3セクターすべて最速のベッテル、1分12秒720はいきなり“コースレコード”。2位以下に約0.5秒差はモナコだけに巨大だ。
まるでウイニングランのように観客に応える姿を見てとても満足しているのがはっきり分かった。めったにこういうアクションなどしないベッテルなのに。
新舗装によってバンプがかなり減り、ライドハイトが低めに設定された。1コーナー減速地点にはスキッドブロックの痕跡が付着している。
ダイナミック・ダウンフォースが増し、タバコ・コーナーからプール・ベンドでの維持速度が見るからに上がった。著しいラップタイム上昇はすなわち、加速と減速に今まで以上のメリハリが求められ、流れるリズムと強弱テンポの“ライブ・パフォーマンス”。
街道レーサー・キミ・ライコネンが12年ぶりにモナコPP奪還。セクター1と3が速いベッテルに0.043秒差で優ったのはミラボー、ヘアピン、ポルティエ、シケイン、タバコと続くセクター2だ。
ここだけで0.143秒先行、ブレーキング・テンポがキミらしかった。2位ベッテルはミラボーとヘアピンでやや前のめりに……、低速コーナーふたつが二人を分けた。

第6戦モナコが今季最もホットな路面50度コンディションに、まさしくフェラーリ日和(ソフト系ピレリにマッチする)。大人同士二人きれいに1コーナーを抜け、隊列がそれに続く。
ライコネン10周目に2.117秒、13周目に2.319秒リード。メルセデス相手のときのように食らいつくそぶりを見せないでいたが、急に14周目から揺さぶりをかけ始めた。1秒台ギャップ、キミのリズムを狂わせようという魂胆か。