一方で、惜しげなく金を使える余裕のあるチームはバジェットキャップを歓迎しないだろう。予算制限を導入した場合、自動車メーカー系のチームが開発費を関係の薄い子会社に移管して、全体の予算を計上するような事態を誘発することが考えられる。それによって、監督者であるFIAの目を逃れてノーマークで派手な支出を続けるためだ。
とはいえサフナウアーは、内部告発も考えられるため、自動車メーカー系のチームを監視する状態を作れると考えている。
「これは常についてまわる疑問だ。もし予算上限が設けられたら、それをうまく回避しようとする人々が出るのではないか、ということだ」
「私は、それを防ぐための方法や仕組みを作るべきだと考える。政府と税金を例にとれば、人々は自分がより多くの金を持っておきたいために、なるべく税金を払いたくないという強い動機を持つことになる。しかし政府は、税の支払いについて調べ、照合し、督促する仕組みを持っている」
「我々の知らないところで多くの人が税金逃れをしているに違いないが、時折巨額の罰金が科せられている」
「もし捕まったときの処罰が十分に厳しいものなら、それによって安定性を維持することができると思う」
「そして私の考えでは、F1における最大の違反抑止力は、たとえば誰かがあるチームで行われていることを把握した状態で別のチームに移籍して、『彼らが何をやっているか知っているか? こういうやり方で1億5000万ドルの上限を上手に回避しているんだよ』としゃべることだ」
「おそらく内部告発行為が違反に対する最大の抑止力になると思う」
