ところがレッドブルでは、指揮系統に問題が生じていた。レースは46周を残す状況で、チームはドライタイヤのスペック選択に迷い、ピットクルーへの指示が遅れる。結果リカルドが戻ってきたとき、まだ選択したスーパーソフトの準備は完了していなかった。リカルドはピット前で、10秒ほどの貴重な時間を失うことになる。このロスにより、わずかな差でハミルトンに前に出られてしまった。
ぎりぎりで成功した勝者と失敗したロズベルグ
ハミルトンは耐久性が不安視されたウルトラソフトで、実に78周中47周の周回をこなし、2008年以来のモナコ2勝目を飾った。だが、これも抜けないモナコゆえの、まさに「綱渡り」──。
僚友ロズベルグはハミルトンと同じ31周終わりに連続作業で同じウルトラソフトを履いたが、最後にはタイヤが終わってしまい、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグにフィニッシュ目前、6位のポジションを明け渡した。ハミルトンは新品、ロズベルグは使用済みの違いはあったにせよ、メルセデスの戦略はタイヤ寿命がいつ尽きるかはわからない、ぎりぎりの選択だったのだ。