Shinji Nakano まとめ:autosport web

 そして、今回は裕毅の走りも大変見応えがありましたね。前戦のマイアミGPでアップデートを投入してから、RBのマシンは非常にバランスが良く見えます。開幕前のテストの段階から低速コーナーを得意としていたRBでしたが、イモラでのエミリア・ロマーニャGPでは低速コーナーだけではなく高速コーナーでもバランスを決まっていました。アップデートの投入と持ち込みセットも含め、RBはセットアップを最適化するための鍵を、マイアミGPから見つけているという印象です。

 予選ではQ2の1アタックでQ3進出を決めた集中力は秀逸でした。Q2を1アタックで通過したことで、ほかの上位勢と同じ状況(新品ソフトを2セット使える状況)でQ3を迎えることができました。これは今後に向けかなりポジティブな仕事ぶりですし、裕毅自身の自信にも繋がったと思います。

 決勝ではスタートでニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に先行され、ストレートの速いハースをなかなか攻略できずに我慢の周回もありましたが、先にピットに入りアンダーカットを成功させました。終盤もタイヤをうまくマネジメントし、ポイントを持ち帰るなど、戦い方の面でも裕毅は成熟を迎えてきていると感じました。

 また、DAZNで毎週水曜日に配信される番組『Wednesday F1 Time』で裕毅から直接聞きましたが、昨年以上にエンジニアだけではなく、チーム代表も含めたRB全体で十分にみんなが納得できるまでディスカッションを重ねた上でレースに臨んでいるということで、レースで何かがあった際、状況が変わった際に昨年見せたような戦略面での“迷い”が減っている。その分走りに集中ができているということは、裕毅にとってとてもポジティブです。裕毅、そしてチームがともに成長し、お互いが高め合っているといういい環境が、成績につながってきていると改めて感じることができました。

 さて、いよいよ今年もモナコGPを迎えます。モンテカルロ市街地コースは狭く、抜きずらいことから予選が非常に重要かつ注目です。レッドブル&フェルスタッペンがいかにマクラーレン勢、そしてストリートサーキットを得意とするフェラーリ勢と対峙するのか。そして引き続き“乗れている”裕毅とRBの走りを楽しみにしたいと思います。

RBのピーター・バイエルCEO、ダニエル・リカルド、角田裕毅、チーム代表ローレン・メキース
2024年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP RBのピーター・バイエルCEO、ダニエル・リカルド、角田裕毅、チーム代表ローレン・メキース

【プロフィール】
中野信治(なかの しんじ)

1971年生まれ、大阪府出身。無限ホンダのワークスドライバーとして数々の実績を重ね、1997年にプロスト・グランプリから日本人で5人目となるF1レギュラードライバーとして参戦。その後、ミナルディ、ジョーダンとチームを移した。その後アメリカのCART、インディ500、ル・マン24時間レースなど幅広く世界主要レースに参戦。スーパーGT、スーパーフォーミュラでチームの監督を務め、現在はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)のバイスプリンシパル(副校長)として後進の育成に携わり、インターネット中継DAZNのF1解説を担当。
公式HP:https://www.c-shinji.com/
公式Twitter:https://twitter.com/shinjinakano24

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