KTMS 2022スーパー耐久第6戦岡山国際サーキット レースレポート
KTMS KOBE TOYOPET MOTOR SPORTS
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第6戦 スーパー耐久レースin岡山
2022年10月15日(土)〜16日(日)
岡山国際サーキット(岡山県)
入場者数:10月15日 3,200人
10月16日 5,000人
若手の成長が4勝目に繋がる
チャンピオン争いに王手!
FREE PRACTICE
第5戦もてぎではチャンピオン争いを展開する#13 GR YARISに対しいまひとつペースで及ばず、かつ燃料系のトラブルが起き、開幕から続けてきた連勝がストップしてしまったKTMS。平良響をリーダーに、荒川麟、奥住慈英のふたりの若手を育成することがチーム最大の目的ではあるものの、とはいえやはり悔しさと勝利こそが人を成長させる。ふたたび表彰台の頂点を目指すべく、KTMSは第6戦の舞台である岡山国際サーキットに乗り込んだ。昨年は#13 GR YARISとトップ争いを展開し優勝を飾った思い出深いコースだ。
走行初日となる10月13日(木)は、10月とは思えぬ暑さのなか、午後1時30分からの特別スポーツ走行1回目に臨んだ。平良が中心となりセットアップを煮詰めていき、今回もハコ車での岡山の経験が少ない荒川、奥住の習熟を進めつつ、1回目は3番手、2回目はトップで終えることができたが、#13 GR YARISはいまひとつ周回を伸ばしてこない状況が続いており、戦力図はいまひとつはっきりしなかった。もちろん他のST-2のライバルたちも、変わらずスピードがある。
走行2日目となる10月14日(金)も初日同様の暑さのなか、午前9時30分から1時間の専有走行が3本行われたが、1回目は2番手、2回目は5番手、さらに3回目はトップで終えたものの、このセッションでは#13 GR YARISは走行しなかった。ただライバルを気にしても仕方がない。この日KTMSでは予選シミュレーションや決勝に向けたロングランも行っており、予選日に向けたプログラムをしっかりこなすことができた。
QUALIFY
迎えた10月15日(土)の予選日。午前のフリー走行でエンジントラブルがあったが、なんとか修復を間に合わせ午後2時45分から迎えたグループ1の公式予選では、まずAドライバー予選に挑んだ平良だが、今回は#13 GR YARISよりも予選で前に出ることが重要だった。そんな重要なミッションに挑んだ平良は5周目、1分41秒509までタイムを縮め、#13 GR YARISを先行してみせる。
続くBドライバー予選では、今度は荒川が魅せた。2日間の経験をもとにアタックした荒川は、3周目にはなんと平良を上回る1分41秒193までタイムを縮めてみせた。もちろん合算で#13 GR YARISを先行することに成功し、荒川のアタックはチームの雰囲気を大きく高めることになった。Cドライバー予選では、奥住がきっちりとまとめ、決勝に向け良い雰囲気のまま予選日を締めくくることになった。
RACE
予選では荒川が好走をみせ、良い雰囲気のなか決勝日を迎えたKTMS。出走する午後のグループ1は当初雨予報が出ていたが、決勝日が近づくにつれて予報が好転。午後1時30分から迎えた決勝は汗ばむ陽気のもと迎えた。
KTMS GR YARISのスタートドライバーを務めたのは、初めての経験となる奥住。しかししっかりとスタートを決めると、#13 GR YARISを従えながら5番手でレースを展開していった。ペースも良く、序盤フルコースイエローなども入るが、フルコースイエロー明けの15周目には3番手を走っていた#59 WRX STIをアトウッドカーブでオーバーテイク。さらに同じ周には2番手を走っていた#7 ランサーがタービンのトラブルでピットインしたことから、KTMS GR YARISは一気に2番手までポジションを上げた。
その後も奥住のペースは快調で、スタートから1時間を越えても周回を続けていたが、同様にトップを走っていた#6 ランサーもピットインを引っ張っていった。39周を終えたタイミングでピットは奥住を呼び戻すが、この直前に#6 ランサーもピットイン。トップ2の同時作業となった。
ここで魅せたのは、これまでサーキットで腕を磨いてきたKTMSのメカニックたち。迅速な作業でフロントの2輪交換を行い荒川に交代すると、#6 ランサーをリードしてコースへ復帰してみせる。一方先にピットインしていた#13 GR YARISはピットイン後に#6 ランサーに先行されることになってしまい、KTMS GR YARISとの間には1台が入ることになった。
荒川も交代時17秒あったマージンに守られながら順調に中盤スティントをこなしていたが、この時間帯に速さをみせたのは、2番手につけた#6 ランサー。荒川のリードが少しずつ減っていくことになるが、それでも3回目のピットインでのライバルの作業時間を考えると、そこまで危険なものではなかった。
荒川はレースが残り58分となった69周目終わりにピットイン。チームを引っ張る平良にKTMS GR YARISのステアリングを託した。平良は順調にチェッカーに向けて走行を開始していくが、一方で2番手に浮上した#13 GR YARISは、ややピットストップを遅らせる作戦に。作業を終えると、8.9秒差に続いてくることになった。
2021年のレースでは、終盤猛追をみせた#13 GR YARISにバトルを仕掛けられたが、今季はその心配はなし。平良は好ペースをキープ。最後まで#13 GR YARISの接近を許さず、最後は7.127秒差でフィニッシュ。今季5戦中4勝を飾ることに成功した。これでシリーズポイントを143点に伸ばした。
今回のレースでは一部のクラスでチャンピオンが決まっていたが、ST-2クラスは#13 GR YARISが2位でフィニッシュし15ポイントを加算したことから、125点とした。最終戦の鈴鹿は5時間レースで、最大で30点が得られることから、まだKTMS GR YARISのチャンピオンは決まらなかったが、最終戦では6位でタイトルを決めることができる。
もちろんレースは何が起きるか分からない。シリーズ最後のチェッカーを受けるまで油断は禁物だ。しかしKTMSはこの勝利で、栄光に向け王手をかけることに成功した。
DRIVER’S VOICE
平良 響 HIBIKI TAIRA
「シーズン4勝目を飾ることができて良かったです! 特に今回は、荒川選手が予選でしっかりタイムを出してくれて13号車の前に出られたことも大きいですし、奥住選手が初めてのスタートながらミスもなく、完璧な素晴らしい仕事をこなしてくれたので、そういったみんなの力が積み重なった優勝だと思います。端から見たら今までと同じかもしれませんが、今までより喜びも大きいです。次戦の鈴鹿は全クラス混走なので、今回よりも難しくなると思いますし、ミスなく、かつ攻めつつ優勝を飾り、チャンピオンを獲りたいと思っています」
荒川 麟 RIN ARAKAWA
「ハコ車での初めての岡山でしたが、走りはじめはフォーミュラの走り方が少し抜けなくて(苦笑)。でもレースに向けてどんどんアジャストすることができました。それが結果に繋がり良かったです。今季序盤の3連勝のときはハラハラすることもあったものの、今回のレースについてはみんながしっかりとやることをやりきり、仕事をミスなくこなし、良い勝ち方をできたと思っています。次戦は鈴鹿ですが、開幕戦のときは予選も決勝も僕自身はあまり良いところがなかったので、そのリベンジをしたいですし、今回同様みんなでやり切って優勝したいと思っています」
奥住 慈英 JIEI OKUZUMI
「スタートは初めてだったのですが、自分のなかで気持ちに“スイッチ”を入れたら緊張を忘れることができました。序盤ストレートが速いライバルたちに良いペースでついていくことができ、FCY解除のタイミングで冷静に1台をかわすことができました。2番手まで上げることもできましたし、今回スタートを任せていただき、自分に課せられた仕事をまっとうできたことで次のレベルにもアップできた感じもありましたし、喜びを実感しています。次戦の鈴鹿はすでに経験していますし、チャンピオン争いを意識せずいつもどおりに戦い、その結果で喜びたいと思っています」