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投稿日: 2023.12.16 13:17
更新日: 2024.06.11 14:52

ジャンカルロ・フィジケラが独占告白。フェルナンド・アロンソの陰でNo.2に徹したルノーF1時代を語る


F1 | ジャンカルロ・フィジケラが独占告白。フェルナンド・アロンソの陰でNo.2に徹したルノーF1時代を語る

──アロンソとの関係はどうでしたか?我々が知る限り、これまで在籍したすべてのチームで彼はうまく立ち回り、チーム全体が自分のために働くように仕向けていたそうですが、あなたとの関係はフェアでした?

「フェルナンドとは良好な関係を築いていたよ。協力して物事を進め、一緒に素晴らしいシーズンを過ごせたし、今でも親しくしている。折に触れ、『ジャンカルロは最高のチームメイトだった』とフェルナンドは語っている。私だって彼のことをそう思っている。フェルナンドは最強のドライバーなんだ。いまだに速さを失っていないし、経験豊富だ。長きにわたって、彼は世界最高のドライバーのひとりに数えられるだろう」

──パット・シモンズ、ジェームス・アリソン、ボブ・ベル、ロブ・マーシャル、ニック・チェスターなど、当時のルノーのスタッフはその多くが後に他チームに移籍して、数々の成功を収めています。そう考えるとドリームチームでした。

「まさにそのとおりだと思う。シモンズはじめ、アラン・パルメイン、さらにあなたが挙げた人たちが集まって、本当に最高レベルのパッケージが作られていたんだ。2000年から2010年にかけての、F1界で最高の人材が集まった。だから、世界最高のチームのひとつに挙げてもいいと思う」

チーム代表のパトリック・フォーレ(右から2番目)、マネージングディレクターのフラビオ・ブリアトーレ(左から2番目)とともに写真撮影をするドライバーふたり。テストドライバーはヘイキ・コバライネン(右)が務めた
チーム代表のパトリック・フォーレ(右から2番目)、マネージングディレクターのフラビオ・ブリアトーレ(左から2番目)とともに写真撮影をするドライバーふたり。テストドライバーはヘイキ・コバライネン(右)が務めた

──パルメインは担当エンジニアでしたが、うまくやれていましたか?

「もちろんだ。アランとは1998年から2001年まで共に戦い、当時から私の担当エンジニアだった。私が2005年にチームに戻った時、アランはまだチームに在籍しており、再びエンジニアを務めてくれた。彼とはとてもよい時間を過ごせたよ。一緒に仕事をしたなかでは、最高のエンジニアだった。少し前までアランはディレクターとして現場で働いていた。30年もの間、活躍し続けたのにもう現場では会えないなんて残念に思う。でも、それが人生だね」(注:アラン・パルメインは1989年にベネトンに加入後、ルノー~ロータスF1~ルノー~アルピーヌと、一貫してエンストン本拠のチームに所属。近年はアルピーヌでスポーティングディレクターを務めていたが、2023年第12戦ベルギーGPを最後に同チームを離れた)

──フラビオ・ブリアトーレとは特別な関わりがありましたね。

「フラビオは優秀なボスであり、真のビジネスマンだ。経験豊富で、チームを見事にまとめ上げた。つまり、優れたチーム代表だった。だがチャンスは1度しか与えてくれないので、1度ミスをしたらもう終わりだ。だから1998年と1999年に一緒に仕事をし、2005年に呼び戻してくれたのは、私にとって非常に大きな意味があった。とてもうれしかったし、光栄だった」

──翌2007年は何がうまくいかなかったのでしょう。アロンソが去り、明らかに別のチームになっていました。

「2007年のマシンは正しい方向に進化させられず、非常に扱いにくくなってしまったんだ。それにシーズン中の開発も十分ではなかった。何度かポイントは獲得したし、予選でトップ10入りもした。だが、これまでとまったく異なるシーズンになった」

2007年シーズンはアロンソが離脱しフィジケラはチームのエースとなったがチームは低迷し、表彰台に上ることは叶わなかった
2007年シーズンはアロンソが離脱しフィジケラはチームのエースとなったがチームは低迷し、表彰台に上ることは叶わなかった

──F1チームの力が周期的に変わる典型的な例ですね。シューマッハーを擁して2度チャンピオンシップを制した後の数年間は低迷し、アロンソとともに2度のタイトル獲得を再び達成しました。ただ、その後、タイトルから遠ざかってしまいました。

「どこにでも起こりうる話だ。これまでマクラーレンの時代、ウイリアムズの時代、フェラーリの時代、そしてルノーの時代があった。良くなったり、悪くなったりの繰り返しだろう。そう簡単にはいかないよ。F1は誰もがレースでの勝利、チャンピオンシップ獲得を目指して戦っているんだから、戦いのレベルは非常に高い。近年はレッドブルが他を圧倒していることからも、そのことがよく分かるだろう」

──あの頃を振り返ると、何もかもが順調で、フェルナンド・アロンソがチームメイトで、ポールポジションを獲得でき、レースで勝てる力を持ったマシンを与えられ……あなたのキャリアのなかでも最高の時期だったのではありませんか?

「優れたマシンを与えられ、素晴らしいチームのためにドライブでき、ポールポジションや優勝を狙えるチャンスもあって、確かに私がF1ドライバーとして過ごした中で最高の時間だったと思う」

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『GP Car Story Vol.46 ルノーR26』では、今回お届けしたフィジケラのインタビュー以外にも読みどころ満載。当時のルノー・チームには優秀なエンジニアが多く所属しており、今回はそのなかでもキーパーソン的存在のパット・シモンズ、ボブ・ベル、そしてジェームス・アリソンにインタビュー。マスダンパーの開発、そして禁止にまつわるエピソードも多数掲載。

 さらにエンジンの新規定でV10からV8に替わったこの年、ルノー・エンジンの開発、そして現場運営でどのような影響があったのかドゥニ・シュブリエに話を聞き、その彼の推薦で現場でフィジケラのエンジンを担当していたファブリス・ロムというエンジンエンジニアも登場。

 R26を語るうえで主役であるアロンソのインタビューはもちろん、彼の担当エンジニアだったロッド・ネルソンも、当時のアロンソの戦い方を振り返ってくれています。

 F1はドライバーの戦いであると同時に技術競争の場でもあるため、ライバルをリードする技術を手にしたチームは必ずといっていいほど槍玉にあげられ、そして、その技術の多くは葬られる定めにあります。それもF1のあるべき姿……R26の物語のなかにも理不尽なエピソードが多く存在します。そこにも存在する人間ドラマを感じてもらえたらと思います。

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『GP Car Story Vol.46 ルノーR26』は12月14日より発売中。商品紹介ページ&購入はこちらから
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