Text : Masahiro Owari

 イギリスGPが開幕した7月8日、フェラーリがキミ・ライコネンの残留を発表した。この発表をシルバーストンにいるフェラーリの地元イタリアのメディアは冷静に受け止めている。なぜならライコネンのフェラーリ残留は、1週間前のオーストリアGPで、ほぼ決定していたからだ。あるイタリア人記者は次のように語る。

「オーストリアGPでレッドブルがふたりのドライバーの残留を明らかにした段階で、事実上フェラーリのシートはライコネンに確定していた」

 確かに、フェラーリの有力な候補者だったダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンの残留が、ライコネンにとって好材料となったことは間違いない。だが、もうひとりベッテルのチームメイト候補として急浮上していた人物がいた。フォース・インディアで今季すでに2度の表彰台を獲得しているセルジオ・ペレスだ。

 成績が良いだけでなく、ペレスをサポートしているメキシコの大富豪でテルメックス・グループ総帥であるカルロス・スリム・ヘルが、ペレスのフェラーリ入りを支援するために、巨額の支援を惜しまないと言われていた。

 スリムのフェラーリに対する影響力の大きさは、2015年にシートを失ったグティエレスをフェラーリのテスト兼リザーブドライバーに就任させたことでもわかる。当時スリムはフィリップモリス社の取締役でもあった。

 ところが、ペレスのフェラーリ入りは実現しなかった。スリムは2008年にフィリップモリス社の取締役となっていたが、昨年限りで職を解かれている。いまやフェラーリに直接介入する権限は持っていないのである。

 それだけではなくペレスには、もうひとつフェラーリへ行けない理由があった。それは、4年前の遺恨である。

 かつてフェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員だったペレスは、2012年9月にマクラーレンからシートを提示されると、フェラーリに後ろ足で砂をかけるようにしてアカデミーを離脱。直後にマクラーレン入りを実現した。このときの遺恨がフェラーリ側には、まだ残っているというのだ。たしかにオーストリアGPでペレスは「フェラーリとは、まったくコンタクトを取っていない」と述べていた。実際には取っていないのではなく、取れなかったのだ。

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