「我々も導入を検討したことがあったが、費用対効果を考えると、そこまでのメリットがないので導入しないことにした」と、前述の関係者は説明する。
「あれは違法な装置ではなく、内圧をキープしておくためのもの。スタート時に履くタイヤは、直前まで最低内圧をクリアしている状態でタイヤウォーマーで保温されており、フォーメーションラップ5分前までにマシンに取りつけられる。そして、それからフォーメーションラップのスタートまでの間に、ピレリが任意で内圧をチェックする。タイヤウォーマーが外されたタイヤの内圧は徐々に下がっていくから、メルセデスの装置はそれを防ぐためのものにすぎない。おそらく予選でいつも速いメルセデスはピレリのチェックを頻繁に受けているため、確実にパスするためにやっているだけで、我々のようなチームには必要がないデバイスのように思える」
ちなみに高速コーナーが多いレッドブルリンクでは、ピレリの最低内圧は昨年よりもフロントで4psi高く設定されている。このデバイスを導入しているメルセデスは「持っている者」のアドバンテージを活かすことができるのだろうか。