決勝52周目のターン12で、ノリスがフェルスタッペンに仕掛けました。3番手争いを繰り広げる2台はともにコース外に出てしまうなか、フェルスタッペンをかわしたノリスが3番手でチェッカーを受けました。ただ、ターン12のエイペックス(コーナーの頂点)時点ではフェルスタッペンが前にいたため、ノリスに5秒のタイムペナルティが下され、フェルスタッペンが繰り上がりの3位という結果に終わりました。
エイペックスの時点で前にいた車両がコーナー出口での優先権を持つ、というルールに則った裁定です。ただ、私的には少しフェルスタッペンがやりすぎだったかなという印象を抱きました。フェルスタッペンはこのルールを分かった上で、ターン12への飛び込みでかなりのレイトブレーキングを見せました。
イン側のフェルスタッペンがブレーキを遅らせるとフェルスタッペン自身、そしてアウト側のノリスはともにターン12を曲がり切ることはできません。2台ともコース外に出てしまうとなると、エイペックスの時点で(レイトブレーキをした)フェルスタッペンが前にいるので、ノリスが譲らなくてはならない。それをフェルスタッペンは理解した上でのアクションだったと思います。
ルールに則った上ですので、フェルスタッペンが悪いとは言えません。ただ、なにが悪いかと言えば、カバーしきれない部分を残したままの現状のルールが悪いのではないかという気はします。2台ともコースオフするような展開になったとしても「エイペックスを取った者の勝ち」となってしまうのは、今後も尾を引く話でしょう。

ただ、ノリスに関しては順位を戻すようにマクラーレンが伝えるべきだったと思います。エイペックスを取られているので、ノリスにペナルティが下ることはマクラーレン陣営にとっても容易に想像できたと思います。残り周回数、フェルスタッペンのタイヤのデグラデーション(性能劣化)を鑑みても、一旦はノリスが3番手を明け渡したとしても、もう1度フェルスタッペンに仕掛け、チェッカー前にはノリスが前に出ることはできたのではないかと考えています。
また、裕毅やジョージ・ラッセル(メルセデス)もターン12のバトルの最中に5秒のペナルティとなりました。ペナルティが複数件出た要因としてはターン12が、サイド・バイ・サイドの際にインを抑える、もしくはインから仕掛けるると曲がりきれないレイアウトのコーナーだからです。
たとえインにいる自分がコース内に留まることができたとしても、アウト側のライバルはコース外に出てしまう。そういったレイアウトに起因するコースオフにペナルティを課すというのは、少し矛盾していると感じますが、これも現在のルールです。それだけに裕毅へのペナルティはかわいそうだと思いましたし、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)へのアプローチは、決して悪いオーバーテイクではなかったと考えています。
非常に難しい部分ではありますが、FIA国際自動車連盟がいかに対応していくのかに注目したいと思います。
