その速さの秘密を優勝したチームメイトの琢磨が明かしてくれる。
「アロンソのダウンフォースレベルは小さくて、ストレートで少し速いので、序盤に彼のスピードが速いのはわかっていました」と言う。

アロンソのスピードは衰えることがなく、まさかインディ500初出場で初優勝か!と誰もが思っていた。
彼が唯一ペースを乱したのは139周目に入ったピットで、その後一時は12番手までポジションを落としている。その後9~10番手でこう着したが、クラッシュの続く波乱のレースで生き残ると7番手まで再浮上し、残りの30周で優勝を争う勝負権を得た。
しかし……である。アロンソのマシンが白煙を上げたかと思うとメインストレートを過ぎた直後で止まり、マシンを止めてしまうのであった。残りあと20周……。

ピットを歩いて戻ってくるアロンソの顔はうっすらと汗ばんでいる。スタンドからの大きな声援に手をふりながら、このインディチャレンジを終えることになった。
まさかF1で苛まれているエンジントラブルにインディでも苛まれるとは、思ってもいなかっただろう。
「まずはインディのすべてのみなさんにお礼を言いたい。ありがとう。今回のレースをフィニッシュ出来なかったことは、とても残念だ」
「どんなレースでも、出ている以上はチェッカーを目指すもの。それが今日は叶わなかった。だけど今回はとても素晴らしい経験になったよ。僕自身も成長し、僕自身にチャレンジすることが出来た」
「F1は思い通りに走らせることができるけど、インディカーはそれができるかどうかわからなかった。でも素晴らしいレースのフィーリングを感じることができた」と振り返るアロンソ。
そして……。
「オメデトウ、サトウ。オメデトウ、アンドレッティ・オートスポート!」とチームメイトに祝辞を伝えることも忘れなかった。
アロンソは、きっとまたインディに戻ってくる。そう確信したレースデーだった。