あるブラジル人ジャーナリストのA記者は、次のように嘆く。
「おそらく今年が最後のブラジルGPとなるだろう」
ブラジルGPの開催権料は年間2450万ドル(25億2350万円)と言われている。主催者側の収入は基本的にチケットしかないため、これを賄うためには、1枚3万円のチケットを8万枚売らなければならない。それは、ほぼ不可能だとA記者は言う。ブラジルで長年F1中継を行っている「TVグローボ」は、ブラジルGPをサポートしている。A記者はTVグローボと仕事をしているので、ブラジルGPの内部事情が入ってくる。そのA記者が「TVグローボは来年以降テレビ中継は続けるものの、もうブラジルGPのサポートは行わないだろう」と言うのである。
もし今年でブラジルGPが幕を閉じることになれば、1972年から続いている連続開催は44回で終了。南米大陸からF1が姿を消すことになる。南米大陸で初めてF1が開催されたのは、1953年のアルゼンチンGP。この長い歴史が、ついに途切れてしまうのだろうか。
リオデジャネイロ五輪で盛り上がるブラジルだが、F1開催は最大の危機に直面している。