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投稿日: 2022.03.21 19:00
更新日: 2022.04.07 00:46

KTMS 2022スーパー耐久第1戦鈴鹿 レースレポート


国内レース他 | KTMS 2022スーパー耐久第1戦鈴鹿 レースレポート

KTMS KOBE TOYOPET MOTOR SPORTS

ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第1戦 SUZUKA 5時間耐久レース

2022年3月19日(土)〜3月20日(日)
鈴鹿サーキット(三重県)
入場者数:3月19日 1,600人
     3月20日 3,400人

熾烈な争いのなかチームワークが結実
2022年開幕戦を優勝で飾る

FREE PRACTICE
 KTMSにとって、3年目となるスーパー耐久への挑戦がいよいよ始まった。KTMS GR YARISを投入する2022年、チームは新たに平良響を中心に、荒川麟、奥住慈英というふたりの若き才能、そして神戸トヨペットから新たに加わるスタッフたちとともに、激戦に臨んでいく。2021年は年間4勝を飾ったKTMSだが、今季はST-2クラスだけで7台がエントリーしておりライバルたちも強力だ。チームの力を結集し、毎戦しっかり成長をみせなければ目標とするチャンピオンは得られない。

 迎えた開幕戦の舞台は鈴鹿サーキット。チームにとっては前年“借り”があるコースでもある。事前の公式テストを含め、荒川と奥住はKTMS GR YARISのステアリングを握り、経験が少ないハコのレーシングカーの習熟を進め鈴鹿に乗り込んだ。

 走行は3月17日(木)の特別スポーツ走行からスタートし、晴天のもと午前1時間、午後2時間をこなしていった。2日目となる3月18日(金)はさらに習熟を深めたいところではあったが、午前の走行開始直後から雨が降り出し、あっという間にコースはウエットに。予選日以降がドライコンディションになることが予想されていたことから走行を見合わせるチームも多かったが、そんななかKTMSでは、今後のシーズンを考え、ウエットでの専有走行1回目では平良が、2回目では平良、奥住、荒川と交代しながら走行。雨中での走らせ方を学びながら走行を重ねていった。

 チームには昨年もドライブした一條拳吾が帯同し、若手のふたりをサポート。非常に良い雰囲気のなか、2日間の走行を終えた。

QUALIFY
 2日間の走行でセットアップを確認してきたKTMS GR YARIS。好フィーリングを得ていたが、ライバルたちのスピードもあり、決して余裕があるわけではない。予選での好位置獲得を目指し、迎えた3月19日(土)の予選日を迎えた。午前10時40分からのフリー走行で平良、荒川、奥住と交代しながら走り、トップタイムに。さらなる好感触を得ながら、午後2時からの公式予選に臨んだ。

 まずはAドライバーの平良が3周目に2分18秒316をマークし僅差の2番手につけると、Bドライバー予選では荒川が2分19秒410を記録。合算で3番手につけた。仕上がりは良いが、やはりライバル勢が速い。特に、昨年の第6戦で優勝を争った#13 GR YARISは2番手。パッケージも同じだけに強力なライバルとなりそうだった。チームはレースでの強さを武器にするべく、戦略を練った。

RACE
 明けて3月20日(日)の決勝日。朝から晴天に恵まれるなか、午前11時40分からのスタートのときを迎えた。KTMS GR YARISのスタートドライバーを務めたのは平良だ。序盤から混戦のST-2クラスのなかで2番手〜4番手を争っていく。序盤、ST-5クラスのアクシデントによりフルコースイエローが導入されるが、その後も激しいバトルは続いていった。

 ただ、スタートからレースをリードした#6 ランサーが25周目にトラブルでストップ。ふたたびフルコースイエローが入り、これで#59 WRX STI、#13 GR YARIS、そして平良というトップ3も争いとなっていった。

 このなかでKTMS GR YARISにとって強敵となりそうだったのは、やはり#13 GR YARISだ。37周目、チームは平良を呼び戻すと、#13 GR YARISも同時にピットインを行う。直接順位に関わるピットストップだが、金敬模監督は、初めて本番のピット作業を行う神戸トヨペットのディーラーメカたちにも「ゆっくりでいい。失敗しないようにこなそう」と声をかけた。この作業で#13 GR YARISが2〜3秒ほど先行し先にピットアウト。交代した荒川も、一瞬リバースにギアを入れてしまうほどの緊張だったが、無事にピットアウトし前を追った。

 途中、荒川は一度は#13 GR YARISの前に出ていたが、58周目の2コーナーではふたたび#13 GR YARISが先行するなど、ドッグファイトの様相はさらに加速していく。#59 WRX STIもトラブルで遅れると、2台のGR YARISの戦いが注目を集めていった。

 荒川は初めてのスーパー耐久のレースで「余力を残してしまった」とマージンを保つスティントとなったが、それでもこのレースはトラブルなくきっちりスティントをこなすことこそ重要。71周目にピットに入り、こちらも初めてのレースとなった奥住に交代する。

 そんな奥住だったが、ペースが良い。先にピットインしていた#13 GR YARISとのギャップを縮めていき、きっちりと自らのスティントをこなしていった。奥住は91周目にピットに戻り、自らに与えられたミッションを完了。ふたたびエースの平良にKTMS GR YARISのステアリングを託す。この最後のピットインまで、タイヤ交換の本数まで#13 GR YARISと同じという接戦ぶりだ。

 平良はふたたび#13 GR YARISを追いレース終盤を迎えていたが、そんななか思わぬアクシデントが起きた。逆バンクで#13 GR YARISは、ST-1クラスの#47 アストンマーティンにオーバーテイクされた直後にヒット。2台がスピンを喫してしまったのだ。#13 GR YARISはなんとか再始動しコースに戻るも、その間に平良がトップに浮上を果たした。

 平良はその後、安定したスティントを刻みKTMS GR YARISをチェッカーまで導いていった。最後は118周を走りトップフィニッシュ! 2021年第6戦岡山に続き、強敵#13 GR YARISとの真っ向勝負に打ち勝ってみせた。KTMSの総合力、そして決して焦らず、ミスをしないというチームの思いが一丸となっての開幕戦優勝となった。

 少し間があるが、続く第2戦の舞台は富士24時間。KTMSにとっては、2021年に忘れられない悔しい思い出があるレース。今回得た手ごたえとともに、昨年の借りを返しに行く。

KTMS 2022スーパー耐久第1戦鈴鹿 レースレポート
KTMS 2022スーパー耐久第1戦鈴鹿 レースレポート

DRIVER’S VOICE
平良 響  HIBIKI TAIRA

勝てました! こうして新しい体制でまずは結果を残すことができたので良かったですね。このクラスはライバルが逃げていくことは事前の予想どおりだったので、焦らずになるべくタイヤを使わないようにしつつ、後続を前に出さないようにしつつ戦ったのが良かったですし、最後まで安定したタイムで走ることを気をつけていたのが結果的に優勝に繋がったのではないかと思っています。次戦は富士24時間ですが、いろいろな思いがあるレースです。目標はあくまで完走で、あまり勝ちを意識せずに、いつもどおりに淡々と走りきることを目標にしたいと思います。

荒川 麟  RIN ARAKAWA
勝てたことは嬉しいですが、反省する材料もたくさんあります。ピットアウトするときに一瞬バックしたので焦りました(苦笑)。初めてのスーパー耐久でのレースでしたが、良いところもありましたし、直さなければならないところもたくさんありました。次戦に向けてしっかり改善しなければいけないと思っています。決勝レースでは、自分のスティントの最後にもう少し上げられれば良かったです。最初の方はセーブしていましたが、しっかりと使い切れずに終わってしまった印象です。次戦は24時間レースですが、しっかり自分の仕事を果たすことができればと思っています。

奥住 慈英  JIEI OKUZUMI
ハコのレーシングカーを本格的に乗るのが2回目でしたが、専有走行では雨もあったり、セットアップを進めたりと、そこまで自分の走行時間を保てないまま決勝レースを迎えたような感じです。正直『ヤバい!』と思っていて、夜も寝られないくらいだったのですが、平良選手や一條拳吾さんなどにたくさんのアドバイスをいただき、いろいろな改善をすることができました。今回の決勝レースでも、コーナーひとつひとつでどんどん感覚をつかむことができたと思います。まだまだ成長できると思いますし、次戦はたくさん走れると思うので、繋げていきたいです。


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