「今日のリザルトだけ見ると、確かにいいタイムが出ているけれど、ここまでくるには相当な苦労がありました」と山野。
「まずは車種選択とタイヤ。このクラスは車種構成が非常に豊富であるのはいいことなのですが、ハイパワー車であればあるほど、この競技に向いたタイヤが存在しません。むしろスイフトなんかの方が、もっとも適したタイヤがあるんです」
「その点、A110Sというのは、ちょうど“間”で、ハイパワー車じゃないけどミドルサイズで、なおかつジムカーナにギリギリ適したタイヤが使えます。そのクルマで今週に入って、やっとセッティングが合うようになったという“運”もあったので、結果からすれば超正解にはなりました」
しかし、必ずしもA110Sが万能ではないと山野は語る。「今回はコースを(他クラスと)分けてくれましたけど、分かれない可能性もあります。サイドターンした方が速いコースであれば、スイフトとかBRZが有利になるでしょうし、ハイスピードコースなら、ポルシェとかマクラーレンが有利になってくると思います」
それでも山野は果敢に攻め続けるのだろう。そして2ペダル車両でのジムカーナ参戦を強く推奨した。
「2021年から始まったクラスですが、今年が実質“元年”になって、いろんな車両が出てきて、勢力図が見えてくるシーズンになると思います」
「もっといろんな車種に出てきてほしいし、ジムカーナをやったことのない人にもっとこの世界に入ってきてほしい。それが繁栄につながるところなので」
「今までの『スピンターンできなきゃダメ』、そういうのではなく、ヒール&トゥもいらない、AT限定免許でもできるというのが(JG10クラスの)魅力だと思うんです」
「僕のクルマもそうなんですが、P規定のクルマはタイヤとホイール、ブレーキパッド、ダンパーとスプリングしか速くなる要素のパーツは変えられない上に、JAF登録のない車両でも出られます」
「もしかしたら、何年か後には2ペダルでクラスが細分化されるかもしれません。サイドブレーキ付きとEPBで分けるとか……。いや、2ペダルの方が主流になっている可能性もあると思います」
「可能性はものすごく広がりました。とにかく今までのジムカーナの概念を捨ててほしい。新しいジムカーナが始まりました!」
21度のチャンピオンが力強く明言した新しいジムカーナの世界。今後の発展が大いに楽しみな分野といえそうだ。


