Porsche Team EBI WAIMARAMA 2023スーパー耐久第5戦もてぎ レースレポート
Porsche Team EBI WAIMARAMA
Super Taikyu RACE REPORT
2023 Round.05 MOTEGI
ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第5戦 もてぎスーパー耐久 5Hours Race
2023年9月2日(土)〜9月3日(日) 決勝レース結果:リタイア
専有走行
8月31日(木) 特別スポーツ走行 天候:晴れ 路面:ドライ
9月1日(金) STEL専有走行1回目/2回目 天候:晴れ 路面:ドライ
2023年のスーパー耐久シリーズもいよいよ後半戦となる第5戦を迎えた。Porsche Team EBI WAIMARAMAは大分県のオートポリスで開催された第4戦への参戦を行わなかったことから、約2ヶ月ぶりのレースとなる。今回はAドライバーに北園将太、Bドライバーに千代勝正、Cドライバーに山野直也を据え、3人で5時間の長丁場のレースに臨んだ。
Porsche Team EBI WAIMARAMAにとってもてぎは相性が良いコースだ。2022年こそトラブルに見舞われたが、序盤はトップを快走。2021年には優勝も飾っている。チームはその再現を狙うべく、8月31日(木)に3時間行われた特別スポーツ走行から、気温35度に近づこうかという暑さながら45周ものラップをこなし、週末に向けてセットアップを行っていった。
明けて走行2日目となった9月1日(金)は、午前10時45分からグループ1/Xの専有走行が行われた。Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSは千代から走行を開始し、北園、千代、また北園と交代しながら周回。最後は山野が走り、2分01秒997というベストタイムでST-Zクラスの首位で終える。午後2時からスタートした全クラス混走の専有走行では山野から走行を開始し、途中北園がロングランを実施。最後は千代がドライブし、終盤に2分03秒425を記録。クラス2番手という好位置で終えた。「ブレーキが厳しそうなのと、タイヤの落ちが大きそうですね。でもポルシェは得意なので、手ごたえはあります」と千代は週末に向けて好感触を得ていると語った。
公式予選
9月2日(土) ウォームアップ 天候:晴れ 路面:ドライ
9月2日(土) 公式予選 天候:晴れ 路面:ドライ
暑さが続くこの週末のもてぎだったが、迎えた9月2日(土)の予選日も気温30度を軽く超えるなか、午前10時からウォームアップ走行が行われ、午後0時45分から公式予選がスタートした。Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSは、まずはAドライバー予選で北園がアタック。1周目にはややミスがあり、2周目には他車に引っかかったものの、2分03秒405を記録し5番手につけてみせる。そして、続くBドライバー予選では千代がさすがの実力を披露。ただひとり2分00秒台に突入する2分00秒798を記録しトップに。合算でST-Zクラスのポールポジションを獲得してみせた。
Cドライバー予選では、山野が2分03秒475で2番手に。「ここまでは相性が良いもてぎで想定どおりに来ています」と山野は笑顔で語った。
決勝レース
9月3日(日) 決勝 天候:晴れ 路面:ドライ
9月3日(日)の決勝レースは、午前11時14分に気温33度/路面温度42度という厳しいコンディションのなかスタートした。ここまでPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSは順調に週末を進めていたが、怖いのはトラブル。特に暑さがライバルたちにも影響を及ぼしており、ブレーキやタイヤ等に悪影響を及ぼさないかどうかが懸念された。
そんなレースのスタートドライバーを務めたのは千代。4周目には2分03秒899というタイムを記録し、序盤からライバルたちをリードしていく。クラス違いの車両との関係や、スタートから1時間近くというタイミングで導入されたフルコースイエローの影響はあったものの、それ以外は2分05〜07秒台という安定したラップタイムで周回をこなしていき、序盤はチームの思惑どおりにレースを進めていった。
千代は41周を走りピットに戻り、北園にバトンを繋いだ。この週末まで北園はもてぎの経験がなく、チームは事前にVITAを使って北園の練習を行っていたが、クリアな状態では2分07〜08秒台のラップを刻み、酷暑のなか苦戦しつつも練習の甲斐あり自らに課せられたスティントをこなし、山野にバトンを繋いだ。
北園のスティントでは、タイヤ交換を短縮しプロが走ったライバルたちの前に途中4番手あたりまで順位を落としてしまっていたが、その差はわずか。交代した山野は、途中車両回収のために一度フルコースイエローが入っるなか着実に自らのスティントをこなすと、109周を終えピットイン。ふたたびエースの千代に託した。タイヤ二輪交換でピットイン時間を削り、残り1時間ほどのレース終盤、千代が追い上げ、ふたたびトップを奪おうという戦略だった。
しかし、ピットイン時の給油作業で思わぬミスが出たことでPorsche Team EBI WAIMARAMAのレースは急転してしまう。山野から千代に交代した際、給油した燃料が車体にこぼれてしまっていたのだ。ピットアウトする千代のフロントウインドウに、引火してしまった炎が上がる。ピットアウト後、冷静に2コーナー立ち上がりに設置されているファイアステーションで車両を停めた千代は消火器を取り出し鎮火を試みたが、フロントから上がる火の勢いが予想以上に強い。駆けつけたファイアカーの手も借りようやく火は静まったが、Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSは燃料タンクがあるフロントまわりに大きなダメージを負ってしまった。
レースを手中に収めながらも、思わぬトラブルでレースを失ってしまったPorsche Team EBI WAIMARAMA。シーズンは残り2戦。まずは火災によるダメージを負ってしまったPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSの修復を目指しながら、チームは終盤戦に向けた計画を練っていくことになる。
DRIVER COMMENTS
SHOTA KITAZONO 北園 将太
「予選までは良かったですが、レースペースがすごく悪くて、順位を落としてしまいました。そんななかで、みんながコンマ1秒を削るために作業を行っていくなかでこうした火災に繋がってしまったのではないかと思います。ドライバーとしてはもっとギャップを広げるなりできていれば、スタッフの緊張も和らげられたのではないかと思います。給油したメカニックも自分の責任と感じてしまうと思いますが、チームとしてきちんとマネージメントできればこういったミスもなくなるのではないかと思っています」
KATSUMASA CHIYO 千代 勝正
「ピットアウトした後に火災に見舞われてしまうという残念な結果になってしまいました。クルマのスピードとしては戦えていましたし、ライバルたちがタイヤ無交換作戦を採ってきたりと、レースの展開では前に出られてしまっていましたが、速さの面では表彰台は間違いなく届いていたと思うだけに悔しいです。今回は給油でのトラブルということで、非常に大事なところではありますので、そのあたりはしっかりチーム全体として今後考えなければいけませんね」
NAOYA YAMANO 山野 直也
「最後は二輪交換でピットアウトし、表彰台はもちろん、あわよくば優勝も狙える位置まで見えていただけに、まさかのアクシデントになってしまいました。ピットアウト時に火が点いているのを見ていた人がいたので、止めるべきだったとも思います。消火をきちんと確認すれば良かったのですが、レースなので一刻を争いますし……。判断ミスがあったかもしれません。車両のダメージが心配ですが、チームは全力を尽くして修復を目指していきます。同じことが起きないように対策し、次戦こそ万全を期して臨みたいと思っています」