更新日: 2023.03.20 21:36
初陣で2台とも完走果たしたニッサンZ GT4。S耐第1戦で浮き彫りになった課題と今後の伸び代
一方、予選7番手からレースに臨んだ20号車ナニワ電装TEAM IMPUL Zは、第1スティントから平峰一貴が積極的に前を走るマシンの隙を突いてポジションを上げていった。レース中盤も安定したペースで周回を重ね、表彰台も狙えそうな雰囲気があったが、レース終盤に起きたクラッシュの影響で赤旗が出され、そのままレース終了。最終的に20号車はST-Zクラス5位で開幕戦を終えた。
「スーパー耐久のレースはいろいろなハプニングがあり、その部分をくぐり抜けていかないといけません。コース上での速さというよりも、いかに戦略でうまくタイミングを掴めるかなので……、本当に課題だらけですね」と語るのは、TEAM IMPULの星野一樹だ。今季のスーパー耐久には自身もDドライバーとして参戦する一方、スーパーGTや全日本スーパーフォーミュラ選手権と同様に現場での陣頭指揮もとっている。
開幕戦でドライブを担当する機会がなかった星野だが、レースを客観的に見て、ニッサンZ GT4の良かった要素や改善点などを分析できている様子だった。
「コース上ではすごく速かったので、ペースでは負けていなかったと思います。まずは初戦をしっかりと完走できて良かったと思います」
「一発の速さに関しては、けっこう厳しいなと感じています。ですが、うれしいことを言えば、レースペースではもっと負けているかもしれないと思っていたので、そういった部分での“戦える”という実感は、この1レースを戦ってみて掴むことができました」
さらに星野は、ライバルとの“燃費差”を開幕戦で痛感していたようだ。
「あとは燃費ですね。ポルシェ勢が(僕たちでは)あり得ないタイミングでピットに入ったので『あれで(燃料が)持つのかな?』と思ったのですが、結局持たせることができていました」
「特に19号車(BRP★SUNRISE-Blvd718GT4RS)は、最終スティントがすごく長かったはずなのですが、あれでいけてしまうということは、おそらく第2戦の富士SUPER TEC 24時間レースでは、もっと(僕たちは)厳しくなると思っています。そういった部分については、ポルシェは一歩二歩進んでいる感じがします。もう少し燃費を良くしないと厳しいですね」
デビュー戦でいろいろと感じた部分はあるようだが、Z GT4はでき上がったばかりで発展途上にあるクルマということを加味すると、星野も前向きに考えている様子。「伸び代はたくさんあるので、次戦もがんばります!」と意気込んでいた。
また、この20号車にBドライバーとして参加している2022年スーパーGT GT500王者である平峰は、ニッサンZ GT4のペースの良さを感じつつも、改善点は多いと語った。
「正直、まだやるべきことは多いと思っています。コース上でのパフォーマンスが悪いわけでないですが、やはりハンコックタイヤの特性があるので、タイヤに見合ったセットなどを含め、いろいろと見直さないといけない部分があります」
「このクルマでのレースは今回が初めてでしたが、それでも走り出しから良いクルマだったと思いました。ここからの伸び代はいっぱいあると思うので、そういった部分を自分たちでしっかりと見直していきたいと思います」
ライバルとのパフォーマンス差に関しては性能調整などが影響している部分もあるため、実際のところは何とも言えないが、いずれにしてもニッサンZ GT4はでき上がったばかりのマシンということで、セットアップの熟成などが進めば、ST-Zでも一目置かれる存在になっていきそうだ。