一方、レース終盤に怒涛の追い上げをみせて逆転優勝を飾った中升 ROOKIE AMG GT3。今回は監督兼ドライバーとして24時間レースを戦った片岡は、Aドライバーの起用方法について“スタンダードなもの”を意識したという。

「基本的には明るい時間帯で皮剥きしたタイヤを使うということは決めていて、あとは本人の努力次第だと思っていました」と片岡監督。

「たまたまFCY(フルコースイエロー)が導入されているときにずっと乗ってもらえたりすれば話は別ですけど、それは狙ってできるものでもないです。単純に僕たちはスタンダードに、鵜飼さんが一番うまく走れるようするための環境を作ろうとしました。トリッキーなことはしなかったです」と振り返った。

 実際に中升 ROOKIE AMGのスティント割を見ると、序盤の2スティント目と日曜早朝、そして残り3時間を迎える部分のパートを鵜飼に任せていた。特に終盤の起用どころについては、できる限り得ができるようにしつつ、鵜飼の負担にならないタイミングだけは意識していたという。

「(ドライブするタイミングが)後ろに絡めば絡むほど最低乗車時間が減っていきます。先に全部を消化をしてしまうと(赤旗などで)レースが短くなったときに損をしてしまうので、(鵜飼選手の)最後のスティントを後に引っ張りながらいきました」と片岡。

 スーパー耐久のAドライバー最低乗車時間については、レース途中に赤旗中断などがあった場合、その中断中に走行していない時間を引いたもので再度計算が行われ最低乗車時間が決められる。実際に今回も、当初は『3時間36分』だったAドライバー最低乗車時間が、赤旗中断後に『3時間23分24秒』に変更された。中升 ROOKIE AMG陣営はこれを狙っていたのだ。そのうえで、鵜飼が全体のアンカーにならないように配慮していた。

「全体のラスト2スティントを鵜飼さんにしてしまうと、ガチンコの争いをジェントルマンドライバーに任せてしまうことになります。それだとしんどいですし、おそらく本人も嫌だと思います。ですので、最後から3つ目のスティントに乗ってもらいました」

「そういったスケジュールでしたが、もちろんFCY、SC、赤旗で状況が変わっていくなかで、イメージとしては最後から間引いていった感じです。その間引いていくなかで、鵜飼さんが最後に乗る時間帯を少し遅めにしないといけないという感じでした」と片岡は説明した。

 2023年の富士24時間は僅差での決着だった分、戦略の差が顕著に現れた感のあったレースだが、両陣営とも総合優勝をかけて全力を振り絞って競り合った。過去の24時間レースとは少し違う結末となったことは間違いないだろう。

2023スーパー耐久第2戦富士24時間レースを制した中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也)
2023スーパー耐久第2戦富士24時間レースを制した中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也)
2023スーパー耐久第2戦富士 ST-Xクラスの表彰式
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