そして、浮上してきたのが3つ目のオプションだ。それがフェラーリだった。ザウバーは今年、1年落ちのフェラーリのパワーユニットを使用しているが、フェラーリとの関係は長く、最近では2010年から搭載し続けている。もちろん、ギヤボックスもフェラーリ製を使用しているため、来年へ向けてリヤエンドの設計は大きな変更が発生することはない。

フェラーリにとっても、ザウバーへの供給はメリットがあった。それは育成ドライバーのシート確保だ。現在フェラーリが抱えている育成ドライバーのうち、アントニオ・ジョビナッツィがすでにザウバーからF1にデビューしているだけでなく、シャルル・ルクレールも来年に向けてスーバーライセンス獲得することがほぼ確実だ。
本来であれば、パワーユニットを供給しているハースへ送り込みたいところだが、今年は2人のレギュラードライバーが高い能力を維持しており、そろって残留する可能性が高い。そこで3番目のチームに供給することで、育成ドライバーのためのシートを確保しようというわけだ。
ザウバーにとっても、シートの提供によってパワーユニットの代金をディスカウントできるメリットがあった。つまり、ザウバー・フェラーリは双方にとってウィン・ウィンの関係だったのだ。