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投稿日: 2024.11.13 15:15

改めて証明した角田裕毅のポテンシャルの高さ。セナを彷彿させるボルトレートのF1昇格【中野信治のF1分析/第21戦】


F1 | 改めて証明した角田裕毅のポテンシャルの高さ。セナを彷彿させるボルトレートのF1昇格【中野信治のF1分析/第21戦】

 さて、サンパウロGP明けにキック・ザウバー/アウディがFIA F2ランキング首位につけるガブリエル・ボルトレートの来季起用を発表しました。

 ボルトレートは2023年のFIA F3タイトル獲得を経て、今季はFIA F2に参戦しています。彼のFIA F2での活躍は、先んじてF1デビューを飾ったオリバー・ベアマン、フランコ・コラピントよりも遥かに輝きを放っていました。

 そんなボルトレートのF1昇格はある意味順当と申しますか、今季のFIA F2ドライバーを見ても「ボルトレートは昇格するよね」と皆が納得するような存在ですので、私も彼のF1での活躍が楽しみですね。

 ドライバーとして、非常に強いという印象です。どんなグリッドポジションからスタートしても追い上げる力を持っていますし、好機を掴んだとはいえ最後尾からFIA F2優勝を飾ったこともあります。それは接戦に強く、メンタルが強いドライバーだということを意味しています。

2024 FIA F2第7戦シュピールベルク ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)
2024 FIA F2第7戦シュピールベルク ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)

 また、F1にとっては久しぶりのブラジル人ドライバーになります。彼のFIA F2のヘルメットは母国の英雄アイルトン・セナを彷彿とさせるデザインですが、彼自身もセナを彷彿させる雰囲気がありますね。彼の話題性、速さ、強さは、F1に来ても面白い存在になると思います。

 何よりも、ボルトレートを含め新人がどんどんF1へ昇格することはF1にとって、F1を目指す若手にとって好影響を与えると考えています。少し前まではF1直下でタイトルをとっても、しっかりとした成績を残してもF1には上がれないという、夢があるようで夢はない。夢があったとしてもその世界に入り込めるのはごくわずかな機会を得れた者だけでした。

 そういう時期を経て、昨今次々とF1昇格を果たす若手が増えることは、非常にポジティブだと思います。私個人もこうなることをずっと願っていたこともあり、ようやくこの流れがやってきたという思いです。まだまだ今季のF1は続きますが、2025年シーズンの開幕も、楽しみにになってきたなと感じています。

ザウバーがガブリエル・ボルトレートとの2025年契約を発表
ガブリエル・ボルトレートとの契約を発表したザウバーのCOO & CTOマッティア・ビノット

【プロフィール】
中野信治(なかの しんじ)

1971年生まれ、大阪府出身。無限ホンダのワークスドライバーとして数々の実績を重ね、1997年にプロスト・グランプリから日本人で5人目となるF1レギュラードライバーとして参戦。その後、ミナルディ、ジョーダンとチームを移した。その後アメリカのCART、インディ500、ル・マン24時間レースなど幅広く世界主要レースに参戦。スーパーGT、スーパーフォーミュラでチームの監督を務め、現在はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)のバイスプリンシパル(副校長)として後進の育成に携わり、インターネット中継DAZNのF1解説を担当。
公式HP:https://www.c-shinji.com/
公式Twitter:https://twitter.com/shinjinakano24


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