかげで、全員が出し切ったレースだったと思うので、正直悔いはないし、まだまだ上にもうひとつ順位があるので、そこに立てるように次を考えていきたいと思います」
佐藤公哉
「やっぱ、アストンは強かったですね。僕らももうちょっと細かく詰めるところが、いっぱいあると思うので、次の岡山に向けて、そういったところ詰めていったりしていったら、もっといい結果が出ると思うので。今回はとりあえず、初表彰台で良かったと思うことにします。今までいいところ走っていても、セーフティカーに引っかかったりする不運もありましたので」
ST-4クラス『GR Garage 水戸インター GR86』
坪井翔
「ドライは調子良かったんで、決勝にも自信はありました。セーフティカーとかイレギュラーがなく、トラブルもなければ大丈夫だと思っていたんですが、一瞬ヒヤッとした時があって。原因は分かりませんが、アクセル踏んでもパワー出なくなっちゃって、一気に20秒ぐらい失ったので、そのトラブルが再発しないか、って不安と戦いながらだったんです、実は。ただ、これもなんでだか分からないんですが、そのまま走っていたら戻っていたんです。その後は、もう出なかったですが、ちょっと怖かったですね。今週は予選、決勝においても速さはあったし、ポイントランキングも同等のところまで来ました。今年の初めからしたら、まさかチャンピオン争いに絡めるとは思っていなかったし、最終戦でガチンコ勝負できるところまで来たからには、もう獲るしかありません。全戦ポールもかかっていますので、まずはポール獲って、って感じですね!」
細川慎弥
「ギリギリの状態で踏み留まれているので、次は最終戦だけど、あんまり逆にシリーズ考えず、うちらの力を出すことができれば、シリーズチャンピオンはついてくると思います」
堀尾風允
「今回も僕は見守ることしかできなかったので、個人的には準備してきたところもあったから、ちょっと悔しいなというところはあるんですが、次の岡山では自分も乗って勝てるように頑張ります」