Nick Richards

 ホンダがマシン後部のスペースをほんのわずかしか占領しなかったために、マクラーレン側のデザインの自由度が上がり、3シーズンを通してまずまずのシャシーを作り上げることができた。他の中位グループよりダウンフォースが大きいマシンで走り、それによって得た手柄を、マクラーレンは毎グランプリ独り占めにした。ストレートでタイムを失うがコーナーでは強い、というのが彼らの主張だった。つまりホンダに足を引っ張られていると暗にほのめかしていたのだ。

 マクラーレンは、それなりのシャシーを作れたのはホンダのパワーユニットがコンパクトであるおかげにすぎないという事実には一度も触れず、3シーズンを通して他のどのチームよりもダウンフォースを生むリヤウイングを装着していたという事実を無視してきた。それがコーナリングスピード向上には役立ったが、同時に、ストレートで遅い一因でもあったのだ。高速サーキットのモンツァですら、マクラーレンはライバルたちよりもリヤウイングを重くして走っていた。それによって、シャシー自体のダウンフォースが足りない分を補うとともに、ホンダのパフォーマンスを実際よりも貧弱に見せたのだ。パートナーシップが終わりに近づくにつれて、こういう傾向が強くなった。

ホンダF1の2017年パワーユニットRA617H

 マクラーレンはもうひとつ、ホンダに大きな負担を強いた。それは経済的なものだ。マクラーレンはタイトルスポンサー不在による財政面のロス、つまり年間約6,000万ユーロ(約81億円)に及ぶ額を補填するため、ホンダに経済的支援を求めた。ロン・デニスと契約した際に、タイトルスポンサーが見つかるまでという条件で、ホンダはそれに同意した。しかしマクラーレンは、2013年末でボーダフォンが離脱して以来、今にいたるまで、タイトルスポンサーを見つけられずにいる。ホンダはその上、フェルナンド・アロンソのサラリー全額を負担したため、年間1億ユーロ(約135億円)近くの貢献を行うことになった。マクラーレンが経済面でもっと良好な状態であれば、ホンダはそれだけの額をパワーユニットの開発に使うことができただろう。

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