更新日: 2018.03.16 13:33
【F1新車分析】マクラーレンMCL33:速いが脆い…空力効率を重視しすぎて冷却にトラブル
(3)規制の抜け穴を見つけた?
マシン前部には、大きな変更は見られない。特にフロントサスペンションのジオメトリーが変わっていないのには、大いに驚いた。というのもFIAは昨シーズン、マクラーレンを含むいくつかのチームに対し、「トラックロッドに車高を一定にする役割を負わせている」という疑いを抱いていた。具体的にはコーナー手前でのブレーキングを終えた直後に、ノーズとフロントウイングが浮き上がり、ダウンフォースが抜けるのを防いでいたというのだ。
それを受けてマクラーレンはオーストリアGP以降、アーム取り付け位置を高くするなどの解決法で切り抜けた。12月にはFIAがサスペンションと操舵系に関して、より厳しいディレクティブ(技術指示書)を送付。にもかかわらず昨年型のサスペンションを継続しているところを見ると、マクラーレンの技術陣はレギュレーションの枠内での解決法を見つけたようである。
(4)『V』から『Y』へ
一方リヤサスペンションは、まったくの新設計だ。通常サスアームはV字型をしている。ところがMCL33の場合、ホイールに届くかなり前の位置で2本のアームが一体化し、「Y字型」になっている。昨年のメルセデスとトロロッソにも同様のアイデアは見られたが、ロワーアームであり、形状も異なっている。アームを一本化したことによる空力効果は、決して少なくないはずだ。
(5)全チーム中最長のスリット
フロア両脇の長いスリットは、昨年の1本から2本になった。レッドブルやフェラーリにも見られる切れ込みだが、彼らのは1本で、長さもずっと短い。
その役割は、主に二つが考えられる。まずフロア下により多くの空気を取り込むことで流速がいっそう増し、ダウンフォース増大が期待できること。そしてもうひとつはここから空気をマシンリヤに流すことで、ディフューザーの効率を上げることだ。